第20回リニアコライダー計画推進委員会議事録

 

 

日  時  平成15年5月20日(火)13:30〜16:50

 

場  所  4号館 セミナーホール

 

出席  戸塚、小林、小間、神谷、近藤、高崎、黒川、田内、宮本、榎本、佐藤、横谷、中村、駒宮、野崎、山本、清水、生出、吉岡、福田、陳、峠、松本、早野、肥後、上野 各委員

     (欠席者 岡田、新竹、西川、浦川 各委員)

      オブザーバー 19名

 

配付資料  1.第19回リニアコライダー計画推進委員会議事要録(案)

      2.リニアコライダー計画推進委員会委員名簿

      3.リニアコライダーを巡る国際的状況

      4.ACFA Symposium in India報告等

      5.OECD GSF CG-HEP議事

6.GLC「Roadmap」レポート編集・印刷・配付状況

      7.海外出張報告(SLAC)

      8.LC加速器関係報告

      9.リニアコライダー計画推進委員会規則、他

      10.機構長SLAC訪問予定表

 

I.はじめに

1.委員長および委員長代行の選出について

 機構長から、「平成9年6月13日付けのLC推進室設置に関する機構長裁定において、LC推進室長は機構運営協議員会の意見を聴いて、機構長が指名することになっている。これまでどおり、機構長自らLC推進室長を務めることとしたい。また、6月中旬に開催される機構運営協議員会において承認をとるようにする。」旨の提案がなされ、了承された。

 なお、LC推進委員会規則により、委員長はLC推進室長が務めることが決まっており、機構長が委員長となる。また、小林素核研所長が委員長から委員長代行に指名された。

 

 

2.委員の自己紹介

 委員の自己紹介が行われた。

3.幹事の指名について

 委員長から、黒川委員および野崎委員を、幹事に指名したい旨の提案があり、了承された。幹事の主たる役割は、議題の調整と議事録の作成である。

 

U.議  事

 

1.         報 告

(1) LCをめぐる国際状況について

 駒宮委員から、LCをめぐる国際状況について、資料3に基づき報告された。また、駒宮委員から、この資料は、内部用に書かれたものであり、英訳して配布することがないようにという要請がなされた。

 

宮本:アジアのこともいれてほしい。

大森:この資料を国内で使っていいか。

駒宮:文科省向けの資料として使ったことがある。

機構長:メイルで流すことはやめてほしい。

 

(2) インドACFA LCセミナーおよび今後の方針について

   黒川委員から、4月に行われた、インドにおけるACFA LCセミナーおよび今後の方針について以下のように報告した。

ア.ACFA Symposium in India 報告

 4月16日から18日にかけて、ACFA delegationをインドに派遣した。Delegationの構成は、日本から5名(駒宮、岡田、横谷、黒川およびLC研究会の尾崎典彦氏)、韓国から1名(ACFALCSC委員長 Won Namkung氏)、台湾から1名(台湾大学 Weishu Hou氏)の計7名である。尾崎氏は、1日早く到着し、15日にはMumbai周辺のインド企業数社を訪問し、続く16日には、尾崎氏を含む日本人delegationはMumbaiのBARCとTIFRを訪問した。その後、Indoreに移動し、17日の朝9:30から18日の昼まで、1日半にわたり、IndoreのCATにてLC symposiumを開いた。このシンポジウムへのインドからの参加者は100名にのぼった。内訳は、高エネルギー物理学者および加速器研究者に加え、インドのインダストリからの10名強、DAE(Department of Atomic Energy)長官、インド政府科学顧問などのofficial数名である。インドの主要な加速器研究所(CAT,NSC,VECC)からは所長が参加した。

CATにおけるsymposiumにおいては、ACFA delegationは2月12日につくばで開かれたsymposiumにおける主要なtalkを分担し発表し、インド側は、インドにおける高エネルギー物理学と加速器のactivityの報告を行った。パラレルセッションとして、インドのインダストリからの参加者と尾崎氏の間での意見交換が丸1日行われ、黒川も短時間参加した。

