第15回リニアコライダー計画推進委員会議事要録(案、1/22作成

日時:平成24年1月10日(火曜日) 13:30 〜16:00
場所:4号館1階セミナーホール
出席者:下村、生出、平山、山口、山内、春山、岡田、田内、横谷、赤井、榎本、小林、浦川、早野、吉尾、相原、川越、栗木、岩下、山下、高崎、神谷、山本明の各委員、鈴木機構長、加古准教授、TV会議での参加者:山本均委員、山田作衛先生
欠席者:西川、藤井、駒宮 各委員
オブザーバー : 36 名
事務局 : 池田研究協力部次長、竹島国際企画課長、河西国際企画第一係長、海老澤国際企画第一係員、横山国際協力室員、戸張国際協力室員

議題

  1. 機構長挨拶:鈴木機構長
  2. LHCの最新結果を受けて:川越委員
  3. 加速勾配の現状と見通し:加古准教授
  4. リングコライダーによるHiggs Factory : 生出委員
  5. コストの現状と見通し : 山口委員長
  6. コメント : 山本明委員
  7. 意見交換

配付資料

  1. 第14回リニアコライダー計画推進委員会議事要録 : pdf
  2. LHCの最新結果を受けて : ppt
  3. 加速勾配の現状と見通し : pdf
  4. Super TRISTAN - a possibility of ring collider for Higgs factory : pdf
  5. コストの現状と見通し : pdf
  6. コメント : pdf

議事に先立って

山口委員長から、以下の報告があった。
すべての委員は2012年3月末で任期を迎える。

1. 機構長挨拶

鈴木機構長(ICFA議長)より、今後の取り組みについてのあいさいつがあった。

2012年はILC-TDR完成等一区切りの年となる。Pre-ILCなのかILC Pre laboratoryなのか呼び方が有るが、ILC研究所の準備研究所をどうするかを検討する委員会の設置を、2012年2月2日にオックスフォード大学で開催されるILCSCで提案する。多国籍研究所としての準備を始めたい。 ILCの日本への誘致に関して、国内外での関心が高まっている。その中で、US-DOEやCERNなどから『日本のやる気』の問い合わせがある。

2013年へどう取り組むかについて今年から議論したい。

2. LHCの最新結果を受けて

川越委員から、以下の報告があった。
LHCでのHiggs探索の最新結果を中心に報告する。この内容は、2011年12月13日CERNで開催された
CERN PUBLIC SEMINARでのATLASとCMSグループの発表と、2011年9月10日名古屋大学で開催の将来計画小委員会タウンミーティング『コライダー加速器による高エネルギー物理学の将来展望』で行った講演をもとにしている。

ATLAS,CMSともそれぞれ5nb-1のデータを効率良く取得した。2011年春以来、ルミノシティーの増大とともに事象の重複数(multibunch events)が増え、データ解析が複雑になってきている。上記のセミナーではHiggs探索の結果が更新された。特に、その質量の軽い場合、多数の崩壊過程についての解析が行われた。ATLASでは、W対への崩壊過程は約40%のデータが解析され、質量の140GeV以下の領域でHiggsがないときに比べて余分の事象があった。二つの光子(γγ)への崩壊過程では、質量126GeVに事象のバンプがある。S/Nのよい4レプトン(ZZ*)への崩壊過程はまだまだ統計は少ないが、100GeV以上の質量領域でSMの期待値(Higgs無し)と一致している。これらいろいろの崩壊過程の解析から、ATLASでは、112.7〜115.5GeVと131〜453GeV ( 237〜251GeVは除く)の質量領域が95% Confidence Level (CL)で排除された。CMSでも同様の結果がでている。特に、γγ崩壊で、ATLASは126GeV、CMSは124GeVがのHiggsの候補(ヒント?)が見られる。 超対称性や余剰次元など標準模型を超える新粒子の兆候は見えていない。LHCは今春より重心系エネルギーを8TeVに上げる予定である。また、ルミノシティーも3倍程度高くなると期待されている。

