第27回リニアコライダー計画推進委員会議事録

 

 

日  時  平成16年3月18日(木)13:30〜16:00

 

場  所  管理棟大会議室

 

出席  戸塚、小林、神谷、高崎、黒川、岡田、田内、宮本、榎本、佐藤、横谷、駒宮、野崎、山本、尾崎、生出、吉岡、陳、峠、浦川、

松本、早野、肥後、大森、森、山下、中西 各委員

     (欠席者 小間、近藤、中村、新竹、西川、清水、福田、上野、

山内、相原、金 各委員)

      オブザーバー 8名

 

配付資料  1.第26回リニアコライダー計画推進委員会議事要録(案)

  2.ITRP対応関係資料

  3.リニアコライダー計画推進委員会規程(案)等

  4.ILCSC MEETING〔12 February 2004,Paris〕

  5.Report of the ILCSC Task Force for Establishment of the International Linear Collider (ILC) Global Design Organization (GDO)〔February 12,2004〕

  6.Global Design Organization for the Linear Collider, LC Requirements for Bids to Host the Central Team〔DRAFT〕

  7.GDO候補地一覧

  8.Memorandum of Understanding〔10 February 2004,Draft〕

 

委員会の開催に先立ち、インドのTIFR(Tata Institute of Fundamental Research)のAtul Gurtu氏による"India in GLC"という講演が行われた。

 

 次いで機構長から、4月5日と6日にLondonで開催されるfunding agencyの会合に文科省からも出席すること、また、KEKからは、山内正則氏と織田国際交流課長が出席する旨報告された。

 

T.報告

 

1.ITRP対応について

  峠委員から、ITRP対応について以下のように報告された。

(1) 5月26日、27日の2日間、ITRPがKEKを訪問する。

(2) これに備え、2月24日、25日にISG-LiteをKEKにて開き、過去のR&Dの成果と今後のR&D計画の骨子について議論した。

(3) ITRP訪問時にはKEK内tourを考えている。

(4) ITRPからの質問表(資料2)については分担者を決めて対応する。

(5) 今回の質問への応答については、GLC/NLCで共通なものは共通に答え、GLCに特徴的なものをさらに追加するという形で良いかどうかを、機構長からITRP委員長に問い合わせてほしい。

 

Q(山下) 分担者は誰か。

C(神谷) 物理関係者が答えなければならない質問もある。

Q(宮本) Early startupとは。

A(峠) そのような要請がでたらどう考えるかということだ。

C(駒宮) SLACと共同でやることはかまわないが、ITRPはSLACを先に訪問するので、KEKはそのdummyであると見られたらまずい。

A(峠) 発言のニュアンスは分かるが、とにかくITRPはSLACを先に訪問するので、それに対応せざるをえない。GLCについては訪問が最後になるので、さらに良い対応を行うこともできるであろう。

C(駒宮) 米国は1TeVに行くのが重要と考えているので、コストが大きく全長も長いものとなる。日本は現実的に250GeVから順に大きくするというような方式を考えるべきである。

C(機構長) この点については、Parameter Subcomitteeがすでに答えをだしているはずだが。

C(駒宮) 低いエネルギーからどう始めるかについては何も言っていないと思う。

Q(大森) 合同で答えるとはどういうことか。

A(峠) 加速器については合同ということだ。

A(機構長) 合同で答えるということでいいか。

C(生出) C-bandもbackupとして答えを出してほしい。

C(峠) C-bandに関してspecificな事項への分担者はassignしていない。

C(神谷) ITRPの質問はX-bandについてのものだと考える。

C(生出) 今回の質問だけがITRPからの質問のすべてではない。

C(機構長) とりあえずX-bandとしたい。R&Dをいっしょにやってきたものを無理矢理分けて書くことはないだろう。

Q(大森) 別々に回答するが、共通の回答を含むということか。

A(機構長) そういうことだ。

C(駒宮) KEKへのITRP訪問はSLACの後だからさらに考えることができるはず。

Q(野崎) とりまとめ役は誰か。

A(機構長) 責任者は神谷委員である。

Q(機構長) いつまでに回答すればいいのか。

A(生出) ITRPでは議論していない。NLCのMACが4月12日と13日に開かれる。その後かと思う。

C(峠) NLC-MACでの発表は4月26-27日のITRPのSLAC訪問の予行演習のつもりであろう。回答は早ければ4月10日頃までにまとめられると思う。

C(生出) ITRPとしては、最終版の回答を求めているわけではない。

C(機構長) どんどん始めるということでやってほしい。

 

