2004年3月16日(案)
To: LC推進委員会
From: 陳 栄浩、峠 暢一(責任編集)、早野仁司、肥後寿泰
Subject: LC(リニアコライダー)加速器関係報告、H16年3月分
LC関係報告
2004年3月
1.会議など
LCPAC: 2月19-22日にKEKで開催。LC関係報告を20日におこなった。一部資料はhttp://lcdev.kek.jp/Reviews/LCPAC2004を参照。
ISG-Lite: 2月23日の週初めにSLAC、FNALから7名が来訪し、ITRP対応およびITRP後のLC開発方針を主課題とするGLC-NLC加速器グループ間の意見調整ほか協議(ISG-Lite)を行なった。
ATF Collaboration Meeting: 第4回ビーム物理セミナーを兼ねて、第9回ATF International Collaboration Meeting を3/20-3/21に鴨川で開催予定。詳細はhttp://atfweb.kek.jp/atf/ Meeting/2004/coll9/ を参照。
APAC 2004:3月に北京で開催予定のAPAC 2004/01/30では、GLC
Overview に加えて、ATF status、Klystron 開発状況、2-moded SLED-II 、X-band加速管、試験結果の口頭もしくはポスター
contributions を行う予定。
メカワークショップ:X-バンド加速管製作関連の技術開発を主題とする第五回KEKメカワークショップが、例年通りKEK工作センターの主催で、4月15日に3号館セミナーホールにて開催される。連絡先は工作センター事務室。追って、 http://mc6200.kek.jp/kousakuあたりに詳細をweb 掲示の予定。
ITRPによるKEK訪問:ILCSCのもとに2003年秋に設置されたInternational
Technology Recommendation Panel (ITRP) は、世界規模国際協力によって建設するLCの基本技術スキームについての勧告を2004年中にILCSCに提出する。このため、ITRPはDESY、SLAC、KEKを訪問して現状視察調査を行なう。KEK訪問時期は5月25-26日に決定された。その後、Barish委員長から質問リストも送付された。この対応のための部内準備と協議を始めている。
コスト再評価:国内企業の協力を得て、GLCの建設コスト再評価作業を開始した。当面の作業項目は、主線形加速器関連機材コストにおける量産効果の評価を中心とする。
2. GLCTA
現状: AR南実験室からアセンブリーホールに移設した加速管高電界試験装置の立ち上げを行なってきた。パルス幅400ns、繰り返し50Hzでソレノイド収束型クライストロン二本の出力、4030MW+60MW50MWをパワー合成し、加速管入力にて当初目標の約60MWをほぼ供給できるようになった(繰り返し12.5Hz)。現在設置の加速管はSLAC
から戻ったコンディショニング済みのもの(T53VG3F)。これを使用して、加速管内で発生するブレークダウンを検出するハード・ソフトシステムの最終立ち上げを行なっている。
新規加速管試験:上記加速管試験装置で、新規KEK 加速管(H60VG3K1、ベーキング済み)
を負荷として高電界試験を3月22日ころ開始する予定。目標は、加速電界65MV/mでの長時間安定運転を目標とする。
新規変調器立ち上げ:稼動中のソレノイド収束型クライストロン二本に加えて、PPM収束型クライストロン二本の運転も並行してGLCTAで行なうことができるよう、新規変調器の準備を加速器第三系入射器グループのメンバーが進めている。設置、調整作業を3月22日から開始し、5月連休前にはクライストロン運転が可能となるところまで立ち上げる予定。
今後の展開:H16年度からの活動として加速管の長期運転に加えて、導波管立体回路の改修、SLED-IIパルス圧縮装置の導入などについて、検討協議を重ねている。
3. ATF
(2004年31月930日現在の状況)
運転:2月16日から27日までの運転では、RF電子銃のEmission改善研究のほかリングでの蓄積電流を増やすためにマルチトレインビームによる運転を行った。その際、取り出しキッカー両端のべローズでの発熱になっているが、4月中旬に予定されているシールド付ベローズとの交換で対処できる、と考えられている。その後一週間の運転休止を経て3月8日から運転再開予定のところ、ライナックRF 4号機の不調のため、3月10日朝まで再開を延期した。復帰後の主目標は100mA以上のビーム蓄積条件下での発熱現象の調査。その他の研究プログラムも今までと同様に行っていく。12月末から4週間の保守期間の後、2004年1月19日から1月30日まで間に2週間の運転を行い、各種ビーム実験を行っている。しかし機器の故障が重なっているため、加速器を良好な状態で運転できる時間は少なかった。以下にこの2週間での新規到達事項のみ列記する。
RF gun からのビームの低エミッタンス保存加速の研究のため、現在、BBAによるBPMのオフセット校正をしたり、Qマグネットや加速管のアクティブムーバーを使用したりしてエミッタンス増大の抑制を研究中。今回、加速管ムーバーによるビームベースアライメントによりリニアック下流部での2倍のエミッタンス増大を抑制する事ができた。ただし、RF電子銃のレーザー光の調整不十分により測定されている正規化エミッタンスは4倍程度大きかったので、低エミッタンスビームでの再確認が必要である。
