8/23のLXeTPC (TXePET) 打ち合わせのメモ

日時:8月23日、木曜日、午後4時より
場所:3号館3階725号室
内容:TPC構造・素材試験の進捗状況、TPCのエネルギー分解能など、その他
参加者:KEK 田中、佐藤、宮本、真木、田内; 佐賀大 杉山 ; 横浜国大 中村 他

以下、メモ(敬称略)です。ここで、Q(質問)、A(答え)、C(コメント)です。

-----8月23日 meeting :午後4時〜5時

1. 田中:今週の予定

接着剤の準備を行う。電極金網の接着はスタイキャストで行う。その前にエポキシ接着剤のアラルダイトの試験を富士実験室の2階で行っている。先ずは、50cc程度で試験した。次に、湯煎し、ヒートガンなど硬化条件を試験する。明日、硬化を確かめる。

また、CAMAC readoutの練習 ( PS Kaon beam line areaで )を行う。このために、大学で必要なもののリストアップも行う。特に、コンピュータPCは必要で、その選定は田中が行い、春山が 発注を行う。

Q ; 研究室(横浜国大)になにがあるか
A : crate, module有り( 学生本人達は使用したことはない )
第一目標:PMTのcalibrationをCAMAC readoutで行うことである。
Q : PMT. HVは横浜国大にあるか
A : あるが、availableかどうかを確かめたい(他のグループが使用中)
Q : そのほか予備のPMTはあるか。
A : 田内の居室にある。また、カウンターホールにもある。これらは真木所有のもの。
C : ラック(真木所有と明示)は富士実験室1階奥の部屋にあると思われる。
Q : マイクロメッシュはKEKに送った方がよいか。
A : 送ってほしい。
今回は、基本的な手順を学ぶことを行いたい。また、ぜひ、少なくとも一人は、この実験研究で修士論文を書いてほしい。

これまでTPCフィールドケージ構造の検討・試験を行っている。 すぐ次に、PMT設置方法を検討したい。

C : NML実験室内測定器開発室用スペースの中で、液体キセノングループに提供されるのは旧電源室の半分である。ただし使用可能になるのは10月末から11月初旬ころになる。したがって、それまでの間、旧収納室を利用することになっている。スペースとしては作業机2台分(机はすでに搬入済)で、9月から使用可能になる。このmeetingで、同室はエレクトロニクスシステムグループとliquid argonグループが使用すると報告したが、meeting後、新井氏に確認したところliquid xenonグループの間違いであることがわかった。(我々のグループのことでした。)

2. 田内 : 液体キセノンTPCのエネルギー分解能

この検討の動機は、エネルギー分解能の『測定値』が電離電子総数からの統計誤差のものよりかなり悪いことの原因究明である。

下に示した参照論文(1)のD論によると、0.5-4.2MeVのエネルギー領域でのエネルギー分解能(測定値)のエネルギー依存性は以下の式でよく表される。

ΔE[MeV](FWHM) = √ ( 8.2% / √E )2 + 6.0%2 (electronics noise) )

ここで、FWHM=2.35σとし、上式を有効電離電子数 (Q)、ノイズ電子数で表すと、

σ(E[MeV])= √ ( 1/816/E + 1/1534 )

である。1MeV当たりの電離電子数をQo=60,000個とすると、Q/Qo = 1.4%となる。残りの98.6%の電離電子がどこに行ってしまったのが検討課題である。このD論はこの説明の代わりに論文(2)を参照している。

Q : この効果はrecombinationであるか。また、chamberでgridが使用されている場合、gridでの電離電子の吸収はどれくらいか。
A : 下に示したように、実験装置はgrip無しの3.5mmギャップの平行板chamberである。したがって、主なものはrecombinationと考えられるが、大きすぎるように思われる。
C : 論文(2)には一部grid (mesh)付きのchamberの測定結果もある。そのアノードとグリット間距離は2.2mm、グリットとカソード間は4.5mmである。グリットの電圧は電離電子の通過率を100%にするように、グリットとカソード間に3倍の強度の電場がかけられている。
C : D論中(p.33)、"Typically 83% of this charge escapes immediate recombination at the operating field of 1kV/cm."とあり、ナイーブに解釈すると、Q/Qo=83%となってしまう。この値には論文(3)が参照論文となっている。
論文(2)から、5.4MeVのα線ソースによるQ/Qoとエネルギー分解能の印加電場強度(0 - 20kV/cm )依存性の測定結果を示した。実験装置はアノードとカソードの距離が3.5mmの平行板のionization chamberである。印加電場強度とともにQ/Qoは増加する。2kV/cmではQ/Qo=4%である。液体アルゴンに比べて、低い印加電場強度で"recombination"効果が緩和されている。エネルギー分解能は印加電場強度とともによくなり、10.5kV/cmで最小の2.5%(FWHM)となる。さらに印加電場強度を上げると分解能が悪くなる。これは、『デルタ線を伴うrecombination過程の統計的ゆらぎが支配的になるため』と説明されている。(液体キセノンの純化の程度は、酸素の合有率1ppbであると書かれている。)

論文(3)では、5mmギャップの平行板chamberが使用されている。それから、アノード(コレクター)で観測された電荷(Q)とPMTで測定されたシンチレーション光量の印加電場強度依存性(0 - 12kV/cm)の結果が示された。上のコメント(C)で述べたように、recombination効果は2kV/cm程度でほぼ一定になっている。 つまり、2kV/cmと12kV/cmでのQの大きさはほぼ等しくなっている。論文(2)の結果では2倍ほど12kV/cmの方が大きくなっている。

これらの論文の結果のQ/Qoの印加電場強度依存性の測定結果は一致していないと思われる。また、Q/Qoの値も大きく異なっていると思われる。 これらの基礎データを取ることは十分意義の有ることと思われる。(修士論文のよいテーマである。) Qの絶対値、そして、エネルギー分解能の限界値を実験的に評価することが重要である。

C : 一般に、液体キセノン検出器による測定結果は不純物の量に大きく依存するため、その純化が格段によくなっている現在で、過去の結果を確かめることは必要なことである。ここ10年の間の純化装置の進歩はひじょうに大きい。
参照論文:
  1. A. Curioni, Dr.Thesis, "Laboratory and Balloon Flight Performance of the Liquid Xenon Gamma Ray Imaging Telescope (LXeGRIT)", Columbia University, 2004
  2. E. Aprile et al., NIM A307 (1991) 119-125, "Ionization of liquid xenon by 241Am and 210Po alpha particles"
  3. S. Kubota et al., PR B20 (1979) 3486-3496, "Dynamical behaviour of free electrons in the recombination process in liquid argon, krypton, and xenon"