RDRのコスト評価による値が3桁の精度で表示されているが、(2007年2月IHEPでの記者会見で発表する数値としては)細かすぎるとのコメントをした。日本からは1桁でよいという意見を出したが、記者会見発表の場では2桁になった。GDEによるILCSCへのRDR最終原稿の提出後、4月にB.BarishとFNALで議論した。そこで、GDEがサイトを決めてしまうことに対し強い懸念を伝えた。 その結果、GDEとしては各領域から出されたサンプル候補地について詳細な技術的な検討を行う。そして、サイトの決定はしかるべき国際組織において行うことで一致したと理解している。 また、Program managerは当初一人の予定であったが、日本からも出したいと主張した。結局、3つの地域からそれぞれ一人を出すことになった。GDE-B.Barishの独走が目立っているが、ILCSCの役割等何かしなければならないと思っている。
R. Orbach科学担当次官(Department of Under Secretary)から日本政府関係者 と議論する場を設けて欲しい旨の提案があった。 R. Orbachは、Bush政権中の任期のため、現政権内で(ILCの米国建設の)土台を作りをしたいと思っているようである。 また、FNAL所長によると、FNALは201X(X=2〜3)までILC R&Dをやり、その後、状況によっては別のprojectを行うつもりである。
ILCSCは、現在のMACは解散し、EDR phaseに対応する新しいMACを立ち上げることを決定している。
ILCコストレビューが5/23-24にLAL (Orsay)であった。レビュー委員は16人で、アジアから中国(Chen Jiaer)、インド(S.S.Kapoor)、韓国(G.S.Lee)、日本(尾崎、常松、黒川)が出席した。コストの主なドライバーは主リニアックと一般施設(Conventional Facility, CF)である。そこでは、産業界との協力をもっと推進すること、ILCSCがもっとoversight(監督)することなどが指摘された。
DESYで開かれたILCSCにおいて、WWSからの提案を議論し、以下のように決定した。 (1)2008年秋までに測定器を2つに絞ること、(2)Research Director(RD)をできるだけ早く選出すること、(3)RDは、ILCSCが任命し、ILCSCに報告する義務があること、そして(4)測定器を2つに絞ることに関しRDに助言を与える役割を持つとInternational Detector Advisory Group(IDAG)を結成すること。また、RDはGDEのdirectorと並び、ともに、上に一つのアンブレラ(ILCSC)を持つべしとの意向が示された。測定器を二つに絞るために、Letter of Intent(LoI)をILCSCが今年の秋にcallし、来年夏までに提出を募ることになった。ILCSCではRDを選出する下部委員会を立ち上げて、候補者がノミネートされつつある。地域バランスの点からRDはアジアから、という意見が強いため、日本人がなる公算が大である。 EDR-MoUについては、BNLのS.Ozakiが中心となって草稿を作り、次回のILCSCで協議される予定である。 また、ILCSCよりEDR supportを各国政府に訴える手紙を書くことが、米国から提案され、これを受け、ILCSC議長から FALC議長へEDR-supportを要請する手紙が7月11日付で送られた。このILCSCにおいて、私(機構長)と駒宮はExecutive Board (EB) 結成の提案を行った。EBの役割が不明確である、また、EBが大きな権力を持つことが懸念されるとの指摘があり、提案は受け入れられなかった。もう一度考え直して提案したい。 この他PMが3人なったことによるcommon fundの扱いについて、FALC Resource Group (FALC-RG)で検討してほしいという要請がILCSCから出された。
アメリカ側はUNESCOタイプのcommitteeで同意を付けILCを推進する提案が非公式になされた。日本側はアメリカ提案に抵抗した。
第10回では、FALCの定義付けのための議論が行われた。ILC推進とcoordinationとは何か等のterm of reference(定義、規則)を今夏各国政府に提出する予定である。また、年1回 FLACよりanual reportを各国政府に提出することになった(2007年11月の予定)。RDR報告を受け議論した。RDRを社会がどう受け止めるか?ひじょうに魅力的、学問的重要性、を訴えることの必要性が指摘された。
第11回では、ICFA, RG, GDEなどからの報告があった。RDR完成後失効するMOUに代わるEDRのためのMOUの議論があった。EDR-MOUは8月のILCSCで策定される。PMを3人にすること,Research Directorについての意見交換があった。2013年までにシステムテストを終えてクライオモジュールの生産が可能になる予定。一方でR&Dにさらに時間をかけてコスト削減をめざすべきとの意見もあった。また、EDRはサイト選択など解決するためのマイルストーンであり、各研究機関の役割、競争と協力の必要性なども指摘された。リソースグループ(RG)にEDR作業に必要な予算配分の検討を依頼した。
技術的波及効果のワーキンググループでは、アジア、アメリカ、EUでcoordinateし独立にreportをまとめることとなっていた。7月には1-3枚程度の報告がアジア、アメリカよりあった。ヨーロッパは8月16日の第12回FALCに提出する。2008年1月18日の第13回FALCまでには、20ページ程度の報告書を作成する予定である。
RGから、2005- 2008年度のコモンファンドについての報告があった。これまで。KEKは1/6を負担している。決算がよくわからないなどの疑問点をクリアにした。2008年度は、PM3人、RDなどなど追加有り再検討が必要である。
