不確定性原理と真空偏極
不確定性原理によれば、非常に短い時間であればエネルギーの不確定性はいくらでも大きくなる。
ΔE ⋅ Δt ≥ (1/2) ℏ
もし時間が寿分短く
ΔE ≅ ℏ ⁄ Δ t ≥ 2mc2
ならば、力の粒子は他の粒子・反粒子対に化けることができる。こうして生まれた粒子・反粒子の対は真空偏極と呼ばれる。
真空偏極で生じた粒子、反粒子は、不確定線原理が許す極めて短い時間だけしか存在できないため(すぐに返さなくてはならないエネルギーのごく短期間の借金のようなもの)、仮想粒子と呼ばれる。
仮想粒子は直接観測することはできないが、消えてしまう前に外から十分なエネルギーを注入することができれば、実粒子として観測することができる。
重い粒子の真空偏極ほど、できるのにより大きなエネルギーの不確定性が必要となるので、より短い時間に集中してエネルギーを注入しなくてはならず、一方、光速を超える運動はできないので、これはより小さな領域にエネルギーを集中させなければならないことを意味している。
リニアコライダー実験のような衝突型加速器実験では、粒子衝突によって時空の一点にエネルギーを集中させることで、宇宙創成直後の超高エネルギー状態でしか存在し得なかったような重い粒子を真空から取り出す。
衝突のエネルギーを上げていくと、より短い時間、より短い距離で起こることが見えてくる。