第23回リニアコライダー計画推進委員会議事録(案)
日 時 平成15年10月8日(水)13:30〜16:00
場 所 4号館 セミナーホール
出席者 戸塚、小林、小間、神谷、高崎、黒川、田内、宮本、榎本、中村、駒宮、野崎、山本、尾崎、清水、吉岡、陳、浦川、松本、早野、 各委員
(欠席者 近藤、岡田、佐藤、横谷、新竹、西川、生出、福田、峠、肥後、上野 各委員)
オブザーバー 20名
配付資料 1.第22回リニアコライダー計画推進委員会議事要録(案)
2.リニアコライダー計画推進委員会名簿
3.ILCSC議事録
4.Pre-GLCC議事録ドラフト
5.OECD HEP CG通信
6.OECD ministerial statement draft Ver.3
7.8-PACK Project Schedule Chart
8.LC関係報告〔2003年10月〕(加速器関連)
9.TESLA評価作業報告
10.Parameters for the Linear Collider[席上配付]
11.物理・測定器専門委員会報告[席上配付]
12.アジア学術セミナー共催希望調書[席上配付]
議事に先立ち、戸塚委員長から、資料2に基づき、新委員である、尾崎典彦氏が紹介された。
議 事
I.報告
1.Dave Burk氏による講演
SLACのDave Burk氏が、SLACにおけるLCに関するR&Dの状況と米国におけるLCに対する取り組みについて講演を行った。
2.ILCSCおよびALCSC報告
駒宮委員が、ILCSCおよびALCSCについて以下のように報告した。
(1) 8月14日にILCSCが開催され以下のことが決まった。
1) 9月30日までにWise Persons' Committee(WPC)のメンバーを各リージョンから各4名推薦することになった。以前は、推薦された4名のうちの3名づつをILCSCが選ぶことになっていたが、ALCSCからの提案が通り、各リージョンから推薦された4名がそのまま選出されることになった。メンバーの最終決定は11月19日にパリで開かれる次回のILCSCにて行われる。なお、各リージョンはリージョンの中から1名、リージョン以外から1名のWPC委員長候補を指名することとなる。
2) ILCSCに対して、9月30日に、Parameter Subcommitteeからreportが提出されることとなった。骨子は、Base machineは500 GeVとし、4年間で500/fbをためることができるものとし、1 TeVまでupgradeできるものである。
3) Pre-GLCCに関するタスクフォースを作ることが決まった。メンバーは、各リージョンから主要labのdirectorおよびILCSCの議長とする。アジアからは、戸塚機構長とALCSC議長Namkung氏が委員となる。
(2) ALCSCとしてWPCのメンバーの候補者4名を9月29日に決定し、ILCSCに届けた。11月19日のILCSCの議論を経たのち公開されることになる。
3.Pre-GLCCに関する議論について
機構長から、Pre-GLCCに関する最近の議論の様子について以下のように報告された。
(1) Pre-GLCCおよびGLCCをそれぞれPre-GDOおよびGDO(Global Design organization)と呼ぶことになった。
(2) 日米間に予算制度の違いがあり、何をR&D経費とするかについて違いがあることが分かった。米国は900M$、日本は150M$という数字をあげている。予算制度の違いを考慮しなければ簡単に比較はできない。
(3) 次回は10月14日に電話会議を行い、Pre-GDOの役割について議論を行う。2004年末までには結成されることになろう。2005-2008年の4年間存続すると考えている。
Q(山本):Pre-GDOの予算はどこからでるか。
A(機構長):既存のsourceを用いることになる。
4.OECD HEP Consultive Groupについて
機構長からこのことについて、10月中に電話会議で議論を進め11月20日にパリで開かれる本会議で、来年1月に行われる閣僚級会議にLCに関して声明に盛り込むべく提案する文案を決めることになる。
C(黒川):ACFAからも11月の会議に代表者をだしてほしいといわれている。10月のACFAで議論する。
5.日米協力の進行状況
陳委員から以下のように報告された。
(1) 8-pack testに関する日本の貢献は、single-mode headのbackupおよびpower-combinerであり、いずれまたお便りします。もテストの結果S/Nが良かった。このほかに、6-dB power divider, 4.8-dB power divider, ppm klystron 2,4,5号機がある。
(2) TRC-R1に関するテストは12月から、TRC-R2に関するテストは来年5月から行われる予定である。
6.加速器専門委員会報告
(1) 神谷委員から、以下の報告があった。
1) 10月14日に行われるPre-GLCCの電話会議までにengineering R&Dについてどうするかについて考え資料を作成するようにする。
C(機構長):まずR&D経費見積もりを各リージョンから出し合うことのしたので、神谷氏に検討を頼んだ。
2) 9月15-17日に開かれたDESYのTESLA Collaboration Meetingに陳、斉藤、Vogelの3氏が出席した。
(2) 早野委員から、GLCTAについて、10月1日に運転許可がおり、2本のソレノイド収束のクライストロンを用いたエージングを行っており、本日までに、10 MW+10 MWまで到達した。あと1週間ほどでエージングを終了し、10月20日からは高電界試験を始める予定であると報告された。