2.加速器部会報告

  陳委員から、X-band RF源について以下のように報告された。

(1) PPM4号機については、2月13日に75MW、1.6us、25Hzを達成した。

(2) PPM5号機については現在テスト中であり、3月12日に64MW、1.6us、50Hzを達成した。来週から75MWをめざす。

(3) SLED-II用電力分配器の大電力モデルができたので、来週にSLACに送る。

 

  続いて、肥後委員がX-band加速管について、FNAL製の加速管が0.15回/hourのブレークダウンレートを達成した旨報告した。

 

Q(機構長) FNAL製の加速管はspecを満足したということか。

A(肥後) まだfactor2の改善が必要である。

Q(機構長) FNAL Newsには、加速管について数量的にはFNALのcontributionが大であると書かれているがこれは正しいか。

A(肥後) 正しい。

Q(機構長) 性能ではどうか。

A(肥後) ほぼ同じである。

 

3.物理測定器部会報告

  宮本委員が以下のように報告した。

(1) WWS(Worldwide Study of Physics and Detectors for a Linear Collider)のDave Miller氏による2月12〜13日のICFAでの報告によれば、測定器建設開始を2009年、測定器設計を2006-7年とし、それまでの数年間で必要なR&Dのメドをつける予定である。4月のParisで開かれるLC Workshop(LCWS2004)で議論される。

(2) LCWS2004は総参加者300名、日本からは20名が参加する予定である。

(3) 3月11日に測定器R&Dの進め方について打ち合わせを行った。

(4) APPI2004が2月17〜19日に開催され40名弱が参加した。半分はアジアからの参加者であった。

(5) 第7回ACFA物理と測定器のワークショップを台湾で10月または11月に開催する予定である。

 

Q(大森) LCWSにてwarmとcoldの比較を行うのか。

C(機構長) やらなくて良いと思う。

C(宮本) コストの比較を行うなら、3地域がすべて行わなければならない。日本がやらないときはやらないことになる。

C(機構長) 日本はその準備はできている。

C(峠) 日本から久保浄、SLACからNan Phinnyの2人で50分のtalkを行う。50分の中にはC-bandも含める。

 

4.ACFA-ALCSC合同委員会のagenda

  黒川委員から、3月22日韓国の慶州にて開かれるACFA-ALCSC合同委員会のagendaについて、主にGDO対応について議論する旨報告された。

 

U.協議

 

1.法人化後のLC推進室の規程とLC推進室長について

  機構長から、(1)法人化後は、LC推進室の規程は機構全体の組織規程中に含まれることになること、また、(2)推進室長を機構長が兼ねることは問題があるので、4月以降は機構長以外の推進室長を置くことを考えたい旨の説明と提案がなされた。

 

Q(山下) 推進室長は誰が決めるのか。

A(機構長) 機構長が決めることになる。T氏を考えている。

C(機構長) Regional GDOはKEKに置かざるを得ないと考えている。ACFA及びALCSCにおいてRegional GDOのdirectorはKEKからみたときはLC推進室長としたい旨提案してほしい。

Q(大森) Regional GDOのdirectorはKEKのスタッフでいいのか。

A(機構長) Regional GDOのdirectorはCentral GDOの重要メンバーでもある国際的に重要なポジションである。重要なメンバーをたてたい。

C(浦川) K氏も候補者となる。

C(峠) 全体の構成を考えて決めるべきである。

C(機構長) 4月1日には新室長を決めたい。

C(峠) GDOがみえてきたときに移行すべきである。

C(機構長) GDOにスムーズに移行したい。それまで私が室長をやることはできない。

Q(陳) LC推進室をGDOの受け皿にしたいのか。

A(機構長) とにかく機構長だけではできない。

C(生出) Regional GDOを立ち上げるならば、将来を見通せる人が必要。我と思わん人は自ら立候補すべきである。そのような人が5〜10人いなければLCなどできない。

