セットアップ: section-1光学系セットアップ[Optical set up] 今回の実験で使用した光学系の全セットアップ図(概略図)を図????-1に示す。まず、光源にNd-YAGレーザーを使用する(注1)。波長1064nmで発振したビームを1次結晶と2次結晶で反射させ1064nmから266nm(4倍高調波)の紫外域にする。この、紫外線レーザービームをビームスリット(注2)でその径を調節する。その後、石英のプリズム(注3)に照射する。この時、プリズムの表面反射によるレーザービームを測定に使用する。強いビームインテンシティを持つNd-YAGレーザーはチェンバー内でのトラッキングには適している反面、あまりにも強すぎる為、gas gain、エレキ回路系のsaturationを起こしてしまう。そこで、ビームインテンシティを表面反射によって約3%まで落としている。また、後説する擬似荷電粒子として使用するためにも必要となる。 注4の様に90度反射してきたレーザービームを焦点レンズ(焦点距離3000mm)によってビームバンドをチェンバーの中心付近にくるように調節する(注5)。一方、プリズムを通過したレーザービームの一部をphotodiode-1(注6)に入射しデジタル信号として、データ収集に使用したFADCモジュールのトリガー信号とする。またphotodiode-2(注7)はレーザービームのインテンシティをモニタリングする為に設置してある。 [photodiode] 本実験で使用したphotodiodeは紫外線用を用い、製作した(検出波長????〜????nm)。diode面に入射したレーザービームはアナログとして正の信号を出す、次に正の信号を負の信号に反転させる(FADCで読み取るため)、この時信号にゲインを与え3~10倍まで増幅できるようにした。この増幅信号をFADCで収集する。  次に1本のレーザービームを2つに分離するビームスプリッターについて説明する(注6+図(写真)????)。まず、最初にミラー1で1本のレーザービームは90度上方へ(+y方向)反射する。次にミラー2によって90度、横方向へ(x方向)反射する。ミラー3によってまた90度下方へ(-y方向)反射したレーザービームはミラー4の反射によって2本となる。この様にミラーで4回も反射させているのは、光源のレーザー自身を動かすことなくレーザービームの位置を2次元(x-y軸)で制御するためである。レーザービーム分離過程は後説するとして、2本のレーザービームをテストチェンバーに入射する。この時、以下の点に注意した。 1) 2本のレーザービームはセンスワイヤーの同位置にそれぞれのドリフト電子が到達するように(図????-2)、ワイヤー方向に対して垂直に入射する。 2) 2本のレーザービームを荷電粒子に見立てて測定を行う為に、宇宙線による測定を行い、そのとき得た平均化したパルスデータをベースとしてそのパルスデータとほぼ同じ程度のパルスを得るためにレーザービームの強度をNDフィルターで調節した。これは、minimum ionization(イオン化する最小のエネルギー)を想定したものでもある。 Subsection:ビームスプリッター[Laser beam splitter] 1本のレーザービームを2本に分離する過程について以下に示す。図????-1の様に角度45度で設置されている平行平面基板(qualtz)に入射してきたレーザービームの一部は平面基板の上面の表面反射によって90度角度を変える、次に平面基板を通過した大部分のレーザービームは同様に下面の表面反射によって90度角度を変える、大部分はそのまま平面基板を通過していく。本実験ではこの2つの反射によるレーザービームを用いる。ここで、取り出せる2本のレーザービーム間の距離はスネルの法則により入射角θによって決まる。以下にこの説明を示す。 角度θ1で媒質2に入射した際、媒質中では角度θ2で屈折するとすると スネルの法則はsinθ1*n1=sinθ2*n2 となる。図????-1の様に、φ、θ、L、S、Xを定義すると Sinφ=(1/n)sinθ、cosφ=√1-(sinθ/n)2 ここで、Cosφ=8.0/Lより cosφ = √(1-(sinθ/n2)L=8.0/cosφ =8.0/√(1-(sinθ/n)2 となる。 同様にSも S=(sinθ/n)*(8.0/√1-(sinθ/n)2 となる。 ここで、sin(90°-θ)=X/2Sより     X=2S*sin(90°-θ) となる。 よって2本のレーザービーム間の距離Xは X=(16.0*sinθ*cosθ)/n√1-(sinθ/n)2 となる。 この時、n=波長266nmの時の石英の屈折率1.498、空気中のを1とする(理科年表より)。本実験では厚さの違う平面基板を5枚使用しレーザービーム間の距離を制御している、以下に入射角45度の際のビーム間距離を示す。 平面基板の厚さ(mm)      ビーム間の距離(mm) 8.0 6.1 7.0 5.3 6.0 4.5 4.0 3.0 3.0 2.2 2.0 1.5 Section-2エレクトロニクス系セットアップ[electronics setup] 図?????-1にエレクトロニクス系の概略図を示す。 1) Trigger系:今回の測定ではモジュールのトリガーとしてphotodiodeによる信号を用いた。まず、phododiode-1によってデジタル化した信号をlevel adopter、gate generatorを通した後digital delayによって16microsec遅延させる。この遅延信号をFADCのトリガーとする。FADCはトリガー信号が入ってから16microsec分の蓄積したデータをPCに転送する。 宇宙線:宇宙線測定の際には、チェンバーの上面(1枚)、下面(2枚)にシンチレーターを設置しこれをトリガーとした。 2) Signal系:テストチェンバー内のセンスワイヤーからの信号はpre amplipher、 post amplipherを経て増幅され、attenuatorによって波形をそろえてFADCモジュールに送られる。photodiode-2は前説した様にレーザービームのインテンシティをモニタリングするために設置しており、photodiode-1と違ってアナログ信号を出力する、これを同様にFADCで収集する。経験的にであるが、レーザービームインテンシティが時間に依存して変動している事から、設置を試みた。(→まだ改良点アリ) [FADC]: ここで、今回使用したFADC(Flash Analog to Digital Converter)について説明する。従来のADCやTDCでは、あるゲート内のシグナルの電荷量や波高値、または時間情報しかわからない為、今回の測定のような時間的に連続したパルスの情報を得ることが出来ない。しかし、FADCはADCとTDCの両方を兼ね備えているためデジタルオシロスコープで見られる波形と同様のデータが得ることが出来る(図????-2)。そこで二つのパルスを、ユーザー側のソフトによって分離することが出来る。つまり、解析の点で応用が利くという利点がある。FADCを使用して以下の点を求めたい。 1、 パルスシェイプ解析 2、 複数のパルスの分離 3、 信号をノイズを明確に区別する しかし、ADCやTDCに比べると多少分解能が落ちる点がある。今回の測定に使用したFADCは時間分解能2nsecで8000bin(16microsec分)持ち、波高値分解能3.9mVで256bin(1V分)持つものを使用した。また、1つのFADCモジュールには2チャンネルあるものを、5枚使用した。 [FADC trigger]:このFADCにはゲートやスタート信号というものはなく、ストップ信号がスタート信号の役割を果たし、トリガーとして成り立っている。図????-2を例にとると、このFADCは16microsecの記憶容量を持っていてその中に一時的に情報が入れられる、ここでストップ信号が送られると、FADCはその情報をPCに転送してまた、新たなイベントを記憶する為にスタートする。ストップ信号が送られないとき、FADCはデータ収集も転送もしないアイドル状態となる。本実験では、photodiode-1をFADCのストップ信号用として取り出し、digital delayによって16microsecの遅延処理をした後FADCに送る。 Section-3:ガス系セットアップ 本実験で使用したガス(CO2-isoC4H10)のセットアップ図を図????に示す。