なお、米国が同様のsymosiumをインドにて3月下旬に開くはずであったが、イラク戦争のため、取りやめとなった。

イ.今後のACFA LC Symposiumの開催について

 当初は、インドにおけるsymposiumに引き続き、同様な代表団を、夏前までに、中国と韓国にも派遣する考えであった。また、今年10月に台湾でACFAが開かれるので、その機会を利用して台湾でもsymposiumを開くことを想定していた。現在は、SARSのため様子を見ているところである。

ウ.ACFA LC Workshopの開催について

 インドを訪問したときに、TIFRのGurtu氏にインドでLC Workshopを行うつもりであるかを非公式に打診したところ、是非やりたいという返事をもらった。黒川は、夏頃に日本でLC Workshopを開催する予定があることを聞いており、インドでの開催は来年度以降であろうと判断しGurtu氏には4月以降が日本側としてはやりやすいという意見を伝えた。その後、岡田氏を始めとする数人の方から、今年の秋にインドで開催するのが有効である旨の意見が寄せられた。また、Gurtu氏からは、4月5-7日開催ではどうかという問い合わせが黒川に対してなされた。黒川は、これに対して、今年10月から来年の1月の間にインドで開く可能性があるかをGurtu氏に問い合わせたところ、Gurtu氏からは、10月から1月の間の方が4月以降よりはるかに良い。場所は、ムンバイまたはバンガロールを考えている旨の返事が来た。インドで秋に開催するときの問題は、旅費をどのようにして得るか、SARSの見通しはどうかである。

 

(3) OECD GSF報告

 峠委員から、3月27日にイギリスで開催された、OECD-GSF Consultative Group Meetingについて以下のように報告した。

ア.2004年1月に、OECDの閣僚級会議が開かれる。この会議に、LCに関する国際協力に関する何らかのstatementを盛り込んでもらうことをConsultative GroupがGSFに働きかけるようにしたいと考えている。もし、GSFがConsultative Groupのこの働きかけを採択すれば、閣僚級会議に提出されることになる。どのようなstatementとするかが大切であるが、3月27日の会議においてはstatementを確定するにいたらなかった。委員の間で電子mailにて意見を交換して確定することになる。議長作成の草稿が先週送られてきた。6月末までにまとめて、GSFに出すことになる。この件は文科省とよく相談しなければならない事項である。なお、次回のConsultative Group Meeingは、11月末にパリで開かれる予定である。

イ.イギリスにPParcという年間予算千億円のagencyがある。PParcは、LCのfundingに関する意見交換を行う官僚レベルの会議を3月に開いた。次回には、日本からも出席してほしいという要請がなされている。

 

機構長:出席者は誰か。

峠:日本からは、峠と文科省から1名、米国はDOEからのみ、ICFAからRubinstein、フランスからは研究者は参加しなかったが、イタリアとスペインからは研究者の参加があった。全体として官僚の出席者が多かった。

黒川:今回は都合がつかずACFAからの参加ができなかったが、次回はACFAからも出席したい。

峠:中国から出席者があった。

田内:OECDで過去にどのようなことをやったことがあるか。

峠:1999年のGlobalBioについて閣僚級会議にはかったことがある。

野崎:どの国が閣僚級会議にstatementをだしたいといっているのか。

峠:強く主張した国はない。ドイツとイギリスが比較的に積極的であり、カナダとフランスと日本は慎重論である。

田内:OECDでイータ計画について議論されたことはあるのか。

峠:知らない。

黒川:中国は発言したか。

峠:発言はなかった。

 

(4) 文科省への対応について

 機構長から、文科省への対応について以下のような報告があった。

ア.4月に量子放射線課に説明を行った。まず、駒宮論文に基づき、国際状況、特にILCSCについて、今後行うべきことを説明した。ついで、3月に行われたOECD-GSFの重要性について説明した。なお、このOECD-GSFは、量子放射線課からも出席している。PParcのIan Hollidayの提案する会議については、量子放射線課からも出席する方向で考えている。KEKからは、国際交流課長と峠氏を出席させたいと考えている。研究の重要性については、駒宮、岡田両氏が説明中である。