測定器関連のスケジュールとして,9月17-21日にIRENG07、10月22-26日にALCPG07/GDE、12月4-6日に年会、そして、2008年3月3-6日にACFA-LC/GDEが開催される。
来年8月のLoI提出に向けて、GLDとLDCは統合され一つのLoIを提出することが合意された。その統一作業のための"Joint Steering Group"が6名のboard(合同委員会)により1ヶ月以内に結成される。
Research Director (RD)は ILC experimental program全体に責任を持ち、定期的にILCSCに報告することになっている。候補者は選出済であり、アジアより選ばれる予定である。
今年8月にILCSCがLoIをcallし、2008年末には2つの測定器が選ばれる。2010年には測定器EDRが完成される予定となっている。
PMの主な役割はtechnical development をworld wideにmergeすることであり、regional directorは国際協力の推進、予算支援、権威付けなどを行う。そのため、regional directorはその(regional)国際協力を定期的にreviewする。このようなtechnicalとregionalな流れは縦横のマトリックス構造のようである。
Project Management Structureでの山本の担当は、Main Linac technology ( Superconducting cavity , main linac integrationなど)であり、Global systems (civil, control, CF)およびProject Management officeはM.Ross、Accelerator SystemsはN.Walkerが担当する。これらのtaskをGDE directorの下に実行して行くのがPMの役割である。
今後、15個のEDR kick-off meetings により、RDRを自己評価し、EDRをどうするかなどを議論し、課題を技術的に整理、統合していかなければならない。
GDE コモンファンドはPM3人でバンクするようなものではだめで、増大していくものでなければならない。また、現金よりin kindでのサポートが主体とならなければならない。
GDEはEDRのための組織編成が行われた。その組織上、PMはレベル2で各エリアリーダーはレベル3に位置付けられている。今年中にwork package(WP)の編成作業が行われ、各WPごとに予算と責任の明確化が行われる。EDR kick-off meetingsは8月から10月に開催される。
KEKでは、ATFの開発項目のいくつかはDumping Ring (DR)のWPとして位置付けられる。KEKBでのILC-DR R&DもDR-WPとなる。ATF2はそれ自身がBDSの一つのWPと位置付けられる。ATF2のcommissioningは来秋である。また、ATF2は少なくともILC建設開始まで継続される。
4月に計画したスケジュールでは、4-7月STF0.5、9月から来年3月までSTF1であった。しかし、計画は以下のように修正された。10月に35空洞1台でSTF0.5をやり直し、45空洞については11月に決める。STF1の完了は来年5月ないし8月になる。 EP設備は10月から運転を開始するが、当面は野村のものと平行して運転する。
2010年EDR完成のためには2009年までには(GDEが)空洞タイプと加速勾配を決める必要がある。空洞タイプは純正TESLAタイプ、TESLA-like、LL型3つの中から選ばれるだろう。
KEKでは、2008年度にSTF2を設計する。高圧ガス検査を控えているので、建設開始の十分前に空洞タイプを決めたい。純正TESLAタイプでない場合は、TESLA-likeにしろ、LL型にしろ、それ自体として完全に動くこと、そして純正よりよい性能(高い加速勾配、純正では不足な諸性能改善など)を実証しなければ、GDEに選択されないであろう。 すでに選択のプロセスを開始した。 先ず、それぞれの問題点の指摘、それに答える形で進めている。 選択後は、選択された型に対して重点的にS0で設計勾配の確立(2009年末まで)を行う。選択されなかったものは長期計画として練り直す。最後に2005年から3年間の年度予算が示された。2007年度が前年度を若干下回っているが、ほぼフラットに推移している。
クライオモジュールは5月に組み上がり、真空引きと冷却試験の実施に移った。作業初期にcold boxにleakがあり、ただちに修理ののち、空洞をふくむクライオモジュールの真空引き作業に入ったところ、LL空洞のジャケットにleakがみつかり、LL cavityをHeライン系から切り離すこととした。それに2週間かかった。ついで、Baseline cavity (35空洞)だけがHeライン系につながった状態での真空引き作業中、再びleak があった。このleakは、真空断熱部を真空引きし、Heラインに加圧するときだけに検出されるもので、調査の結果、初期にcold box で leak したのと同じconnector部分であることがわかった。そのleak箇所の同定に時間を費やし、結論として、夏休み前の冷却試験は行うことができなかった。
cold boxは改造中で、9月からクライオモジュールに接続し、10月に35空洞冷却試験を行う。LL空洞は取り出しleak箇所の同定を行う予定である。