ILCではLHCで発見されたヒッグス粒子を調べ尽くすことが行われる。その最適な重心エネルギーはHiggs質量+120GeV程度、つまり、その質量が上記のヒントのものなら250GeVとなる。ここで、スピン,パリティー, いろいろの崩壊比などHiggsの特性の精密な測定を行うことができ、いろいろの新理論の検証が可能となる。重心系エネルギーが500GeVであれば、ヒッグス自己相互作用そしてトップ湯川結合の測定が可能となる。また、重心系エネルギー350GeVでは、トップクォークの精密測定も可能となる。Higgsなど新粒子を詳しく調べて、次のコライダーエネルギーを決めることもできる。したがって、軽いHiggsがあれば、ILCはHiggsファクトリーとなる。重心系エネルギー1TeV までならILCのアップグレード(第2期)、それ以上ならCLIC 又は Muon Colliderが次期レプトンコライダーとなるであろう。

LHCの結果でILCの指針が決まるが、それが確定するまで待つのではなく、あり得るシナリオに備えてILCの準備をしておくことが必要である。

Q 鈴木機構長 ; Tevatronからの結果(Higgs)との整合性はどうか。
A : 矛盾していない。特に、最近のTevatornは、160〜170GeVの質量領域を排除した。
Q 高崎 : ATLASとCMSのcombined analysisの結果がでるのはいつか。
A : 1月中にはそれぞれが解析を更新し論文発表を行う。その後に combined analysisが行われ、モリオン会議で発表されるだろう。
Q 山口 : これからの生出さんの発表にあるように、Higgsファクトリーならリングコライダーの方がよいのではないか。
A 山下 : 新理論検証のためにはヒッグス自己相互作用の測定が必須で、そのためには重心系エネルギーが少なくとも500GeV必要となる。これにはリングコライダーは対応できない。
C 山口 : ILC(リニアコライダー)は予算が高すぎるのではないか。
Q 生出 : ヒッグス自己相互作用はLHCでも可能ではないか。
A 岡田 : LHCでは、Higgsが主にWW, ZZに主に崩壊すればかろうじてみることができるかもしれない。軽いHiggsの場合、 bbへの崩壊が主となり難しい。 (理論屋の間で10年前に解析されている)
C 山下 : LHCではHiggs質量は160GeV以上の場合 4 レプトン崩壊過程で見ることが出来るかもしれない。ただし、統計的にきびしい。
Q 生出 : LHCで重複事象の解析が進み可能になるのではないか。
A 山下 : レプトン崩壊過程の場合、ルミノシティーが足らない。
Q 山本明 : ILCで重心系エネルギーを増強する時のタイムスケールはどのようなものか。
A : それぞれのエネルギーでの必要な積分ルミノシィーによる。27ページに例が示されている。
A 山下 : LCスコープでは重心系エネルギー500GeVのとき、4年間で500fb-1が示されている。ただし、SUSYが標準モデル(SM)に非常に近いとき、より多くの積分ルミノシティーが必要となるであろう。

3. 加速勾配の現状と見通し

加古永治さんから、以下の報告があった。
世界(JLab/FNAL, DESY, KEK)の現状を説明し、日本の状況、そして、超伝導高周波試験施設での今後の展開、国内企業などでの空洞開発状況、今後の展望を報告する。

2011年9月までの加速勾配達成の状況(38台の9セル空洞、2回の試験)を最高勾配の関数として示した(3ページ)。目標は35MV/m以上のイールド率の90%達成であるが、現状では60%となっている。