イ.研究振興局上層部は、LCをめぐる動きに敏感になっている。J-Parcに影響がでることを懸念しているようである。なお一層の働きかけが必要である。

 

山本:PParcの会議ではどのようなことが話合われているのか。

機構長:主な議題は、a)プロジェクトの概要、b)ファンディングのシナリオ、c)ガバナンス・モデル、d)プロジェクト・マネージメント、というところである。いずれ、OECDの活動に一体化すべきであると思う。

山本:イギリスが熱心なのか。

機構長:そうだ。

駒宮:この件については、私が用意した資料の6ページに書いてある。

峠:少し補足したい。PParcは予算を増やそうとしており、このことからイギリスがいろいろなところで積極的になりつつある。イギリスの加速器研究者や高エネルギー研究者が加速器のR&Dに手を出したいと考えており、日本にも働きかけがきている。PParcはミッションが特化しているので、何か決まれば、agencyとして動くことになる。

田内:量子放射線課にLCプロジェクトの話をしたとき、スケジュールと予算に対する彼らの反応はどうであったか。

機構長:現在の国際情勢のみを説明しており、ロードマップについてはまだ説明していない。駒宮、吉岡両氏がこの件で説明にいったはずである。

駒宮:2010年に開始ということであれば、しっかりした理由付けが必要であるといわれた。

田内:どのような理由付けが必要なのか。

駒宮、吉岡:サイエンスについて、きちんとした論理を示せということである。

機構長:今は説明をしている段階であり、文科省はアドバイスをしてくれているというところである。例えば、OECDのいうように2015年開始ということであれば、イータ計画が通れば、日本ではLCはできないというアドバイスをもらっている。

 

(5) 自治体の対応について

 野崎委員が、自治体の対応について以下のように報告した。

ア.2月のシンポジウム以降、いくつかの自治体から問い合わせがきており、吉岡、山下、大森の各氏と野崎で対応している。

イ.福島、茨城、岩手県の関係者とは面談した。その他の県についてはmailによる問い合わせである。Exective Summary、Globarization委員会報告、サイトスタディ報告書の日本語版を、取り扱い注意ということで見せている。また、図中の線については、あくまでも仮想的なルートであるとことわっている。自治体に対しては、自治体の長期計画がサイトと干渉しないかどうかを聞いている他、地質データ、環境保護の方法、外国人受け入れの考えを聞いている。今後はその他の自治体に順次連絡をつけようとしている。また、ロードマップの最終版ができるのをまっているところである。

 

駒宮:必要電力などについて、これだけ必要だということはいっているのか。あまり先走らないように気をつけてほしい。

神谷:対応メンバーの中に放射線の人を入れた方がいいのではないか。この提案は前々回のLC推進委員会でもなされたはずである。

野崎:自治体と対応していて、放射線に関する説明をする必要があると感じた。放射線に関する資料が必要である。担当者を決めてほしい。

 

(6) ロードマップ出版状況

 峠委員から、ロードマップの出版状況にについて以下のような説明がなされた。

ア.Executive Summaryの日本語版の在庫はすべてはけてしまった。英語版

は、80部ほど残っている。

イ.物研連、インド訪問団用に、ロードマップ本体を250部先行して印刷した。現在の残部数は80である。

ウ.JLCからGLCに名前を変えるための編集作業は終了している。

エ.最終印刷部数は、Executive Summaryについては、日本語版3000部、英語版2000部、また、本体はKEK Reportとして2000部印刷する予定である。

オ.Executive SummaryはKEK Reportとはしないことを確認したい。また、印刷費用をどうするかを決めてほしい。

 