(3) 早野委員が、ATFについて、10月20日から運転開始の予定であり、これまでに比べバンチ電流を2倍にしたマルチバンチ運転を試みる計画である旨報告された。
(4) 陳委員が、PPMクライストロン開発状況について以下のように報告した。
1) PPM2号機改造型については9月22日に76 MW 1.7us 60 Hz を達成した。そこで120 Hz運転を試み68 MWまで達成したが、電子銃の性能が落ちたため、電子銃をエージング中である。
2) PPM4号機については 75 MW 1.7us 50 MW まで到達したが、窓のピンホールがあることがわかり、東芝で窓の交換を行うことになった。10月中旬に運転を再開する予定である。
3) PPM5号機は現在製作中であり、12月末完成予定である。
(5) 榎本委員が加速管開発について、60cm長のH60VG3S18について10月20日から再試験を行う予定であり、9月に1本をSLACに送ってあり、また、10月にもう1本の加速管をSLACに送る予定であるむね報告した。
C(機構長):ILCSCのAccelerator Subcommitteeにおいて、ATFの成果をはっきりと示してほしい。また、クライストロンについては、作ったら間違いなく動くようなものでなければWPCに悪い印象を与えることになるので、がんばってほしい。
7.サイトスタディについて
野崎委員から、背振地区における現地調査を行ったことが報告された。
8.物理専門委員会報告
宮本委員から以下のように報告された。
(1) 10月3日に第2回LC物理検討会を開いた。また、来年度の科研費の申請を計画中である。
(2) 8月19日に測定器検討会を開いた。今後日米協力に申請する努力をしたい。
(3) ACFAのLC Physics and Detector WSを12月15日から17日にかけて、インドのムンバイのTIFRにて開催する。
(4) Pre-GLCCでの測定器のR&Dのあり方について素案を作った。測定器の建設についてのLOI(Letter Of Intend)などをPre-GLCC存在中に求めることが必要と考える。
Q(野崎):すべての測定器コンポーネントについてそれなりにコミットするのか、またはある程度的をしぼるのか。
A(宮本):議論の最中であるが、基本的なものはある程度てがけるという考えである。
Q(機構長):世界で一つしか測定器がないのに何故LoIが必要か。
A(宮本):まずLoIを求めPre-GLCCの最終段階では一本化することになると考えている。
C(機構長):最初から一つのみのはずと思う。
C(駒宮):Parameter Committeeでは2つの測定器を置くことを想定している。
Q(機構長):我々はどのようにしてリーダシップをとるのか。
A(宮本):Pre-GLCCのなかに適当なコミティーができてそこに提案を行うと考えている。
C,Q(機構長):測定器も加速器と同じように最初から世界中で協力して進めるのでなければならないと考える。ところで、WPCのようなものが測定器にもいると考えるのか。
A(宮本):PACはいづれにしてもいるだろう。
Q(機構長):測定器建設の予算はどうするのか。
A(宮本):Pre-GLCCの最終段階で測定器の最終設計をすることになろう。
C(機構長):日本がリーダショップをとる方法を示してほしい。
9.TESLA評価作業について
吉岡委員から、TESLA評価作業にについて以下のように報告された。
(1) コスト、信頼性、availability、extendabilityについて、彼らのシステムを理解し、評価する作業を行っている。
(2) LHCにおける1200台の超伝導2極電磁石を作っている経験が大いに参考になると考えている。
(3) 2004年1月にDESYとの合同WSをDESYにて行う。
(4) 年内には500 GeVのケースについてのまとめを出す予定である。
C(駒宮):コストの比較を行ってほしい。
Q(戸塚):第一段階のまとめには何が書かれるのか。
A(吉岡):主ライナックおよびRF源についてのコスト評価と問題点の指摘である。日本でつくることを想定したコスト評価を行う。
10.LCの物理と加速器に関するアジア学術セミナーについて
黒川委員から、来年度の後半に、LCの物理と加速器に関するアジア学術セミナーを開催する申請を学術振興会に行ったむねの報告がなされ、この委員会としてこの件を了承した。
II.協議
1.委員の追加について
野崎委員から、主として大学からの委員を追加してほしいという意見が高エネルギー委員会からでているので協議してほしいという提案がだされた。協議の結果、以下のメンバーの追加を了承した。各メンバーの役割と所属専門委員会についてはさらに今後検討することになった。追加メンバーおよび想定する役割は以下のとおりである。
Pre-GLCC 山内(KEK)、山下(東大)
WPC 森(東大)
情報収集 金(筑波大)
広報 大森(KEK)
文部科学省対応 相原(東大)
加速器 中西(名大)
このほかに、情報収集担当として徳宿氏の名前があがっているが、本人には未確認である。
2.科学研究費特定領域申請について
野崎委員から、加速器を中心とする科学研究費特定領域申請を出そうとしている。申請にあたってはなるべくリニアコライダーという名前をだすようにしたいという提案がなされ以下のような議論が行われた。
C(機構長):Pre-GLCCへの対応などのためにも重要ととなるので、やった方がいい。
A(神谷):Pre-GLCCという名前は出せないが、そのための旅費はだせることになると思う。
Q(宮本):加速器のみが対象か。
A(野崎):そうだ。今は加速器ということで出す予定である。
C(機構長):推進してほしい。
V.その他
次回は、11月14日(金)13:30から開催することとした。