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まとめ

以上に見てきたように、第一期 JLC 実験($\sqrt{s} = 300 \sim 500$ GeV)には、 超対称性理論の予言する軽いヒッグスの発見を初めとする多くの また極めて重要な物理がある。 超対称性のシナリオは 現在の精密実験データから予測される最も可能性の高いシナリオであり、 この場合には、JLC 計画はハドロンコライダー計画と比べ 格段に豊富な物理の成果を産み出す。

第一期計画のもう一つの重要な点は、超対称性のシナリオの成否に係わらず、 JLC における最初の実験が 次に進むべきエネルギーを定量的に指し示すということである。 この点で、第一期 JLC 計画は 高エネルギー物理学における戦略課題であるといえる。 世界の第一線でトリスタン計画を遂行してきたことで、 現在我が国では、加速器、実験、理論の全ての部門に於いて、 電子・陽電子衝突実験の新しい分野を切り開く先駆的な計画を 遂行する十分な実力が蓄積されている。 欧米がハドロンコライダーを推進している現在、 相補的である以上に十分な発見能力のある JLC を 一刻も早く建設することが、 高エネルギー物理学に携わるものに課せられた使命である。


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Keisuke Fujii
5/2/2000