Q 山口 : 示されたものの年ごとのイールド率はどうなっているか。
A : 図では積分されたもので、特に40MV/m以上でイールド率の飽和が見られるが、35MV/m以上や年ごとのものではreasonableな結果が得られていると考えている。
Q 高崎:年ごとの積算でイールド率の減少が見られるがどうしてか。
A : データは2回目までの試験結果が示されている。その中には、2回目で向上しないものもある。
材料費がより安く表面処理がCP(化学研磨)だけでよいと期待されているLarge Grain空洞の現状を報告する。DESYでは11空洞が製作・試験され、CP後、すべての空洞でその加速勾配は30MV/m以下であった。EP(電解研磨)後に、3台が40MV/m以上となった。

FLASH@DESYでは、56空洞/7モジュールが運転されている。この中の2モジュール(ACC6、7、8空洞/モジュール)がXFELタイプのRF power distribution を使用している。その16台の空洞の内6台がILCの31.5MV/m以上で運転されている。

アメリカでは40台の空洞の試験(vertical test)が行われている。その中には35MV/m以上のものが16台ある。1つのモジュール(CM-1)の8台の空洞試験で、vertical test(VT), horizontal test (HT)そしてmodule内test (CMT)の結果はそれぞれの平均勾配が30MV/m, 29MV/m (3% down), 24MV/m(20% down)となった。VTとHTはDESYで行われ、CMTはFNALで行われた。

KEKでのS1-Global test ( 2台-FNAL, 2台-DESY, 4台-KEK ) では、全8台の空洞のVTの平均勾配は30MV/mであったが、tuner troubleの1台の空洞を除いた時のCMTの平均は26.2MV/mで、VTに比べて13%の減少である。

これまでKEKでは、STF-1, S1-Global, S0, QB(量子ビーム),STF-2用に、三菱重工業(MHI)の空洞17台が製作・試験されている。これらのVTの勾配は向上し、最近のSTF-2用の2空洞では35MV/m以上となっている。これはインフラの整備が行われ、EPのパラメータの最適化が行われたことによる。また、9セル中の1セルの加速勾配が空洞のものを制限しているので、そのセルの同定と表面処理(local grind)を行うようになった。一般高圧ガス設備対応の超伝導空洞を製作している。

STF-2 : 2台の空洞よりなるcapture モジュールを2012年2月に冷却試験する。8台空洞の#1モジュールを2014年1月の冷却を予定している。その後どのように進めて行くかは議論中であるが、4台空洞のモジュールで試験したいと思っている。

三菱重工業では、コストダウンのためにレーザービーム溶接(LBW)の試験が行われ30MV/m近い加速勾配が得られている。また、シームレス空洞の開発も行われている。日立製作所ではHOMなし空洞で35MV/m以上のものを達成した。HOM有りでEBWによる2番目の空洞を製作中である。そのVTは2012年4月に予定している。東芝ではHOM無しの2番目の空洞が完成し、今月中(2012年1月)にVTを行う。KEKでは、0号機のEBWを外注しているが、その最後の溶接で穴が開き、それを補修後、2012年3月にVTを予定している。また、1号機の製造を準備中である。

今後の展望とまとめは;

Q 高崎 : S1-Global 性能劣化の原因は何か。
A : 詳細を検討中。可能性として、DESYやFNALからの運搬中、組み立て中でごみ等混入し空洞表面を汚したためかもしれない。
Q : 組立中このようなゴミ混入のないように注意する必要があるが、今後、そのことは大丈夫なのか。
A 山本 : 30%の空洞はVTからCMTで加速勾配が20% 低下した。縦測定(VT)時やcoupler装着時にごみが混入したと思われる。改善されるが、10%や5% の低下は避けられないかもしれない。
Q 山口 : その低下のメカニズムを理解しているか。
A :
Q 山下 : 取り扱い注意は重要と思われるが、やり切っているのか。
A : すぐにできることはやっているが、まだまだ改善の余地がある。
Q 早野 : 4空洞/モジュールでの試験は中途半端である。もし組み立てで問題があれば、8/moduleでやるべし。beam facilityは別だが。  
A : STF-2では、2014年1月から運転を始める。新しく製作する空洞試験のための空洞の交換等、タイムスケジュールを考えると、8空洞/モジュールの場合、一連の時間が長くなってしまう。
A 早野 : それは、現在の設備が4空洞/モジュールにしか対応していないことによる。したがって、8空洞/モジュールに対応すべきである。
Q 山下 : 空洞製作時のQuality controlについて専門家の意見を聞くべきではないか。例えば、工学部、産総研など。
A : DESYでの経験を踏まえている。
C 山下 : 日本がリードするなら独自のものをもつべきである。
A : 単に空洞の製作ではなく、moduleに組み込んでのcontrolが必要である。
C : Q-controlが重要なら、上記の専門家の意見を聞くべきである。
C 峠: VT, HT, CMTでのgradient劣化には、欧米ではcouplerを付けて運搬しているのが関係しているかもしれない。日本では違う方法を取っているが、日本の方がよいかもしれない。

