以下、メモ(敬称略)です。ここで、Q(質問)、A(答え)、C(コメント)です。
宿題:
『cathode, grid, padからなる構造の設計原理。特にgridの機能、それに基づくPADで検出されるシグナルの大きさ、立ち上がり時間などの見積もりの説明』
前回のmeetingメモにある藤井氏の講義録を参考に説明を行った。特に、gridは、(1)ドリフト領域で生成されたキセノンイオンの正電荷と電離電子の負電荷による誘導シグナルのシールド、(2)電離電子の通過率を100%にすること、(3)grid-pad間距離がpadでのシグナルの立ち上がり時間を決定することなど重要な役割を持つ。ここでpadシグナルのdecay timeはフロントエレクトロニクスのチャージアンプ特性で主に決定される。
TPCプロトタイプの挿入後にTPC本体に取付けたアンプが動作しなくなることの対策を行っている。原因はアンプボード(PC250)上の±6Vの電源ラインがショートしてしまうことと判断した。その対策として、電源ライン接続部分を絶縁する。絶縁方法として、テープ(カプトン又はテフロン)使用、アラルダイトなどで覆うこと等を検討している。
このmeeting直後に、挿入時の問題が多数のケーブルの処理にからんでいることが指摘された。今回のテストでは、内部設置されるアンプと外部のアンプの2チャンネルのみの読み出しであるので、16個のpadを2分割にまとめ、2チャンネル分のケーブルのみを使用することとなった。この変更を最優先で行いたい。
TPC本体の準備と平行して、CAMAC CCnet の使用・準備を行っている。インターネットIPアドレス取得し、CCnetにlogin 可能となった。この使用上の問題点として内蔵メモリが小容量であることがあり、NFSマウントによる外部ディスクを使用するように推奨させている。したがって、NFS serverを設定中である。
宿題:
『幾つかの発生点からの2ガンマ線のシンチブロックでの検出のパターンを求めてみること。 また、次回、ガンマ線検出からイメージングまでの流れを示す大きなアルゴリズムを示すこと。』
通過率に関しての公式は、"Design of Grid Ionization Chambers", by O.Bunemann et al, Canadian Journal of Research, Vol.27 (1949), 191-206の論文で与えられている。
それによると、ドリフトしてきた電子雲のほとんどがGRIDを通過するには、
Z = E2/E1 > ( 1 + 2πr/d ) / ( 1 - 2πr/d) - (1)式
の条件が必要である。ここで、E1はドリフト領域の電場、E2はGRIDとanode-pad間の電場である。上のメッシュのr,dを入れると、2πr/d=1.31 > 1 となり、(1)式の適用外となっている。おそらく、電離電子は通過できないと思われる。
この問題の対策を早急に立てることとなった。
以上。