リニアコライダーの実現に向けて進む技術開発


次世代のリニアコライダーでは、1m当たり数千万電子ボルト以上の非常に強い加速電場を作らなければならない。そのために、クライストロンと呼ばれる高周波発生装置とその出力を圧縮するパルス圧縮機の開発が強力に進められた。第一段階(300-500GeV)に必要とされる加速勾配は既に得られている。

大電力高周波の発生
高エネルギー物理学研究所で開発された大出力クライストロン。100MWの出力を持つ。

さらに5倍して
スタンフォード線形加速器センター(米国)で開発され、高エネルギー物理学研究所で改良されたSLED型パルス圧縮機。大出力クライストロンで発生した加速電場をさらに5倍に圧縮する。圧縮された電場は4つの加速管に送られ電子または陽電子の加速に使われる。

多数の電子バンチを
多数の電子の塊(バンチ)を次々と加速するためには先行するバンチが加速空洞内に作った電場が、後続のバンチに悪影響を与えないことが大切である。このために加速用電場を保持しつつ、先行するバンチが作った電場を外へ捨てるような加速空洞が必要である。写真は高エネルギー物理学研究所でこの目的のために発明されたチョークモード型減衰加速空洞である。

極限まで小さく
衝突直前の電子および陽電子を小さく絞るための高精度で強力な電磁石。高エネルギー物理学研究所で開発された。スタンフォード線形加速器センター(米国)、ドイツシンクロトロン研究所(ドイツ)、プロトビーノ研究所(ロシア)等との共同実験によってすでに電子ビームを約60ナノメータ(原子200個分)に絞ることに成功している。これは現在の加速器の約10分の1以下の小さなビームである。また、この小さなビームの位置を安定に保つために、加速器の各構成要素は写真で示されるようなアクティブアライメント架台にのせられ、常時その位置がコンピューターでコントロールされる。

次のページへ前のページへ目次へ


webmaster@www-jlc.kek.jp Feb 01, 1995