取り出しビームのエミッタンスがリング内のエミッタンスに比べて2倍程度大きい、という問題に対して継続的な研究が行われている。取り出しキッカーおよび取り出しセプタムマグネットのフリンジフィールドによるカップリングの効果を探るため、垂直方向に意図的に2mm程度の変位をつけたところ、取り出したビームのYエミッタンスに減少効果がみられた。
その他、加速器性能改善のための改造やビームデータ取得、各種ビームモニターの改造、共同開発研究による実験(偏極陽電子生成実験、X線SRモニター)を行っている。
4. X-バンド
4.1 クライストロン
PPM2号機:現在東芝で電子銃を含め改修中。
PPM4号機:KEKのAR南実験施設で、2月13日に75MW、1.6ms、25Hzの出力を得ることができた。5号機試験(後述)開始のため4号機の試験はここで中断したが、3月末にGLCTA用の新規変調器が完成しだい、GLCTAでPPM4号機のコンディショニングを再開することを現在検討中。
PPM5号機:4号機に替わって、冷却系、RF窓などに一段の性能向上が期待される5号機を2月終わりよりAR南実験施設に配置設置した。電子銃コンディショニングのためのHV印加運転をは3月1日から開始し、3月6日にはRF発生試験も開始に移行した。3月89日午後現在で 50MW65MW、1.46ms、25Hzの出力を記録しているしている。
4.2 パルス圧縮
SLED-II 関連開発:4.8 dB及び6 dB電力分配器をKEKで製作している(既報)。これは、NLCTAでのSLED-II試験計画のうちSLACで現在準備中の第2期実験において、SLED-IIから加速管への電力分配システムの中心要素として使用予定のもの。現在、22番目のover-height低電力モデルの製作が終わり、測定の結果、設計通りの性能を示した。最終的な大電力モデルは2004年3月中旬に完成する予定。番目のover-height低電力モデルの製作が終わり、特性を測定中。最終的な大電力モデルは2004年2月末-3月初めに完成する予定。
NLCTA SLED-II試験への人的参加:日米で共同してこの計画を成功に導くために、現在KEKから非常勤研究員のAndrei Lounineがcommissioningに参加、大きく寄与している。Lounineは当初の予定を延長し3月一杯までSLACに滞在し参加を続ける(既報)。
4.3 モジュレータ
線形インダクション変調器:現在実機の製作中。2004年度はじめまでに全ての部品調達を終え、試験運転を夏前に始める予定。
4.4 加速管
NLCTA
での加速管試験結果更新:前全セルにHOMダンピングのためのスロットを備えた5p/6モード最新パラメータの60cm試験加速管の一号機はKEK製作セルによるH60VG4S17-1であり、SLACの水素炉で組み立てられたものだが、ったが、FNAL真空炉で水素に曝されずに製作したの類似型加速管H60VG3S17-FXC3の高電界試験結果がも出始めた。H60VG3S17-FXC3では、400ns RamデザインRF入力波形で加速勾配65MV/m時に放電頻度0.2/hr
(パルス繰り返しは60Hz)であり、H60VG4S17-1とほぼ類似同様の結果を得た(H60VG4S17-1では同様条件で放電頻度 0.15/hrを記録)。
NLCTAでの今後の加速間管試験:NLCTAでは4月-5月にかけて下表のような加速管の試験を行なう予定。すべて最新パラメータである5p5p/6モードタイプの加速管でvg/c
= 4%、a/l = 0.17を採用している。スロット付の最終仕様加速管の試験とともに、等価なセルパラメータを有するがスロットの無い加速管での試験も進め、放電頻度等の高電界特性の見極めを最速で行う計画である予定。
これまで試験されてきた60p加速管は、SLED-II Phase2aに供され、長期運転試験をシステム試験の一貫として進める。この中には、KEK/SLACで製作したH60VG3-6C、H60VG3S18等が含まれる。
4月中、ITRP SLAC訪問までにある程度の結果を得る予定 |
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H60VG4R17-1 |
SLAC製作 |
HOMスロットなし、日立銅 |
H60VG4R17-2 |
SLAC製作 |
HOMスロットなし、日立銅 |
H60VG3S17-FXC4 |
FNAL製作 |
HOMスロットあり、Finland銅 |
H60VG3S17-FXC5 |
FNAL製作 |
HOMスロットあり、Finland銅 |
5月中、ITRP KEK訪問までに試験開始予定 |
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H60VG4S17-3 |
KEKセル、SLAC組み立て |
HOMスロットあり、日立銅 |
H60VG4S17-4 |
KEKセル、SLAC組み立て |
HOMスロットあり、日立銅 |
H60VG4S17A-FXD1 |
FNAL製作 |
HOMスロットあり、ドイツ銅 |
なお、これまで試験されてきた60p加速管の多くは、SLED-II Phase2aでの運転に転用され、そこでのシステム試験の一貫として長期運転試験に供される。この中には、KEK/SLACで製作したH60VG3-6C、H60VG3S18等が含まれる。
KEKセル製作作業:春からの高電界試験に供する予定の本命の高電界試験加速管として製作しているH60VG4S17-3用加速管(上表参照)の1台目のセル、カプラーパーツ製作はは製作を、KEK工作センターにて完了、カプラーパーツSLAC向けに発送した済み。同型H60VG4S17-4用のセルは現在製作を行なっており中で3月第三週には完了の見込み。
以上、