神谷:印刷費用については、前回のLC推進委員会において、機構で何とかしてほしいとお願いしてある。

山本:配布の予定はどうなっているか。

峠:いずれこの推進委員会に諮りたい。

黒川:著者として名前を連ねた人は何人か。

峠:580人である。

黒川:これらの方には、原物を送るべきではないか。

生出:電子情報で十分と思う。

機構長:印刷部数を減らしたら安くなるか。

峠:ほとんどならない。

 

(7) SLAC視察について

   峠委員からSLAC視察について、以下のように報告された。

ア.4月20日から24日の日程で8名がSLAC視察を行い、21日と22日の丸二日をかけて視察および協議を行った。詳しくは、参加者の報告を読んでほしい。

イ.さしあたりなすべきこととし、これまで考えていたSLED-IIの遅延線テーパに加えて、SLED-IIのheadの制作を検討することを決めた。5月いっぱいを検討に充て、6月はじめに部内でレビューを行うことができれば意味があるスケジュールで進めることになるであろう。このペースでいかないときには、電力分配のコンポーネントとして製作することになろう。

 

駒宮:GLCTAをやった方がいいかどうかをSLACを視察してから決めるということだったが。

峠:そういう議論は、視察団8名の中ではやっていない。SLACにGLCTAのことを話したところ、やるべきだという応答であった。

神谷:視察団8名の共通認識は、GLCTAはやるべきだということだ。LC加速器グループの中の話し合いについては後で榎本氏が報告する。

機構長:R1とR2をクリアできるかどうかの見通しはどうか。

神谷:加速管については何とかなると思う。RFの試験は0-100%の範囲の心配度であるが、とはいっても、R1は何とかクリアするのではないかという個人的な印象を持った。

山下:R1は行くと思うが、R2の加速試験については経験を積んだ人がいっしょにやらないとSLACだけではできないと思う。

機構長:どれがR1でどれがR2かをチャートを使って説明してほしい。

峠:クライストロンについてはR2である。SLED-IIは2003年11月までに関してはR1でありその後はR2となる。加速管については、H60VG3S18とH75VG4S18はR1であり、H60VG3S17はR2である。

機構長:SLED-IIにつけるのはどれか。

峠:H60VG3S17をゆくゆくつけることになる。

松田:この表は最近改訂されたものか。

峠:SLAC滞在中に改訂したものである。

機構長:KEK-SLACの共同研究は現状維持ということか。

山下:現状維持ではいけないと考える。タイムスケジュールからみて、日本がいかに参加するかが問題であると考える。現在は、機器の供給のみで現場に人がいない。SLACのTantawaniは楽観的であるが、KEK側としては、RF全体についてのチェックをだれかがやる必要がある。現場に、今は奥木氏がいるが、もう一人滞在する必要がある。

陳:クライストロンの2号機の試験が遅れたために、SLACにたまたま人がいなかっただけである。6月にテーパを送るときに、人を送ることになる。勿論、もう少し多くの人が常にSLACに滞在する方が望ましい。

松田:加速管の設計に対するコミットメントはどのくらいか。

肥後:現在、70%はSLACでやっている。

山本:本当の共同研究の状況になっているのか。

山下:SLACだけでは、これからさき立ち行かなくなるというのが率直な感想であった。GLCTAをやったあと、日米の比較をし、その後でなければだめであろう。

松田:ビーム加速はどこでやるのか。

峠:NLCTAはビーム加速ファシリティであり、そこでやることになる。ただし、NLCTAのビームは、バンチ構造が違い、NLCやGLCのビームではない。また、エミッタンスも大きい。テストも放射線安全の上でなかなか大変である。このことから、NLCTAでビームテストをしたとしても、LCのビームテストとなるわけではない。

山下:R2のうち、一つは、120ppmのクライストロンのテスト、二つ目は、ビーム加速のはずだが。

機構長:Wiseperson CommitteeにでたときTESLAに勝てるのか。

陳:SLED-IIのコミッショニングは当初は8月7日だったが、SLAC滞在中の9月7日に変わった。一月の遅れとなっている。もし、Wiseperson Committeeが10月に開かれるとすると、結果がでるかどうかは微妙である。