6. リングコライダーによるHiggs Factory

生出委員から、以下の報告があった。
Higgs質量が130GeV以下であれば、リングコライダーにはリニアコライダーに比べて以下のような有利性がある。技術的にも、運転も簡単である。例えば、半年でルミノシティーの設計値を達成できる。建設費や運転経費も安い。

加速器の基本パラメータは、A. Blondel and F. Zimmermann, "A High Luminosity e+e- Collider in the LHC tunnel to study the Higgs Boson", arXiv:1112.2518v1[hep-ex], 24 Dec 2011 に従った。  Higgsファクトリーとして、ビームエネルギー120GeV, ルミノシティー 10/nb/s (1034cm-1s-1 )とした。

superTRISTANとして、周長40kmと60kmの二つの場合を考えた。衝突点(IP)でのベータ関数は80/2.5mm (水平/垂直)、加速空洞はILCのものを使用し、10GeVのリニアック を入射器とした。ビーム強度は4 x 1012/bunch、8.6mA/beamである。筑波山の周囲を回るレイアウトを示した。また、消費電力は450MW/40km, 300MW/60km、建設費の概算は、2,590/40km, 3,340/60kmである。

Q 高崎 : 概算額の単位は億円か。
C 生出 : 60kmなら、陽子ビームを回せば次世代のLHCになる。
Q 相原 : 放射光のエネルギーはどれくらいか?
A : LEPと同じ程度である。
C 高崎 : 40kmはLEPとほぼ同じ
Q 山下 : 重心系エネルギー増大の可能性はどれくらいか?
A : 60kmのものでtopの閾値まで可能と思われるが、ルミノシティーは下がる。
Q 山下 : 500GeVは可能か? 500GeVはHiggsのself-couplingの測定に必要である。
A : だめ。
Q 岡田 : 何が制限しているか。
A : power。
Q 山下 : LEP3はLCの前段でという議論が下になっている。
A : その場合、LHC撤去後、何10年も先になってしまう。
C : CERNはそれでCLICを開発している。
C/Q 生出 : LHCでもself-couplingを測定できるはずである。
A 岡田 : M_H<150GeVではLHCでself-couplingは無理。
C 山口 : energy reachはcostとの妥協点が必要である。
C 鈴木機構長 : 物理の可能性を問題とすべきである。可能性としては検討するのはよい。
C 山下 : energy reachでのconsensusによる。
C 生出 : (next energy scaleでの実験は)60kmのhadon machineで行う。
C 岡田 : 少なくともLHCの10倍のエネルギーが必要である。
C 生出 : その場合、lepton machineを入れてもよい。
C 岡田 : LHCの先のenergy scaleの議論はできない。

