JLCが目指す素粒子物理の最前線


標準理論のキーポイント

急速に発展した高エネルギー物理学(大型加速器による素粒子研究)の成果は、標準理論という体系を生み出した。
基本的な物質粒子はクォーク族とレプトン族であり、世代という秩序が観測されている。
互いに及ぼす力の原因となるゲージ粒子(場の量子)が確認されたし、力の普遍性も観測されている。
しかし、、、

#トップ・クォーク
標準理論では、ボトムクォークのパートナーとしてトップクォークが無くては困る。クォークのなかでも例外的に重いことがわかった。
発見するだけでなく、JLCでその性質を詳しく吟味する必要がある。

#ヒッグス粒子
標準理論では、矛盾を生じない形で基本粒子の質量を説明するために、ヒッグスという仮説粒子を導入している。しかし重さは予言できないし、粒子かどうかもわからない。
高いエネルギーで生成し、JLCで内容を調べない限り、その実体を知ることができない。

#ゲージ粒子間の力
標準理論は、ゲージ対称性を基本原理としている。ゲージ粒子は、自分で自分の反応を媒介(自己相互作用)できなくてはいけない。
JLCでは、この基本原理の証明に結び付く自己相互作用を精密に調べることができる。

標準理論を越えて

このようなキーポイントが検証されても、標準理論はもともと不完全なものである。究極の理論だとすると、量子的ゆらぎのために矛盾を生じてしまう。
この問題が起きないためには、JLCが目指すエネルギー領域に、新しい物理法則が現れなくてはならない。
超対称性とか粒子複合性などの色々な理論的可能性が検討されている。
また、標準理論の成功は、基本粒子間の3つの力がひとつの起源を持ち、大きなゲージ対称性が存在する可能性(大統一)を強く示唆している。

#超対称性粒子群
超対称性理論は、重力も含むすべてのゲージ力を統一する可能性を秘めている。すべての基本粒子に対応する超対称粒子が存在することになる。
JLCで発見される可能性が高い。

#基本粒子の内部構造
複合粒子理論では、標準理論での基本粒子の少なくともいくつかに内部構造を与える。粒子の複合性を知るには、高いエネルギーでの実験が必要である。
JLCでは、クォークだけでなくすべての荷電レプトンについても調べることができる。

#新しい基本粒子
現在のゲージ対称性の枠の大きさは、実験事実であって理論的根拠は無い。こn枠の拡張は、新しい物質粒子やゲージ粒子の存在を意味する。
Z'ボソンなどはこの例であり、JLCでの検出は容易である。

次のページへ目次へ


webmaster@www-jlc.kek.jp Feb 09, 1995