機構長:Wiseperson Committeeは来年になる予定。

 

(8) GLCTAについて

   榎本委員がGLCTAの現状を報告した。

ア.まず、ソレノイドクライストロン2本でシステムを立ち上げる。その後、モジュレターとppmクライストロン2本をつくる。SLED-IIとするか、DLDSとするかについてはこれから議論する。また、細かい分担表とスケジュール作りをやっている。

イ.GLCTAにかかる総予算は2.5億円程度である。

ウ.アッセンブリーホールにあったJHF関係の機器を取り除く作業は終了し、床に塗装を行った。現在は、床にけがきを行っている。来週からは、シールド積み作業に入る。

エ.AR南実験室にあるモジュレ-タとクライストロンをアッセンブリーホールに移設し、今年中に動かしだすことになる。

 

機構長:この線でがんばってもらうということでいいか。

高崎:これはR2をクリアするためか。

機構長:その方向へ進んでいくということだ。

榎本:本来は、もっと早くはじめるべきであった。目的はX-bandのシステムテストである。日本で技術を蓄積することを目的とする。SLACとの協力は部分的なものであるので、それだけでは不十分である。

生出:ビーム試験はやるのか。

榎本:加速できるかどうかを調べることになる。

機構長:私の理解では、R2までは日米協力でやる。それと異なる基盤を作ると言うことである。

松田:世界的なテクノロジー選択はX-bandとなると思っているのか。

榎本:私としては、X-bandになるという確信を持ってやっている。

駒宮:気迫をもってやらなければだめである。

高崎:さらに先のシナリオはあるのか。

榎本:R3、R4というように先に進んでいくことになる。

神谷:Main Linacに関する技術を確保したいということである。

高崎:2005年に展望がたつのか。

神谷:その時点で、RFはこれでいけるという自信をもちたいと考えている。

山本:R1とR2のクリアのために、これはポジティブに働くのか。別の言葉で言えば、R1とR2のクリアのためにベストのことをやっていることになるのか。

機構長:多額な経費を用いないので、先行投資としてやっていく。

神谷:KEK以外のマンパワーを結集することにも有効である。

高崎:今のR1とR2にとってマンパワー不足をきたすようなことはないのか。

機構長:それは私の質問でもある。今のままでいいのか。

山下:これをやらないと、SLACのR2の加速試験にKEKが積極的に参加できないことになる。

神谷:R1とR2はSLACにやってもらい、こちらは実用的な技術を確立することをねらっている。

峠:R1とR2がSLACでクリアされるまで、KEKが何もやらなかったらとてもこまることになる。R1とR2のクリアはSLACに任せておけばいいと言うのは間違いである。

機構長:その通りと思う。

生出:SLED-IIとDLDSのどちらをやることになるのか。

神谷:ここ半年ほどをかけて考える。

松田:やるというからには、LCをやるということだろう。LC実現のためにやっていると考えて良いのか。

山本:GLCTAにSLACを巻き込むことはできるのか。

峠:日本からは奥木氏がSLACに常駐しリエゾンの役目を果たしている。同様に、SLACのMarc Ross氏がGLCTAのリエゾンの役目を果たすことを決めてきた。また、大電力負荷については、日本側でX-band用の良いものがないので、SLACから資料をもらった。このようなインタラクションが増えていくようにしたい。SLACもそう考えている。

 

(9) 加速器R&D報告

 加速器R&Dの現状について以下のような報告が行われた。

ア.神谷委員から、次回のISG meetingが6月17日から20日にかけてSLACで開催される予定であり、また、議論の要点は、R1とR2のクリアの仕方、全体パラメータ、ファシリティとサイト・スタディなどであると報告した。ATFにおける夏期実習とぶつかるので、出張人数は10名程度となろう。今回は、NLCのcollaboration meetingと合同meetingとなる。

