標準宇宙論のシナリオ

宇宙は量子揺らぎにより無から創成され、インフレーションと呼ばれる急激な膨張を経て、いわゆるビッグバン宇宙(火の玉宇宙)となった。そこは、粒子と反粒子が産まれては消える基本粒子の飛び交う世界だった。

宇宙は膨張とともに冷え、ほとんどの粒子と反粒子は対消滅して消え、わずかに物質粒子が残った。クォークが集まり核子が、核子が集まり原子核が、原子核と電子が結合し原子ができた。

そこには、通常の物質の5倍を超える暗黒物質も残された。宇宙誕生直後の量子揺らぎは暗黒物質の密度揺らぎになり、それが重力で増幅され、銀河団が形作る宇宙の大規模構造へと進化していった。

ILC の役割

我々の宇宙はほんとうにヒッグスの海なのか? 暗黒物質の正体は? ILC がその謎に挑む!
そこで超対称性が検証されれば、大砂漠を超え、一挙にビッグバン直後の大統一のエネルギーまで成り立つ理論が手に入り、宇宙創成の謎が射程距離に入ってくる。

以下では、ILC が切り開こうとしている高エネルギー物理学の最前線の初等的な解説を試みる。