以下、メモ(敬称略)です。ここで、Q(質問)、A(答え)、C(コメント)です。
このとき、TPC anode HVを印加してノイズの状況も見た。+40V程度でもシグナル出力のベースラインが大きくゆれている(2mV/divのスコープレンジで)。また、 周期5usecの『発振状』ノイズも現れ印加電圧の大きさとともにその振幅が大きくなることを見た。
したがって、anode HV電源(0 ~ +500V程度)として安定なものが必要である。
Open-It のTPCFEホームページでいろいろの情報を蓄積することとなった。
主な論点は、オペアンプAD829を用いたプリアンプの16ch NIMモジュールの発振対策の断念と液体キセノンの純化プロセスについてであった。
この断念にいたるまでの経過は電子ログ(http://zenon.kek.jp/Electronics/)に詳しく報告されている。この16ch NIMモジュールでは一枚のPCボード上に、AD829、抵抗、コンデンサーなどの部品がチャンネルごとに静電シールド無しで配置・配線されている。少数チャンネルの入力時には問題ないように見えるが、16チャンネル入力時にすべての出力が発振し不安定となってしまう。個々のチャンネルにはそれぞれ位相補償等の発振対策(回路図、AD829のshunt compensation)が施されている。したがって、個々のチャンネルごとにシールドをしなければならないものと思われるが、そのためには大幅なモジュールの改造とさらなる試験などが必要になる。すでに実績のあるAMPTEK製のA250をプリアンプとする16ch NIMモジュールを製作することにした。それと伴って、このcold部分(液体キセノン温度となる)のドーターカードも2SK152をJFETとして採用したものに変更した。このとき、feedback用のコンデンサー,抵抗値を0.1pF, 1GΩに代えチャージアンプのゲインを約10倍高くした。これらのエレクトロニクスは製作・試験済みである。
2010年の9月〜11月末までの液化・循環でα線からの電荷シグナルを観測できていないことで、Xeガス循環用のダイヤフラムポンプ(液化・純化システム図)の不良を疑い交換した。交換後の2011年2月〜2月末までの液化・循環でこの交換による改善があまり見られないことで、バッファータンク接続状態でのガス循環がうまくいってない可能性があることがわかった。また、以前の循環時には熱交換器のchamber側がかなり冷えていたが、今回はあまり冷えていなかったこともそれを裏付けているように思われる。そこで、バッファータンクの元弁を閉めてクライオスタット側 (液部)を強制的に吸い込またところ、少し改善傾向が見られた。このような結果と循環速度すなわち純化速度を上げるために、連休後の液化・循環で、バッファータンクに逆止弁を取り付けること、冷凍機用のコンプレッサーと温度制御用ヒーター電源を増強することにした。また、重点レビューで指摘のあった、液を吸い込むテフロンチューブと熱交換器の入力パイプのつなぎ部分をスタイキャストで接続し、ここでの漏れのないようにした。(この部分は常温で圧力をかけた試験では漏れは見えなかった。)
次回の定例会議は、4/28(木曜日)の午後4時からの予定です。
以上。