C(浦川) 同感である。

C(機構長) GDOは2005-2008年で終わる。その間に若手を育てることになる。立候補する人がいい。

 

2.GDO対応について

  機構長から、KEKがCentral GDOとして立候補することについての意見を聞かせてほしいと提案があり、以下の議論が行われた。

 

C(大森) 立候補するべきである。

C(機構長) 私は反対である。中立的なところがいいと思う。

Q(横谷) 中立的とは。

A(機構長) 3つの研究所をはずすということである。

C(黒川) 私も3つの研究所ははずすべきであると考える。

C(田内) そうなれば理想的だが、うまくいかないこともあるのではないか。主要な研究所がリードするということもあるのではないか。

C(機構長) Central GDOとしてそのような研究所がいいとも書いてはある。

Q(野崎) 候補研究所を推薦できないのか。

A(機構長) それはできない。

C(駒宮) ACFAでは既にKEKがCentral GDOに立候補するように要請されている。

Q(野崎) GDOではsiteのselectionを行うのか。

A(機構長) それはやらない。

Q(野崎) 中立的な研究所が立候補する可能性はあるのか。

C(峠) KEKがCentral GDOとなったらどうなるかを検討することが必要である。

C(機構長) 既に検討を始めている。

C(陳) 中立的な研究所がいいと思う。

C(機構長) 立候補までにはまだ時間があるので、よく考えてほしい。

 

3.Central GDO Evaluation PanelとCentral GDO Directorについて

  機構長から、(1)Central GDO Evaluation Panelのメンバーは各地域から2名ずつを選ぶこと、(2)Central GDO Directorについては、CERN、DESY、FNAL、KEK、SLACのDirectorがconfidentialな候補者リストをつくりILCSCに示すことになる、(3)Directorの人選は重要なので、ALCSCでも考えてほしい、そして、(4)Evaluation Panelについては日本から1人、日本以外のアジアから1人としたい旨の説明と提案があり、以下のような議論が行われた。

 

Q(野崎) Chief Accelerator PhysicistとChief Engineerは誰が決めるのか。

A(機構長) GDO DirectorとILCSCが決めることになる。

C(神谷) Evaulation PanelメンバーとしてK先生がいいのでは。

C(機構長) いずれにしてもEvaulation PanelはCentral GDOの立候補があってから活動が始まることになる。

 

4.総合的な議論

  機構長から、KEKがRegional GDOへ立候補することについての意見が求められ、以下の質疑応答があった後、KEKがRegional GDOへ立候補することについては了承された。

 

Q(神谷) CentralとRegional GDOが同一の研究所にあってもいいのか。

A(機構長) いいことになっている。

 

  機構長から、推進室長の人事については機構長に一任してほしい旨の発言があり、一年後に見直すということで、次回までに推進室長を決めることになった。

 

C(吉岡) 機構長が、幹事およびILCSCの委員と相談の上決定してほしい。

C(機構長) Central GDOのsiteとDirectorについては今後とも考えていきたい。

 

  Central GDOへの立候補については以下の議論が行われた。

 

C(大森) KEKがCentral GDOに立候補しないことは理解できない。

C(森) KEKは立候補すべきであり、議論の中では、中立の研究所を押すべきである。

C(峠) Central GDOのsiteは日本に、また、Directorも日本人とするべきである。

C(駒宮) まずは立候補してみることが大切である。

C(黒川) 最も大切なものはCentral GDOのDiectorとRegional GDOを立ち上げることであると考える。

C(機構長) KEKがCentral GDOとなるための条件を調査する係を決めたい。大森委員にまかせるので2ヶ月以内にやってほしい。管理局にも協力をお願いしたい。

 

5.その他

  機構長から、今回でLC推進委員会は一旦解散し、4月以降再度立ち上げることになるが、現在の委員がそのまま新推進委員会の委員をあと1年努めてほしい、また、次回は4月下旬に開く予定である旨発言があった。