2011, 4/21のLXeTPC (TXePET) 打ち合わせのメモ原稿

日時:4月21日、木曜日、午後4時より
場所:開発棟サロン (210)
出席者:佐伯、(笠見)、田内(KEK)、(高木、Skype)

以下、メモ(敬称略)です。ここで、Q(質問)、A(答え)、C(コメント)です。

進捗状況、田内

chamber内設置の5番のドーターカードを9番のものに交換し、アノードから1cmのところにワイヤー状のα線ソース(200Bq程度)を取付けた。液体キセノン用の内筒を取付け、テストパルスでシグナルを確認した。この内筒はアルミフォイルテストでの静電シールドの効果を果たしていることを確かめた。したがって、ドーターカード周囲の静電シールドを追加する必要はない。

このとき、TPC anode HVを印加してノイズの状況も見た。+40V程度でもシグナル出力のベースラインが大きくゆれている(2mV/divのスコープレンジで)。また、 周期5usecの『発振状』ノイズも現れ印加電圧の大きさとともにその振幅が大きくなることを見た。

したがって、anode HV電源(0 ~ +500V程度)として安定なものが必要である。

エンドプレートの強度試験準備、佐伯

明日か明後日ににエンドプレートをスタイキャストで接着する予定である。

ASICチップの低温試験等、田内(高木)

4月15日に打ち合せ(EVO registration/login)を行った。先ず、トランジスタTEGの低温試験を行うことになった。そのために必要なエレクトロニクスなどを横浜国大に送るようにしたい。先ず、低温試験はスターリング冷凍機を使用した恒温槽で液体キセノン温度(-100℃)まで行いことが合意された。液体He温度では不思議なことが起こることが期待されるなど、さらに低温での振る舞いは興味があるが、先ず、そのような領域の研究について文献等で調べることとなった。

Open-It のTPCFEホームページでいろいろの情報を蓄積することとなった。

C : 超伝導物質のRRR測定用に見積もったときの小型冷凍機とクライオスタットのセットの図面があるので参考にしてほしい。このクライオスタットを製作、あるいは購入すると、ICチップの低温 (4Kまで)試験ができるようになる。

4/19重点レビュー報告、田内

4月19日(火曜日,午後1時30分〜)に液体TPCプロジェクトの重点レビューが測定器開発室主催で行われた。液体キセノンTPCは田内が報告し、そのスライドはここからダウンロードできる。ここには、レビュワーの海野さんが参加された(柴村さんは欠席された)。

主な論点は、オペアンプAD829を用いたプリアンプの16ch NIMモジュールの発振対策の断念と液体キセノンの純化プロセスについてであった。

この断念にいたるまでの経過は電子ログ(http://zenon.kek.jp/Electronics/)に詳しく報告されている。この16ch NIMモジュールでは一枚のPCボード上に、AD829、抵抗、コンデンサーなどの部品がチャンネルごとに静電シールド無しで配置・配線されている。少数チャンネルの入力時には問題ないように見えるが、16チャンネル入力時にすべての出力が発振し不安定となってしまう。個々のチャンネルにはそれぞれ位相補償等の発振対策(回路図AD829のshunt compensation)が施されている。したがって、個々のチャンネルごとにシールドをしなければならないものと思われるが、そのためには大幅なモジュールの改造とさらなる試験などが必要になる。すでに実績のあるAMPTEK製のA250をプリアンプとする16ch NIMモジュールを製作することにした。それと伴って、このcold部分(液体キセノン温度となる)のドーターカードも2SK152をJFETとして採用したものに変更した。このとき、feedback用のコンデンサー,抵抗値を0.1pF, 1GΩに代えチャージアンプのゲインを約10倍高くした。これらのエレクトロニクスは製作・試験済みである。

2010年の9月〜11月末までの液化・循環でα線からの電荷シグナルを観測できていないことで、Xeガス循環用のダイヤフラムポンプ(液化・純化システム図)の不良を疑い交換した。交換後の2011年2月〜2月末までの液化・循環でこの交換による改善があまり見られないことで、バッファータンク接続状態でのガス循環がうまくいってない可能性があることがわかった。また、以前の循環時には熱交換器のchamber側がかなり冷えていたが、今回はあまり冷えていなかったこともそれを裏付けているように思われる。そこで、バッファータンクの元弁を閉めてクライオスタット側 (液部)を強制的に吸い込またところ、少し改善傾向が見られた。このような結果と循環速度すなわち純化速度を上げるために、連休後の液化・循環で、バッファータンクに逆止弁を取り付けること、冷凍機用のコンプレッサーと温度制御用ヒーター電源を増強することにした。また、重点レビューで指摘のあった、液を吸い込むテフロンチューブと熱交換器の入力パイプのつなぎ部分をスタイキャストで接続し、ここでの漏れのないようにした。(この部分は常温で圧力をかけた試験では漏れは見えなかった。)

今後の試験と次回実験の予定

来週からchamberからの真空引きを開始したい。TPC anode HV電源のノイズ対策は平行して行う。

その他

次回の定例会議は、4/28(木曜日)の午後4時からの予定です。

以上。