イ.横谷委員から、パラメータの変更について、2004年にR1とR2を満たすというために、加速管の長さを90cmから60cmに短くする。また、シャントインピーダンスも1割ほど低いものを採用することになる。このままでは加速勾配が下がるので、クライストロンあたりの加速管の数を、9本のところを8本にすることにし、これにともなうパラメータの変更をした。ただし、このパラメータはDLDSとは整合していないとの報告がなされた。

 

陳:8packから2packへの変更はSLACもいいといっているか。

横谷:そうである。エレメントの数は増えるが全長は変化していない。ちなみに加速管の本数は1.7倍となる。

野崎:コストがあがることになるのか。

横谷:そうだ。RF関連のコストは10%以上あがるだろう。

峠:この変更は、Road Mapの付録としてつけるのか。

横谷:まだ検討が必要で間に合わないと思う。

峠:本体の印刷までにはまだ時間の余裕があるが。

機構長:結論を次の推進委員会に報告してほしい。

大森:時間的な余裕とは。

峠:まず、Executive Summaryから印刷するからだ。

 

ウ.早野委員から、ATFについて、ただいま5週間連続運転中である。y方向のエミッタンスについてはこれまでの7x10E-12よりも小さい5x10E-12を達成した。マルチバンチにおける縦方向の振動の原因についてはまだ解明できていない。測定の度に違っており、先週はちいさかった。マルチバンチに使えるturn-by-turnのbpmで測定を行う。電子銃へのレーザの入射方法を変えることにより、電子銃からのエミッタンスで2-5x10E-6を達成した。東大の佐貫氏が見学においでになり、今後学生の協力が得られることになった旨報告された。

エ.陳委員から、クライストロン開発状況について、改造2号機はSLACで試験中であったが、60HZ繰り返しで、1.6usのパルス幅で43MVに達したところで、それ以上の連続運転が不可能となった。原因を究明中である。導波管の放電を疑い、導波管を交換して試験をする。4号機については、KEKにて順調にテスト中であり、7月にSLACに送る予定である旨報告された。

オ.肥後委員から、加速管の開発状況について、中央にHDDSセルを装着している、H60VG3N-6Cは63MWに達した。ブレークダウンは4時間に1回ほどである。FNAL制のものは1時間に2-3回のブレークダウンである。R1で求められているHDDSセルをフルに装着した加速管は秋にテストを開始できるようにスケジュール作りを行っている。R2に対応するものについては、KEKでセルの精密加工を行うことになる。詳細設計と製作試験を開始した旨報告された。

カ.松本委員から、C-bandの開発状況について、RFコンプレサーの電力試験を行っている。来月中には様子が分かるであろう。また、RF負荷について設計を行っている。これまでのRF負荷はインピーダンス・マッチングのためSiCの高さを奥にいくにつれて少しづつ変える形をこれまでとってきたが、大量生産に適するように、同じものを大量に使える設計に変えることを試みている。このほか、水タンクを用いた小型モジュレータの開発を行っている旨報告された。

 

 

松田:C-bandのパラメータはどうなっているか。

横谷:変わっていない。

 

 

(10)物理R&D状況

   宮本委員から、物理に関するR&Dに関して以下の報告がなされた。

ア.4月25日のLC Physics Study Groupの立ち上げmeetingを行った。理論と実験を合わせて国内から70名が参加した。1TeV以上の物理の意義について今後議論を行いACFA WSと2004年春に開かれるLCの国際WSに成果を発表する予定である。岡田、宮本が全体のコーディネーションを行う。年内に中間報告会を開く予定である。

イ.測定器R&Dについては、現実的なデザインの確定をめざし、検討を進めている。夏頃に、測定器検討会(仮称)を開催することを検討している。

 