4. コストの現状と見通し

山口委員長から、以下の報告があった。
RDR, TESLAそしてSTFでのコストを考慮して議論する。ここでは、1 ILC=100円 = 1ドル=1ユーロとする。

RDR(重心系500GeV ILC)の総予算は6,618MILCで、その中でConventional facility(CF)は2,472MILCである。ILCの全長を50kmとすると、CFは500万円/m、総コストは1,200万円/mとなる。主リニアックは総予算の41%で、クライオモジュールは1/3である。また、空洞(製造,組立、処理、評価)は10%程度である。TESLAの総額は3,136MEuroで、空洞の総額は10%である。したがって、ILCの場合と同程度である。

linacのコストはエネルギーに比例するが、linac以外のコストはエネルギーに依らないと仮定して、RDRコストから重心系エネルギーごとに概算すると、4,672MILC/250GeV, (6,618 MILC/500GeV), 10,514 MILC/1TeVとなる。 STFでのコストを基準とすると、8,894MILC/250GeV, 17,137 MILC/500GeV, 27,397 MILC/1TeVとなる。

空洞やクライオモジュールなどの製作費の1/10など大幅なコストダウンが必要である。 KEKでは空洞製作は最近までMHIの1社だけで行われてきた。コストダウンの方策として、複数メーカーによる競争、『過剰な』仕様を避けること、内作から工業化を先導することなどが取り組まれている。その例として,日立製作所、東芝が空洞製作に加わりそれぞれ1号機を完成させ試験が行われ、35MV/m(HOM無)と8MV/m(HOM無)の結果が得られている。それぞれ2号機の製作も行われ、2012年春までに試験が行われる予定である。MHIでは、stiffener ringやビームパイプのフランジ部の溶接をEBWからLBWに変える等の行程の見直しが行われ、MHI-A空洞で29.5MV/mの加速勾配が得られている。KEKでの内作では、0号機(プレスはKEK,EBWは外部)を製作中でエンドセル溶接補修後2012年1月に完成し、3月にVTの予定である。1号機は内作のEBWの条件出しを行い今年中に完成予定である。これと平行して、EBWを出来るだけ避けるシームレス空洞の開発も行っている。DESYでは30MV/mを達成し、FLASHで運転に使用されている。銅パイプのシームレス空洞への加工はOKであったが、材質がニオブとしたとき破裂(バースト)がEBW部に起こった。真にシームレスパイプでもバーストが起きたが、ニオブのgrainサイズが大きかったためと思われる。現在、数分の1のgrainサイズのものが入荷しその試験を予定している。ILCでのコストの最小値の加速勾配は40MV/m(ILC-ACD, VTで44.4MV/m,90%のイールド率)であり、これを目標とするLL空洞の開発も行われている。単セル空洞ではすでに46.7MV/mが得られている。これまでの9セルで達成された最高勾配は40MV/m(Q0=8E9)である。 他のコンポーネントも高い。例えば、入力カプラーの現在のコストはRDRの空洞コストと同程度であるが1/3程度に下げる必要がある。

Sバンド常伝導加速管(無酸素銅使用で54セル)は、周波数測定と調整、超精密加工、電鋳 などの多くの工程がかかわっているが低コストで量産されている。

2003年のGLC(Xバンド常伝導加速管)のコストの概算額は、4,600億円/500GeV, 3,150億円/300GeVである。

LINACの単価(/m, /MeV)をILC(2007,RDR), (E)XFEL(2007,TDR), TESLA(2001,TDR)とGLC(2003)の場合についてリストした。(E)XFELのものが他のものより約2倍となっている。

結論として、大幅なコストダウンが必須である。

5. コメント

山本明委員から、以下のコメントがあった。
国際的な情勢をGDE活動に基づき報告する。RDR(2007年)以降のTDR(2012年)に向けて、『性能/コスト』の最適化、特に、ILC性能を維持したまま、シングルトンネルへの移行、ダンピングリング周長の半減、RFパワーの半減などが含まれたSB2009-ILC設計が提案・検討されている。

日本の『山岳地帯』でのトンネル設計は、ダブルトンネル(RDR)からサブトンネルとメイントンネル(SB2009)となり、TDRではかまぼこ型シングルトンネルと変更されて行っている。

