2009,7/16のLXeTPC (TXePET) 打ち合わせのメモ原稿

日時:7月16日、木曜日、午後4時より
場所:先端計測実験棟多目的室
出席者:藤井、東、三原、春山、田中、佐伯、田内

以下、メモ(敬称略)です。ここで、Q(質問)、A(答え)、C(コメント)です。

TPCとPMTのシグナル解析、藤井

ファイル:pdf ( 8 pages, 1.2MB )

電荷シグナルの波高ピークとσの電場強度(HV)依存性をpedestalを差し引いてプロットし直した。特に、σが小さくなっていることがわかる。

TPC HV=-3kV時のPMT2シグナルを時間系列に1,000事象づつに分けそれらの分布を調べた。それぞれの分布はランダムに変動しているように見える。もう少し長時間データを取ってみないとはっきりしたことは言えないが、PMT2が次第に安定している様子は見られなかった。PMT1もTPC HVを上げると影響を受けている可能性がある。次回のupgradeでPMTのシールドを検討してみてはどうでしょうか。次に、PMT1のADCデータより光電子数を評価した。その期待値は(5.49MeV/20eV)*1.44*10-2*0.2*0.8*10+6~= 630 ±70 (量子効率、アクセプタンスの不定性)と評価される。PMT1のTPC HV=0時、560±30 (Gainの不定性 , 5.5/2 x 106、このとき、シグナルを2分割していることを考慮した)であった。よい一致を示している。

モンテカルロで簡単な条件(200-1000MeVの一様エネルギー分布、エネルギー損失量は2次元での飛跡長に比例する)を与えて1.5cm×1.5cmのパッドの平面上をランダムに通過する宇宙線ミューオンのenergy depositを求めた。これと4つのパッドからのシグナル和を比較する。また、飛跡は4chのパッドに入る電荷の比から求める?

2chでpre-ampのoutputまでPH-ADCに読み込むことが出来た。残りの2chはフィードスルーに短いケーブルを結線した。ch1のノイズがch2に比べて大きく、pulse heightは少し小さいように見える。DAQでPMT-2本とTPC-2chの同時計測システムの準備である(ソフトウエアのデバック中)。

C : PMT2の異常な分布について、meeting後にシグナルをスコープで観測したところ、TPC HV=-2.7kV以上で、放電状のシグナル(jpg)を確認した。印加電圧を上げるほど放電の頻度が上がった。放電のないときは正常なシグナルであった。心配されたような影響ではなく放電現象(1マイクロ秒程度)とみられる。おそらく、TPC HVの電極のどこかで放電しそこからの光が検出されていると思われる。PMT1にも小さいが放電状シグナルがPMT2と同時に見えている。
C : 宇宙線のいくらかは、上下または左右の2chのパッドと近接の1chの合計3chをヒットする。4chをヒットするものはないので、これら3chから宇宙線飛来の角分布のようなものが得られればよい。

ASICチップテストボード、東

ファイル:pdf( 20 pages, 3.3MB )

ASIC常温試験結果のまとめを作成中である。8ch/1チップの間でゲインのばらつきがある。入力シグナルのダイナミックレンジ(ゲイン±0.5)は、-30fC〜100fCである。ENCは検出器容量Cd=0で400、50pFで600程度であるが、まだ、ゲインを補正していない。クロストークは隣が20%で他は10%程度ある。これはASICチップとしては大きすぎるので測定方法の工夫が必要である。

ASICチップに温度センサーを取り付け液体窒素による冷却試験を行った。テストボードはアルミケースに収納し、それを発砲スチロールの箱に入れた。アルミケースに穴を空け、そこから乾燥窒素ガスを流し入れながら、箱に液体窒素を流し込んだ。箱にフタをすれば±1℃程度まで温度コントロール可能であった。 冷却中、テストパルスを入力しながら出力を観測した。-20℃ぐらいから振動しだし、-80℃近くになると出力効率が悪くなり、やがてなくなってしまった。常温に戻すともとに戻った。次に、シグナルの出入力のコネクター部分の接触不良をなくすためそれらすべてをハンダ付けし、ジャンパーピン部分もハンダ付けした。また、テストパルス用のコンデンサを容器外(常温)に設置した。この結果、-30℃付近より、連続的なゲインの変化が起こり、-100℃付近で出力がなくなった。いろいろのバイアス電圧をモニターしたが、冷却中特に問題はなかった。