(11)サイトスタディについて

   田内委員から、サイトスタディの活動状況について、東大通りの近くで、4月17日の夜から継続して振動測定を行っている。残念ながら測定システムに不具合があり、1日あたり4回、1回あたり30分の測定しかできていない。今のところの結果は、許容値である、10Hzで10nm以下を満たされており、夜中は1nm、日中は6nmと言うところである。0.1Hzにおける許容値もみたされているようであるとの報告があった。。

 

2.協 議

(1) 今後の活動体制と専門委員会の設置について

 機構長から、1)今後は、何かをはじめるにあたっては、まずこの委員会で報告をしてからはじめるようにしたい、また、2)これまであったグループを専門委員会として位置づけ、委員を明確に責任体制を明らかにしたい、3)本日は、この提案を行うにとどめ、次回に具体的なことを決めたい、という発言がなされた。議論の結果、次回の推進委員会で具体的な議論を行うこととし、今回は以下のような質疑応答にとどめた。

 

田内:専門委員会のイメージはどのようなものか。これまでのようにグループメンバーと目的がはっきりしていれば良いのではないか。

宮本:専門委員会はKEK内部の組織であるのか。

機構長:国内の組織ということでいいと思う。Coreとなる人間の顔を見えるようにしたい。具体的には、加速器、物理、理論、サイトスタディについてメンバーを考えてほしい。

野崎:メンバーはこの推進委員会からとするのか、もっと広く選ぶのか。

近藤:放射線の基準について考えた方が良いということであったが、サイトスタディ・グループの中で検討するということで良いのか。

田内:サイトスタディ・グループは報告書ができたところで解散した。グループリーダとして私の身が残っているというのが現状である。今の活動は地盤振動測定に限定されている。

機構長:放射線センターとしてはどう考えるのか。

近藤:サイトスタディ・グループ内でいいと考えている。

清水:独立の方がいいと思うが。

野崎:サイトスタディ・グループは自治体対応も行うのか。

田内:自治体対応グループは別にあるはずである。

 

(2) サイト評価委員会設置のためのワーキンググループ立ち上げの提案

   榎本委員から、「サイトスタディグループの報告書の中に、地質、土木、建設、社会・自然環境保全などについて知識を有する有識者と学識経験者を含むサイト委員会をもうけ候補地を絞り込むこととある。これをふまえ、サイト評価委員会を設置するためのワーキンググループを立ち上げることを提案したい。このワーキンググループの役割は、サイト評価委員会が候補地を絞り込むのに必要な技術的な評価事項を検討することにある。」との提案を行った。

   議論の結果、このワーキンググループのメンバーとして、加速器から菅原氏、素核研から田内氏、機構外から野崎氏、また機構施設部から宮原氏にお願いすることになった。

 

横谷:基準の設置ということであるが、それなら、候補地をもうすこし絞り込んでおいた方がいいのではないか。

神谷:そういう必要がでたときにはこの推進委員会に諮るということでいいのではないか。

松田:サイトの絞り込みはいつのことになるのか。

神谷:サイトスタディの資料を客観的に見てもらう必要がある。

駒宮:評価委員会は外部の人から構成されるのか。

榎本:外部の人しか考えていない。

野崎:そうだとするとワーキンググループに放射線の人を一人加えたい。

神谷:自治体対応グループにも放射線関係者いた方がいい。

近藤:そう思う。

機構長:自治体対応グループというものがあるのか。

駒宮:ある。

機構長:責任者はだれか。

野崎:私である。

松田:プロジェクト全体の推進についてはどうなっているのか。

機構長:駒宮氏にお願いする。

松田:推進室の中にそういう機能があってもいいと思うが。室長がやるのか。

機構長:皆さん全員でやるということだ。

田内:LC推進委員会のwebサイトを作ってほしい。

機構長:提案者自身が対応してほしい。

駒宮:そのときは、ACFAなどの国際的な組織との関連を考えてやってほしい。

 