SB2009の予算総額はRDRのものの約-11%である。RDRの概算額の6,68MILCは2007年のドルを基準にし、その年の為替レートを採用している(1 ILC=1ドル=0.83ユーロ=117円)。TDRでのコスト評価では、最近の激しい為替レートの変動を避けるため、OECDによるPPP(Purchasing Power Parity, 購買力平価)による換算を採用することが提案されている。

main LINACでの内訳を見ると、その3/4 が空洞とクライオモジュールである。

日本の『山岳地帯』でのトンネルは、ダブルトンネル、サブトンネルとメイントンネル、かまぼこ型シングルトンネルとTBMとNATM工法、そして、RFパワー供給システムのRDR, DRFS, KCSを考慮した合計8個の構成で概算が見積もられた。ここでは、工事費の他,工期と機能性も検討された。その結果、NATM工法によるかまぼこ型トンネルが最も経済的に優れていることがわかった。かまぼこ型トンネルでは3.5m厚のコンクリート壁で加速管室とRF室が別れており、運転中でのRF室で作業が行える。

空洞コストについて世界の会社(製造と材料メーカーを含めて全16社)と議論をしている。RDRでは、空洞の製作は1社が行い量産効果でのコストダウンが仮定されている。これら会社とは、複数の会社で製造することも考慮して議論を行っている。また、すでに契約が成立し製造が開始されているEXFELでのコスト(2社で300台づつの空洞製作)も検討の中に入れられている。ただし、ILC コストを単純にEXFEL からエネルギーでスケーリング する事は無理があるが、同様の技術となるSCRF 空洞について比較検討は意味がある。

さらにコスト評価の精度を上げるために、RI-DESY, AES-FNAL, MHI-KEKにより、空洞を1社で20%, 50%, 100%製作する場合について有償で評価中である。2012年春にその結果が出る予定である。

TDRに向けてコスト削減へのさらなる努力を進めている。このとき、ILC 性能要求を満たした場合に経済性を優先することを前提としている。特に、日本ではかまぼこ型トンネルではRDR-RFシステムも可能となり、それはDRFSに比べて低コストであることがわかった。 年末に関係者間で議論して、これを基本(10MWクライストロン)とすることとする。 また、工業化では、量産における集約型製造と国際協力による製造、試験評価分担の最適条件を探る。多くのコンポーネントのPlug-compatibilityも確かめられている。

現状のSCRFのコスト評価はRDRに比べて2倍程度であるが、総額に対しては10%程度である。これはSB2009の11%の削減以内となる。このようなコストの増加をSB2009での節約の範囲に収まる努力 (Cost Containment Effrort) を続ける。

Q 山下 : 二人の主張の違いは何か。
A : 山口さんによるとSTFを基準にすると1兆円を越えるので、大幅なコストダウンをしなければならない。山本はそれに向けての国際情勢からの報告を行った。この意味で、整合性がある。
C 山下 : 概算評価の不定性は減っているのか。
A : 特に、日本・山岳サイトのCFS評価はかなり精度がある。また、年末にDRFSよりRDR-RFシステムへ変更でコストダウンを計った。
Q 山下 : これまで検討されているものは先進国でのコスト評価で、中国等を考慮したらどうか。
A 山口 : IHEPのクライオモジュールのコストは高い。
C : それは資本主義の経済だから world economicsに従っているのではないか。
Q 田内: これまで検討・開発してきたDRFSはバックアップシステムとして続けるのか。
A : 優先度を付けて行う。先ず、RDR-RDシステムに必要なマルチビームの10MW クライストロン開発を優先する。
Q 浦川 : 山口さんによる概算の1兆円について,コスト高の主がcavityなら1兆円を越えない。
A 山口 : すべての製造に関わる人件費が5倍なら1兆円となる。

