2010年夏期の進捗報告と今後の予定
7/20に行われた重点レビューからこれまでの進捗状況を簡単に報告します。レビュー結果と発表ファイルはここにあります。
それらの詳細は電子ログと実験ノートを参照して下さい。
1. TPC試験(4cmドリフト、16PAD)
- (1)Anodeシグナルが見えなかった原因
ドーターカードからのdrainとfeedbackのケーブルがフィードスルーコネクターで逆に接続されていた(7/31)。 テストパルス出力が期待値の約1/200であったことも同じ原因であった。
- (2)8枚のドーターカード上のほとんどのJFET(BF862, surface mount)のSourceとGateがショートしていた。これらをすべて交換した(8/5)。
- (3)これら修正・変更後、テストパルス試験時に、強い発振が現れた。これはA250/P250のpreampの位相補償の対策を施し発振をおさえることができた(8/6)。テストパルス出力はすべてのchannelでほぼ期待通りになった。
- (4)TPCのドリフト距離を5cmに『変更』した(8/9)。メッシュ部分は変更なしである。
- (5)真空ビルドアップ試験を行った。このとき、Getter pumpを止めてから約15時間後に行った。(9/1)
- (6)chamber内にXeガスを絶対圧で0.035気圧そして1.4気圧封入した。1.4気圧でα線からのシンチレーション光のシグナル波高がほぼ同じになるように、PMT電源のPMT1とPMT2を+660Vと+600Vにそれぞれ設定した。(9/2)
- (7)TPCカソード電圧を-2.5kV、アノード電圧を250Vに設定し、PAD(no.10,11,6,7)からのシグナルを観測したが見えなかった。テストパルスはすべてのchでOKである。このときのpreampはA250/P250であった。(先週まで)
- (8)電荷シグナル(1.4気圧のキセノンガス中)を確認した(9/13) 。
『出力ゲイン』を5倍にしたGND- PreampにPAD no.=10を入力し、その出力(OUT)をPostampのN586Bに入力し、その出力を他のシグナルともにオシロスコープで見た。そのスクリーンのコピーを添付 (TEK0072.jpg) 。ここで、出力ゲインとはCF=1pFによるCharge amp後でのものを指している。Preamp charge gainはともに1V/pCである。
ここで、オシロスコープ : ch1=PMT1シグナル(HV=660V), ch2=PMT2シグナル(HV=600V), ch3=PAD no.6でA250 preamp+N568Bの出力, ch4=PAD no.=10でGND preamp+N568Bの出力。スコープのトリガーはch1、すなわち、PMT1のシグナル。
ch4シグナルで、PMTシグナルより30usec遅れてマイナス側にバンプがあるのが電荷シグナルで、ゲイン1のA250 preampにつないだPADシグナルには見えない。
anode電圧を0から300Vまで変えて電荷シグナルの様子を見た。0Vの時のスコープコピーも添付する (TEK0075.jpg) 。また、300Vのものも添付する (TEK0081.jpg) 。300Vには、ch3にもシグナルが見え出している。
シグナルの他に数usecのノイズがPADシグナルに見える。その大きさはanode電圧とともに大きくなっているようだ。また、A250 preamp, GND preampに共通に見える。できれば、なくしたい...(グランドの取り方?)
結論として、grid付きTPC, front-end electronicsは正常に動作している。
2. GND製 16ch NIMモジュール試験と改造
- (1)入荷時より入力無しで発振(電子ログ 4/15 : 再測定で確認)
- (2)前段と後段アンプの中間に位相補償用コンデンサ挿入による対策をする( 8/5-24)
- (3)GNDに発振対策(上記のものとオペアンプの位相補償など)を提案(8/28)
- (4)上記、発振対策が有効なことを確認した(9/10)
- (5)16ch NIMモジュールの全channelに発振対策することをGNDに依頼した(9/13)
3. その他:DAQシステム
- (1)2249W 1台、FADC100MHz 4台、FADC500MHz 1台を読み込むDAQプログラムが完成した(7/21)
- (2)上記の中で判明したFADC100MHz(C1115)3台の故障の修理を林栄精機に発注した(7/28)
- (3)修理品入荷(9/8) まだこれらをチェックしていない。
- (4)Post amp ( shaper)のCAEN製N568B用の16ch出力インターフェースボード(100Ωから50Ωへインピーダンス変換、フラットケーブルかられもケーブルへ変換など)の製作を行った(8/12)
- (5)PADからのテストパルスを用いてN568Bのチェックを行った(8/16)
4. 学振・日仏二国間交流(共同研究)の申請を行った(9/10、締切 9/13、学振処理中)
申請書のPDFファイルを添付します。 SubatechのD. Thersと連絡し、フランス側でもほぼ同時にCNRSへJoint projectとして申請を行います(必須条件)。このとき、先に申請していたPICSを取り消すとのことです。
以上が進捗状況です。
5. 今後の予定:
ガス中で電荷シグナルを確認できた。そこで、可能なら、すぐにでも、液化を始め、液体キセノン中でもシグナルをチェックしたい。
9/13の午前中から液化を始めることに決めた。今回、温度コントローラーを更新したので慎重に進める(笠見)。
また、今週、木曜日(9/16)の午後4時から打ち合せを行いたいと思います。