2009,7/9のLXeTPC (TXePET) 打ち合わせのメモ原稿

日時:7月9日、木曜日、午前10時より
場所:先端計測実験棟多目的室
出席者:藤井、東、三原、春山、田内

以下、メモ(敬称略)です。ここで、Q(質問)、A(答え)、C(コメント)です。

TPCとPMTのシグナル解析、藤井

ファイル:pdf ( 7 pages, 1.2MB )

TPC電荷シグナルの大きさ(PH)のHV(電場強度)依存性を0.25kVから3kVまで測定した。大きさは63mVから158mVまで変化した。分布のσのHV依存性も示した。σは12mVから20mVと変化した。これより、電場が大きくなるとresolutionは小さくなくことが期待される。(実際に、σ/PHは19%から13%に小さくなっている。ここでノイズの効果がまだ差し引かれていない。)これらの結果は、E. Aprile et al., NIM A307 (1991)119-125の論文の結果と直接比較できる。

PMTシグナルのHV依存性を測定している中で、HV=-3KV時にPMT2シグナル分布に異常が見られた。シグナル分布のピーク値のHV依存性を見ると、二つのPMTとも、HV=-2.75 kV から再びシグナルが上がり始めている(PMT2では-2.5kVにもその兆候がある)。PMT1-gain=5.5e+06, PMT2-gain=2.2e+07として光電子数にも換算した。PMT1のシグナルから、HV=0に対して-2kVではphoton数が3%ほど減少している。α線energy 5.5MeVでXeの平均電離energy 20eVとすると2.75e+05の電子数に相当するこのうち3%が再結合を免れたとすると約8.25e03個となる。これはpre ampで1.32mVの電圧に相当し、post ampで80倍されるので106mV程度のsignalが期待される。

以上のTPCシグナル値はまだペデスタルを差し引いていない。HV=0V時のものをペデスタルとすると46mV程度になる。HV=-2kVの134mVからこの値を引くと88mVとなる。これは期待されるものの約81%にあたる。この値から純度を再評価することができると思われる。

現在、モンテカルロ計算でパッド上を2πランダムに通過する宇宙線ミューオンのenergy depositを考案中である。また、多チャンネル読み出し(4chまではampがそろえば可能になる)はできれば今週に終わらせたい。

C : TPCとPMTともにペデスタルは差し引いて結果をだすこと。分布のσはそれぞれの二乗を差し引けばよい。
C : E.Aprileらの論文の結果のグラフから読み取ると、2kV/cmでQ/Q0=4%である。この値が再結合を免れたものである。グラフを数値化して比較してほしい。この論文には残念ながらPMTシグナルのHV依存性の測定値はない。
C : 液体キセノンの電離エネルギーはシンチレーション発光のものより小さく、15.6eVである。
C : PMT2シグナルの異常現象で、測定時間系列に分離して分布を見てみること。
C : TPC電荷シグナルより電離電子数を計算するとき、post ampゲインも校正すること。

ASICチップテストボード、東

ファイル:pdf( 11 pages, 1.2MB ) 、ENC再測定結果(pdf)ASIC試験レポート( 7 pages, 484kB)

常温でリニアリティーとENC ( Equivalent Noise Charge )の測定を行っている。ASICチップを実装したテストボード(GND製)は2枚ある。その内の1つが無鉛のハンダ付けが行われ、これを低温試験に使用予定である。

シグナルの入力はテストボード上のTEST INで、Function generator(Agilent 33220A)からの矩形波を用いた。その大きさはアッテネータで変えた。Oscilloscope (Tektronix TDS 5054 Digital Phosphor Oscilloscope) で測定を行った。

リニアリティー:入力電荷の±340fCでの出力をプロットし、直線フィットを行った。原点(0,0)を通る条件を入れなかったため、オフセットがでてしまっている。レポート中の数値では、-60fCから50fCで5.56V/pCから6.40V/pCの一次係数(ゲイン)が得られた。線形性からのズレからダイナミックレンジを評価することができる。

ENCの測定結果も示された。このとき、検出器容量に対応するコンデンサーは入力部に直接ハンダ付けした。示された二つの結果は、測定方法が違ったり、測定器容量によるゲイン降下の補正の有無の違いがある。

上の添付ファイルにあるようにmeeting後に再測定が行われた。検出器容量が0のときENC=400電子数で、50pFでは610程度であった。このとき、線形性すなわちゲイン値も入力電荷量の-29〜-164fCで5.97V/pCと求められた。

Ch3に60mVのTEST入力時に、近くのChのクロストークを測定した。Ch3=372mV, Ch2=64.6mV(17%)そしてCh0=30.0mV(8%)であった。

冷却試験を本日もしくは明日に行う。

シミュレーションは、Verboseカットを解除してシンチレーション光子数を出すことができるようになった。

Q : クロストークが大きいのではないか。
A : 田中秀治さんによると(一定であれば)構わないと言われた。ASICチップとしては大きすぎるとのことで測定方法を含めてさらに検討を要する。
C : ASICチップの冷却試験をする前に、使用されているものの機械的なテストを行うべきである。
C : 温度計でモニターしながら、できるだけゆっくり冷やした方がよい。
C : ENC測定等、同様のASICチップのpublicationをできるだけ多く読むことが必要である。例えば、ENCはpeaking timeなどにも依存する。参考論文の一例:O.Gevin et al., NIM A567(2006)140-144.

2009年度の目標とジョブリスト、三原

ファイル:2009年度計画と役割分担(pdf) , ( 5 pages, 116KB)、2009年度スケジュール (pdf)

2009年度の目標、ジョブリストそしてスケジュール表が示された。詳細は上のファイルを参照のこと。

主に、5cmドリフトのTPCを製作し検出器としてのperformanceを示すことが第一の目標である。夏以降、2回のセットアップ変更と冷却試験を予定している。

現在のスタッフのFTEは1以下であり(ほとんどのスタッフが0.1程度)、学生は1.2程度(2人で増加予定)である。今後、スタッフのFTEを上げてR&Dを遂行して結果を予定通りに出せないと測定器開発室からの支援を得られなくなるかもしれない。 したがって、下にリストしたすべてのR&D課題に必ずスタッフが加わることが必要である。

議論の結果、スタッフの役割分担として、このようにすること(pdf)を提案することとなった。

次回のmeetingでもう一度よく議論し決めたい。

その他

サマーチャレンジ予行演習は7月23日木曜日午前10時より終日行う予定である。

次回meetingは7/16日(木)午後4時から行う。

以上。