7. 意見交換

山口 : XバンドLCはRF-DLDSを使用しないときコストダウンできるかもしれない。 ILCとは別にalternative LC の検討をするべきではないか。
鈴木機構長 : これまでILCのために努力している。TDR完成の2012年までILCに集中することを決めている。
峠 : XバンドLCの検討を何のためにするのか定義すべきである。技術的な(readinessとavailability等)妥当性も検討しなければならない。
山口 :
山下 : しっかりと柱を立ててやるべきである。
山口 : いろいろの可能性を検討しコストダウンを目指すべきべきである。
山下 : すでに指摘しているが工学ベースの議論が必要で、専門家(産総研、工学部など)の協力が必要である。
鈴木機構長 : plug compatibilityなど国際的な分担に向けての努力がされている。
山下 : quality controlで専門家の意見を聞くべきである。
山本 : ILCでは世界にたくさんの専門家がいる。すでに彼らと協力している。
山下: もちろん、それに加えて日本での取り組みも必要である。
山本 : AAAもある。 そこのWGでもやるべきである。
山下 : cavity設計について、KEKでの二つの空洞開発(TESLAとTESLA like ?)の決着はどうか。
山本 : より高い加速勾配のR&Dとコストダウンを行う。経済的な選択を行う。 したがって、来週のBTRではTESLA空洞を提案する。 TTCで世界で議論している。
山下 : priorityを付ければよい。
山本 : BTRの議論を踏まえて,KEKでpriorityの議論をする。
川越 : ここでの議論は加速器のR&Dが主となっている。プロジェクト自身をどのように推進するのか。日本に誘致に関して、この委員会はどういう意味を持っているのか。
山口 : ILCにこだわらなくてよいのではないか。
山下 : リングコライダーの議論は発散しているのではないか。
山口 : ここで、technicalの議論だけか、projectの話をするのか。
山本 : 誘致するような議論も必要である。
相原 : ILCは、SuperKEKBのようなプロジェクトではない。Higgsファクトリーとするならプロジェクト化が必要である。
山口 : ここでするしかない
山下 : 1ヶ月単位で委員会開催してはどうか。ただし、それぞれでの目標など必要である。
山口 : 半年ごとで十分ではないか。
鈴木機構長 : サイト・誘致などは高エネ委員会ですべきである。ここは加速器、測定器の開発研究を推進すればよい。
生出 : 高エネ委員会では誘致を決めていない。
鈴木機構長, 相原 : そこで議論すべきである。
山下 : 将来計画委員会では議論など始まっている。
横谷 : XバンドLCの検討はたいへんである。
山口 : 6年前と状況が変わっているのですべきである。
横谷 : ILCレベルでの比較ができるか。e.g. コスト評価が信頼できるか。
山口 : XバンドLCは次回にも報告したい
鈴木機構長 : それは2年後でどうしてだめか。
山下 : 2012年まで集中してILCをやることが重要である。
山口 : XバンドLCが安ければ実現性が高まるのではないか。
相原 : 2012年までにだすこと(TDR)をすべきである。いろいろのオプションをprivateにすることはよいが。KEKは責任を持って2012年までに結論を出すべきである。 これは機構全体で進めていることで重要である。学術会議でもこれで推進している。
鈴木機構長 : 山口委員長はこのような意見を聞くべきである。
山下, 高崎 : 本委員会開催の頻度を上げるべきである。
相原 : ILCの現状が日本のcommunityに伝わっていない。
高崎 : 今回、siteの話は準備不足なのか。
山本 : KEKのsupportでやっている。
川越 : サイト研究は進んでいる。自治体からの予算も出ている。
相原: communityとのcommunicationが必要である。
山本 : CFS(の報告)もここでやればよい。
山下 : 途中経過報告でもOKである。頻繁な意見交換が必要である。 e.g. RFシステム(klystronなど), 空洞の変更もここで議論すべきものである。
野崎 : 少し前までは、ILCSCなどの前に意見調整のため議論していた。そこでは統一した日本の意見を示していた。もっとこのような場で議論してcommunityとの風通しをよくした方が良い。
岩下 : 意見交換の時間をもっと持ってほしい。
川越 : 必要なら小委員会など作るべきであり、そのような場で積極的に貢献したい。