2014, 12/26のLXeTPC (TXePET) 打ち合わせのメモ原稿

日時:12月26日、 金曜日、午後1時30分より
場所:1号館1階談話室1
出席者:濱西(横浜国大)、田内(KEK)

以下、メモ(敬称略)です。ここで、Q(質問)、A(答え)、C(コメント)です。

Subatechでの研究成果報告、濱西

ファイル: PDF

約3週間の滞在のSubatechでの主な研究成果(GATE v.7.0を用いたXEMIS2シミュレーション)は、(1) 液体キセノン中での相互作用位置のHit情報を記録できるようにしたこと、(2) 最新のXEMIS2 幾何構造(geometry)に更新したこと、(3) これまでの解析手法と上記のHit情報を用いたものとのconsistency check、そして、(4) ガンマ線の散乱角方向を一様にして解析を行ったことである。将来の研究はコンプトン散乱そして3ガンマ事象の解析である。

GATE(v.7.0)では、二つのsensitive volumesを定義できる。それらの中では、相互作用位置のHit情報などを記録することができる。したがって、PMTに加えて、新たに液体キセノンをsensitive volume(LXeSD)として定義した。必要な情報を"LxeHits" Treeに保存することにした。このGATEの改良にNicholasの協力を得た。彼はSubatechのPost DocでGATEを用いて電荷シグナルによるCompton散乱の研究を行っている。XEMIS2 geometryの更新は、inner field cageの外側の電場の不均一なところを厚さ7mmのテフロンシリンダーで覆ったこと、outer field cageの銅リング形状を高さ8.5mm x 厚さ1mmとし5mm間隔に並べたこと、PMTの前面に静電シールドのため直径0.71mmのSUSワイヤーの6.3x6.3mm2メッシュ(開口率80.8%)を配置したことである。これらの変更に伴いPMTの設置される道径位置が大きくなり、2" (1") PMTの配列は4x20 (8x32)から4x24 (8x48)と変更された。液体キセノンのfiducial volumeはほぼ同じで、新しいものでは73.1mm < r < 187.1mmである。2" (1") PMTの光電効率は34.82 (30)%とした。また、中央部のカソードメッシュは重ね置きではなく「18角形」ようのものとした。175nmのシンチレーション光の液体キセノン中での反射率として、diffuse 95% @テフロン、specular lob 6.5%@ SUS304、specular lobe 23%@銅とした。

対向する2ガンマ線のシミュレーションとして、散乱角は、(1)35, 60, 85度に固定したもの、そして、(2)35~85度に一様分布させたものを仮定した。いずれの場合も方位角は90度に固定し、液体キセノンとの相互作用は光電効果のみとした。座標として、u, vの他に、PMTカソード面から道径方向のwを導入した。

解析方法:(1)の事象の解析はこれまでのもの(解析方法1)、(2)の事象はHit情報との差を用いたもの(解析方法2)そしてu,w平面を6x6の36分割してそれぞれの分割面で再構成位置の分解能を求めた(解析方法3)。

結果:(解析方法1)改良したGATEによるものは、u方向では浅い角度で20~40%大きくなったが、中央部のカソードメッシュの開口率の期待された依存性を示している。v方向は浅い角度で30%、90度で70%程度大きくなっている。 また、1"PMT ( 8 x 48配列)は2"PMT( 4 x 24配列)に比べて、検出される光電子が1/1.5 ~ 1/3であった。
(解析方法2)35〜85度の角度一様分布の全体の事象から、σu=19.3mm, σv=15.1mmとなった。ただし、uやvの正負で中心値(再構成位置 - Hit位置の差の分布)が違うので、(解析方法3)のu-w平面の64分割ごとに分解能を評価した。それぞれの分布で、uとvの平均値は系統的にuとvとwの関数となっている。アノードとカソード面付近でシンチレーション光の検出がu方向に非対称となることがその原因であると考えられる。w方向にもinnerとouter field cageによる同様の非対称性がある。特に、v方向はw依存性が顕著である。

このように、u, vの平均値は反応位置の依存性があるので、これまでの重心法による位置の再構成を修正しなければならない。また、統計を上げて系統的にそれらの依存性を求めなければならない。そして、位置の較正方法を求めなければならない。

今後の課題は、vの代わりに方位角での分解能を求めること、上記の依存性の精度を上げること、Dとwの関係を求めること、カソード、電極などの材質の最適化を行うことである。

C : 解析方法1で新旧で分解能が違っている原因を特定することが必要である。一つの候補としてinner field cageを覆うテフロンシリンダーの影響がある。テフロンの反射率(diffuse)は95%である。
C : vの分解能はuに比べてsystematicに大きい。この原因が2"PMTの分割(2vx4u)であるなら、4vx4uにすべきである。
C : 方位角(φ)とvは、v= r・φの関係にあり、φ座標をとれば反応位置による依存性が小さくなるかもしれない。
C : 再構成方法の一つとして、U=f(u,v,D), V=g(u,v,D), W=h(u,v,D) 、つまり、Hit位置のU,V,Wを再構成された位置のu,v,Dの関数として求めることがある。このような関数が定義できればよい。これはシミュレーションによる位置の較正である。
C : 実際の試験では再構成された位置の較正は電荷シグナルによる3次元位置との比較で行うことができる。

22Na ガンマ線スペクトラム測定、田内

ガラスデユワーでのPMTによるシンチレーション光測定(Cf=470pF, Rf=200kΩ):液体キセノン中、22Naガンマ線スペクトラムの測定を行った。511KeVのピークがあった。サマーチャレンジでのγ線スペクトラムと比較した。電子ログ( http://zenon.kek.jp/APD/69 )にあるように、511KeVでのエネルギー分解能はともに7%であった。今回のものは低エネルギーでより多くのスペクトラムを得た。それは241Amによるガンマ線(50KeVなど)によるものと思われる。

予冷装置試験、笠見(メール連絡)

ヒートリンクの導線を増強して窒素ガスによる試運転を一度した。納入時よりもほんの少し冷えているようだ。残りの試験は、来年に行いたい。
以上。