これから、データをまとめる。出力用バッファーチップを外してみる。入力線をエポキシなどでガチガチに固める。また、OrCADで回路図を書き直す。(第2テストボード)

Q : クロストークはテストパルス入力のジャンパー付近で起きているのではないか。例えば、直接入力ラインよりシグナルを入力できないか。
Q : どうしてバイアス電圧のみをモニターしたのか。電流値の方がよいのではないか。
A : ATLASのASDボードも同様な冷却試験を比較のために行った。その際、冷却とともにバイアス電圧が変動しゲインの変動も観測した。そのようなことを参考に行った。
Q : 霜などの影響がでない恒温槽(試作品)を利用したらどうか。
C : 恒温槽は乾燥窒素を封入し、真空用パテ等でシグナルフィードスルー部分をシールドすれば-100℃まで使用可能である。槽内を真空にしなくてもよいので試験をし易くなる。
Q : ASICチップのボンデング部分は大丈夫か。

ALTROシステム、田内

ファイル:pdf( 11 pages, 2.6MB )
LC-TPCグループの与那嶺君からDAQ memo(pdf)( 6 pages, 856KB )

ALTROシステムはLHC ALICEグループのTPC読み出し(wire readout, PAD size of 4 x 7.5mm, 570K ch.)のData Acquisition System (DAQ)であり、ILCでのTPCのR&Dにも使用されている。ここではLC-TPC仕様のもの(GEM readout, PAD size of 1 x 5mm, 2M ch. )について簡単に説明を行いたい。(LC-TPCグループからの聞き込みなどによる)

その前に、先ず、我々の液体キセノンTPCの仕様(案)について以下のようにまとめた。

  1. 検出器
    PADサイズ:1mm x 1mm (2mm x 2mm)
    入力電荷量 : 電子数で100個から100,000個
    シグナル立ち上がり : 230-460nsec (グリッドとアノード間=0.5(1)mm)
    drift time 0 - 110usec
  2. Preamp gain
    gain 6mV/fC 程度
    rise time 100nsec 程度
    decay time 1 - 10us ( Preamp mode )
  3. Shaper gain 5 - 20倍 ( ADCの仕様による)
    peaking time 0.5us, 1us, できれば、5usecまでvariableだとよい
    Diffusionによる時間方向のばらつき=σで460ns (24cmドリフト)
  4. ADC
    10MHz程度, 10bit(少なくとも)
    パイプライン読み出し
本題からずれるが、超真空用のケーブルとしてドイツAllectra社の真空用カプトン絶縁被覆電線がある。

ALTROシステムはFront End Card (FEC)、Back Plane、Readout Control Unit (RCU)、そして、PCI-Xを装備したPCから構成される。FECはそれぞれ8個のPASAとALTROのASICチップ(16ch/チップ)を持ち128 chのパッドにカプトンフラットケーブル(長さ25-30cm, 40 lines = 32 signals + 8 ground lines, 0.5mmピッチの宇宙電子製のWRシリーズ)でエンドプレートに接続される。

PASA(PCA16仕様)にはShaper(gain of 12-27mV/fC, peaking time of 30-120nsec)とPreamp(gain of 5.25-6.5mV/fC, rise time of 10-80nsec, decay time of 1 -10usec)の二つのアンプ・出力モードがある。それぞれのパラメータはソフトウエアで設定される。この内のPreampモードがLXeTPCに利用できる。ALTROチップにはADC(<40MHz)とデジタル回路が含まれており、ベースライン補正、ガス増幅のイオンによるTail cancellation、zero suppressionなどが行われる。PASA+ALTROのch当たりの消費電力は高々40mWである。

RCUはトリガー(TTL)を受け取って読み出しを開始する。DataとAddress等から40bitにFormatされる。Dataは20bitで、10bitのADCと10bitのTime stampよりなっている。Addressは12bitで、branch (1bit =2)、FEC (4 bits =16)、ALTROチップ(3 bits=8)、チップ内channel(4bits=16)よりなっている。したがって、1個のRCUの全channel数は4096 (12bits)である。

ジョブの分担と電子ログブック、三原

ファイル:役割分担(pdf)

上のファイルの役割分担が提案され合意された。これにより、スタッフによる責任体制を明確にしたい。

電子ログブックは来週中に立ち上げたい。

その他

サマーチャレンジ予行演習は7月23日木曜日午前10時より終日行う予定である。

次回meetingは7/23日(木)午前10時から行う。

以上。