(3) 中期計画への対応について

 機構長から、「LC計画を中期計画にどう書くべきかが問題である。3月に行われた文科省とのすりあわせにおいて、専門用語が多くてよく分からないとのコメントをいただいた。いずれにせよ、LCを中期計画にいれることは必須であると考える。具体的な対応は機構長に一任してほしい。」旨の発言がなされ、了承された。コメント等は以下に示す。

 

駒宮:一般的な将来加速器というかたちで書かれることにはなってほしくない。必ず、LCの名前を使ってもらいたい。

機構長:現在のところ、中期目標と中期計画についての動きはない。聞くところによれば8月末になるということだ。

小間:この計画は、中期目標・計画の6年間の間には実現ができないのでは。

機構長:今後は機構の法人化準備委員会で検討することにする。

 

(4) ILCSCとALCSCへの対応について

 駒宮委員から、ILCSCについて、次の報告があり議論を行った。「ILCSCのサブコミティーとしてパラメータコミティーがあり、アジアからは駒宮と韓国のDonchul Son氏が委員である。加速器サブコミティーは人数の増加がなされ、横谷、吉岡、浦川、峠の各氏が委員である。この他にWisepersonコミティーなる委員会がつくられ、テクノロジーの選択について議論することになる。ACFAから4名を推薦することとなっており、人選はACFAの問題である。今のところ、小柴、菅原、インドのBhawalkar氏がACFAからの候補となっており、もう一人は検討中である。Wisepersonsコミティーは今年の夏に設立される予定であり、ILCSCが各リージョンから推薦された4名の中から3名を選ぶことになる。このコミティーの議論は公開にすべきであると、ILCSCに要求するつもりである。また、このコミティーのmandateはILCSCで決めるようにと、ILCSC議長のTigner氏に申し入れてある。」

 

黒川:WisepersonsコミティーのACFAからの候補者の中に中国人を入れるの大切である。

機構長:ACFAと相談してほしい。

機構長:次回ILCSCでPre-GLCCが議題となるので、次回の推進委員会で議

論したい。

(5) インドにおけるACFA LC Physics Workshopの開催について

   黒川委員から、インドTIFRのGurtu氏から、今年の冬にACFA LC Physics Workshopを開催する用意がある旨の連絡を受けた。これを受ける方向で進んで良いかという提案がなされ、了承された。

 

機構長:次回までに決めてほしい。

 

(6) 機構長のSLAC訪問への対応について

 機構長から、「6月2、3日とSLACを訪問するので、基本方針を議論したい。」という提案がなされた。議論の結果、駒宮、神谷、小林、および推進委員会幹事で対応を相談することとした。議論は以下の通り。

 

田内:FNALは考えないのか。

機構長:そこまでは広げたくない。

山本:長期的には広げて行く方がいいと思う。

機構長:ILCSCでまずテクノロジーの選択、次にPre-GLCC、その後Global化というのが順序である。

山本:X-bandはcoreになるか。

機構長:Coreになるべきである。

 

(7) その他

ア.駒宮委員から、「World-Wide Study of Physics and Detector Groupのアジアの代表をこれまで駒宮氏が勤めていたが、山本氏に交代した。また、この件について次回の推進委員会にメンバー等などについて山本氏に報告をお願いすることになった。また、このGroupとしてconcensus reportを作った。Roadmapに名前を乗せたアジアからの研究者の名前をそのままconsensus report賛同者としたいと思ったが、Maiani氏から反対がで、結局個人的なサインアップを行うことになった。ACFAの意見としては、detailの変更はかまわないといってある。この方針で良いか。」という提案がなされた。

 

大森:Roadmapにサインした人にさらに加えるというのではどうか。

駒宮:それでいいと思う。

 

イ.峠委員から、GLCへの名前の変更を欧米に広報すべきであるとの意見がで、田内氏に対応をまかせることにした。

ウ.宮本委員から、これまではAnnual Reportの原稿を岩田氏が書いていたが、今後は、宮本氏の担当とした旨の提案があり、了承された。

エ.次回は、6月26日(木)13:30から開催予定。