8/21のLXeTPC (TXePET) 打ち合わせのメモ原稿

日時:8月21日、木曜日、午後4時より
場所:先端計測実験棟多目的室
出席者:春山、金子、東、田内、三原(PSI, Webex )

以下、メモ(敬称略)です。ここで、Q(質問)、A(答え)、C(コメント)です。

TPC試験報告(金子)

ファイル:報告:ppt , PDF ( 12ページ, 88KB )

宿題:
『cathode, grid, padからなる構造の設計原理。特にgridの機能、それに基づくPADで検出されるシグナルの大きさ、立ち上がり時間などの見積もりの説明』

前回のmeetingメモにある藤井氏の講義録を参考に説明を行った。特に、gridは、(1)ドリフト領域で生成されたキセノンイオンの正電荷と電離電子の負電荷による誘導シグナルのシールド、(2)電離電子の通過率を100%にすること、(3)grid-pad間距離がpadでのシグナルの立ち上がり時間を決定することなど重要な役割を持つ。ここでpadシグナルのdecay timeはフロントエレクトロニクスのチャージアンプ特性で主に決定される。

TPCプロトタイプの挿入後にTPC本体に取付けたアンプが動作しなくなることの対策を行っている。原因はアンプボード(PC250)上の±6Vの電源ラインがショートしてしまうことと判断した。その対策として、電源ライン接続部分を絶縁する。絶縁方法として、テープ(カプトン又はテフロン)使用、アラルダイトなどで覆うこと等を検討している。

このmeeting直後に、挿入時の問題が多数のケーブルの処理にからんでいることが指摘された。今回のテストでは、内部設置されるアンプと外部のアンプの2チャンネルのみの読み出しであるので、16個のpadを2分割にまとめ、2チャンネル分のケーブルのみを使用することとなった。この変更を最優先で行いたい。

C : padシグナルの立ち上がり時間は電荷量によらず一定であること。TPCプロトタイプでは1μsで、constantであるため時間情報も正確に決定できる。
C : 今回のプリゼンをレポートとしてまとめること。grid用のメッシュ条件なども含めて、出来る限り定量的に(数値で)説明し、anode padの改良も含め、参照論文等もしっかり書くこと。
Q : 現在のメッシュ(grid)を電離電子が通過するのか。
A : gridの通過率について解析的な公式がある。それによると100%通過するはずである。この返事は正しくないことがわかった(後で説明)。

TPC本体の準備と平行して、CAMAC CCnet の使用・準備を行っている。インターネットIPアドレス取得し、CCnetにlogin 可能となった。この使用上の問題点として内蔵メモリが小容量であることがあり、NFSマウントによる外部ディスクを使用するように推奨させている。したがって、NFS serverを設定中である。

シミュレーション報告(東)

ファイル:報告:PDF ( xxページ, xxx )

宿題:
『幾つかの発生点からの2ガンマ線のシンチブロックでの検出のパターンを求めてみること。 また、次回、ガンマ線検出からイメージングまでの流れを示す大きなアルゴリズムを示すこと。』

C : 正しく宿題を理解していない。
C : PETイメージングがx線CTスキャンと同じアルゴリズムが使用される。もちろん違いはある。参照論文:『PET画像の再構成法の現状と展望』、田中栄一、日本放射線技術学会雑誌、第62巻第6号、771-777。
C : 大きなアルゴリズムを示し、全体の流れを先ず説明すること。

液化スケジュール

本meetingでは、今週末に提案された変更など対策を施し、来週早々に冷却を開始することが議論された。低温グループ(春山、笠見、鈴木)に、少なくとも前日に開始時間を連絡することとなった。

グリッド(メッシュ)の電離電子・通過確率

現在使用のものは、200メッシュで、メッシュワイヤの半径と間隔:r=26.5μm, d=127μm メッシュとpadとの距離:2mm である。メッシュとpadの間に、ドリフト領域に比べて5倍の電場をもつ。

通過率に関しての公式は、"Design of Grid Ionization Chambers", by O.Bunemann et al, Canadian Journal of Research, Vol.27 (1949), 191-206の論文で与えられている。 それによると、ドリフトしてきた電子雲のほとんどがGRIDを通過するには、
Z = E2/E1 > ( 1 + 2πr/d ) / ( 1 - 2πr/d) - (1)式
の条件が必要である。ここで、E1はドリフト領域の電場、E2はGRIDとanode-pad間の電場である。上のメッシュのr,dを入れると、2πr/d=1.31 > 1 となり、(1)式の適用外となっている。おそらく、電離電子は通過できないと思われる。

この問題の対策を早急に立てることとなった。

以上。