2011, 1/6のLXeTPC (TXePET) 打ち合わせのメモ原稿

日時:1月6日、木曜日、午後4時より
場所:開発棟会議室 (208)
出席者:佐伯、三原、笠見、田内(KEK)

以下、メモ(敬称略)です。ここで、Q(質問)、A(答え)、C(コメント)です。

進捗状況、田内

GND製A250 Preampの試験の詳細は、電子ログのElectronics ID=44,45,47,48を参照してほしい。その結果を簡単に説明する。 12月24日にテスト用のボード(NIM-PCボードで16chのパターンがあり、ch1と3の2chのみ実装)が納入された。これには予め位相補償用のコンデンサー10pFが付けてある。JFET-drain電流調整用の抵抗2KΩ(1/6W)などを取り付け試験を行った。2chとも±0.5V, 2MHzで発振していた。コンデンサーの容量を変え調べたところ、49pF以上で発振を止めることが出来ることがわかった。ただし、テストパルス出力に少しリンギングがあるので、47pFと56pFの二種類でそれぞれ2chづつ、合計4chの実装をGNDに依頼し、12/28にその修正版を受け取った。それらの試験を行い、以下のように期待通りの結果が得られた。56pFのもののほうがリンギングが小さい。47pFのものにはPC250/A250 ( 10pF, 2KΩ)のものとほぼ同じのリンギングがある。さらに、その出力をN568Bに入力し、いわゆるshaping ampの出力も観測した。これらの出力にはリンギングの影響は見られない。また、4ch同時に入力しても各chにその影響は見えない。

2SK152実装のドーターカードはテフロン系の基板でレギストなしで製作する。これもfeedback用のC/R=1pF/100MΩと0.1pF/1GΩの二種類を先ず試験することにした。来週中にテストカードが納入される。

上のように、現在、8ch分のPADシグナルをアンプし読み込むことが出来る。PADno=5~12の8chを結線した。この状態で、Runlog ID=171 ~173に示すようにデータ(宇宙線、αトリガー)を収集した。

シンチレーション光の波形解析(PSD, Pulse Shape Discrimination )を試みた(Runlog ID=170)。α線ソースと宇宙線によるシグナルをPSDによって分離することができそうである。1月になり、キセノンガス中でのPSD解析も行った(Runlog ID=176)。ガス中では大きなテールが見られる。このことにより、液体中のものとほぼ分離することができる。Nantesグループの解析では、α線、γ線が明確に分離されている。

C : シグナルのテールは純度を示す指標にもなりうると考えられる。MEG実験などから不純物として窒素があれば立ち上がり成分(ピーク値)は変えないがテールをなくする影響がある。これは、再結合の際に活躍する電子を窒素が吸収することによると考えられている。また、酸素が有れば、シンチレーション光を吸収するためピーク値も小さくなる影響がある。

エンドプレートの強度試験、佐伯

強度試験用の3.5mm厚のセラミック製エンドプレート(5cm x 5cm, 4枚)が12月に届いた。ICF152フランジ(内径101.8mm)に取り付け、水圧による試験準備を行いたい。今回このプレートのフランジへの固定はスタイキャストによる接着を採用する。水圧は3気圧以上(絶対圧)とし、できれば、破壊限界を調べたい。そのために必要な技術的な準備(試験用のchamber,ポンプ,圧力計とレコーダーなど)への協力を笠見さんにお願いしたい。 この後、接着をロウ付けに変更して試験を行う予定である。
C : ロウ付けについて細山氏に相談するのがよい。
C : セラミックの固定方法として拡散接合もある。例えば、同じような構造で石英ガラスと金属との拡散接合が行われ、10-11Paという超高真空を達成している(浜松フォトニクス)。この方法はセラミックプレート上のリング上パターンは不要と思われる。
C : 無垢のセラミックと金属のロウ付けも可能と思われる。

今後の試験と次回実験の予定

年明けの1月、ダイヤフラムポンプ, 真空計など交換作業を行った(Vacuum & Cryogenics ID 37 )。すでに真空引きを行っており、ゲッターポンプを使用している。

先ず、キセノンガスでの試験を行う予定である。ガス圧は0.04MPa(ゲージ圧)とし、循環による純化を行いシンチレーション光と電荷シグナルを測定してその純化過程をモニターする。FADC100(c1115)によるDAQとデータ解析のdebugも行う。 その後に液化を開始する。

Q : ガス状態の循環サイクルの流量を最大限で行いたいので、その間の純化モニターを密にしてほしい。
A : 任意の時間間隔で光量モニターを起動する。
C : 現在、熱交換器は断熱材で覆われているが、その部分を真空断熱にすればかなり熱交換の効率が上げられる。その結果、純化・循環の流量も増やすことができる。すでに、数倍という実績がある。
次回実験では、純度モニターのためにアノードから1cm離れた電極にワイヤータイプのα線ソースを取付けたい。2009年度にギャップ間隔1cm(グリッド無)での電荷シグナルによる純度モニターができている(PDF)。この電荷シグナルとシンチレーション光量やPSDなどで純度をモニターしたい。

2011年度の計画と予算(概算)

科研費申請での予定は12cmドリフト、6cmのγ線conversion length(約70%の効率)、2x4のPMTマトリックスからなるプロトタイプ(PDF)の製作と試験です。これにしたがった概算を行っている。ただし、液体キセノンの純化(不純物のppb以下)が前提となるので、純度向上のためのR&Dと予算を優先したい。 その対策の候補を以下に列挙する。 これらはすべて循環の流量を増やすためのもので、不純物の源となるものを液体キセノン内から取り除くことも必要である。その1つとして、エンドプレートで真空との分離、真空側にASICチップ等実装などを予定している。

その他

次回の定例会議は1月27日(木曜日)、午後4時からです。

以上。