入力couplerは1MW, 2MWの2タイプをSTF地上部の試験エリアで大電力試験した。 TESLA like (35)空洞は4台試験し、3台は20MV/m、1台は29MV/mを達成した。LL(45)空洞は3台試験された。その内1台は両端が真直ぐのビームパイプのままのものであり、29MV/mを達成した。残りの2台は19.5MV/m、12.4MV/mを達成した。この中の1台をSTF0.5に組み込む。まだ試験されていない1台はtuner研究用に使用される。また、1台のLL空洞をJLABへ送った。そこで、表面処理などprocessが行われ加速勾配試験が行われる予定である。
また、6個のLL型単セル空洞による表面処理(レシピ)の試験が行われた。結果は46.7±1.9MV/mであった。 歩留まりなどは統計不足でわからない。
さらに、導波管の2つのタイプ組みあがり試験を予定している。日米協力で、100MW マルチビームクライストロンの製作を行っている。クリーンルーム稼働中、超純水稼働中、high pressure建設中, EP試験中である。縦測定装置は11月末に完成する。また、周波数などの自動pre-tuning装置をDESY,FNALとの共同で製作中である。これは、XFEL用 (FNALソフト、日米協力、来年春1台納入予定)のものでもある。
fast kickerは rise time < 3ns(2.2ns ) を達成した。2007年より取り出しの試験を行う。
現在は3 bunch (154ns間隔)を取り出しているが、fast kicker使用により、60bunch (154ns) 又は、30 bunch (308ns) のビームの取り出しが可能となる。実際には、local bump, septumの組み合わせで取り出すことになる。
ring BPMプロジェクトは、2pmのvertical emittance達成を最終目標としている。現状のボタン型BPMのエレクトロニクスシステムを性能のよいものに置き換えることが行われている。これは日米協力事業として行われ、SLACはdownmix-circuitを、 FNALは VME EchoteK モジュール, VME crate,を担当し、KEKはATF controlシステムを担当している。これまで、20個のBPM ( 10/arc)のエレクトロニクスシステムが更新された。その結果、DRビーム軌道位置精度が、±700um から ±25(15)um へと向上した。今秋に 5台が更新され、 2008春にはさらに60台更新される。これですべてのBPMが更新される。
Pulsed LWは電子ビームサイズ測定精度がσ=15umから8umへと向上した。実際の電子ビームサイズはum程度と小さいため、この測定結果はまだlaser beamの太さで決まっている。さらに、レーザーoptics改良でILCで必要な精度1umの測定を達成する予定である。
FONTは、3 bunch beamで試験を行い、2nd, 3rd bunchでfeedbackを確認している。
Fast ion instabilityは、20 bunchの後半のbunchでemittance growthの観測/測定で定量的に評価される。これまで、真空度を変えて測定した。single train beamでは真空度2x10-7Pa, 10-6Paでは観測されなかった。3 train modeで、2 x 10-5Pa でinstabilityを観測した。今後、窒素ガスinletにより定量的な測定を行う。
Webex, Skype 使用によって、ビームテスト時に、SLACよりremote participationが行われた。SLACとKEKのスクリーンを同時に眺められ、リアルタイムにデータ収集と解析が行われた。ただし、これによりSLACからATFの制御はできない(認められない)。
ATF2では、ATF ダンピングリングで得られる低エミッタンスビームを利用し、ILC 最終収束系の技術開発研究を行う。そのため、取り出しビームラインを西側に50m程度延長して新しいビームラインを建設している。これまで、電磁石設置用のコンクリート架台24台、そのmovers (FFTB使用のもの、27台)、4極電磁石(28台)、空洞型-QBPM (39台)の製作・納入が完了している。これら架台を含めて電磁石1セットをATF取り出しビームラインに設置し、first pulse calibration methodなどの試験を行った。
また、位置分解能2nmを目標とするIPBPMのR&Dも行われた。現在、8.7nmの分解能を達成した(1時間程度測定し続けた)。 床工事は9月末に完了予定である。beam commissioningは2008年10月を予定している。
7. ワーキンググループ報告(2):ATF/ATF2の状況
照沼助教から、以下の報告があった。
ATFでは、(ILC用) fast kicker, ring BPM (FNAL 本格参加), Laser Wire (LW), Digital IP feedback system (FONT), Fast ion instability(定量的評価)などのR&Dが行われている。建設中のATF2は、 Q-magnetの1 set, nm BPM のR&D、そして、新しいビームライン建設のための 床工事が行われている。
8. 長期計画
野崎委員から、以下の報告があった。
STF2以降、超伝導空洞技術の工業化(量産、quality control、歩留まりなど)を目的とするSTF3が長期計画の中心となる。 STF3では、RFユニット3台が直線上に並んでいる。空洞の総数は78台である。(RFユニットは3台のクライオモジュールで、それぞれのモジュールには9,8,9台の空洞が入っている。真ん中のモジュールには4極磁石1台も入っている。10MWのクライストロン1台でRFパワーが供給される。)STF3の総予算は115億円である。STF3のスケジュールは、2011年までに建家拡張し、2012年までに3 RFユニットの設置、2015までに運転・試験を行うものである。