GDN(Global Detector Network)の現状について報告

LC推進委員の皆様

 いまMonpellier の ECFA LCWSに出席中ですが、GDN(Global Detector Network)の現状について報告します。
山本均。

GDNに関する現状

2003年10月20日にオレゴンでのIEEE会議の付随ワークショップとして第一回 のGDN会議が開かれ、11月14日モンペリエのECFA LCWSでGDN会議が セッションの一つとして開かれた。まず私見を述べると、ホストにならない 地域(国)が$1Bレベルの出資をするとなるとその政府を説得するうえで 十分な見返りがある事が重要であり、GDNのような努力もその意味でLCが 頓挫しないために必要だと考える。それは、GANと同じ動機である。

オレゴンでは、Joachim Mnich と Rick Van Kootenが議長となって、 3時間ほど行った。 出席したのは20人程、で Mnich の導入のあと、 D0、CMS、AMS(antimatter) の代表が各々の経験にもとずいでGDNに関する 議論を行った。モンペリエでは、Mnich と Vaclav Vbraが議長となって 2時間ほどのセッションを行ったがあまり新しいことはでなかった。 GDN に関する議論は始まったばかりで全体像もはっきり していないが、簡単にいうと次のようなものが議論されている: 

実験シフトのできるコントロール室は, たとえば, KEK, SLAC, Fermilab, DESY, CERNと、世界にいくつかあって, シフトをするために必要な設備を持っている。  LCのサイトにあるコントロール室もこれらの遠隔コントロール室の一つに すぎない。実験が物理データをとっている時にはこれらのコントロール室の ひとつが実験シフトを行っていて検出器への全てのアクセス権を持っている。 実験シフトのできるコントロール室のほかに、各検出器部分のコントロール ステーションは世界中の大学などに散在している。たとえば、LCサイトが 日本にありSLACのコントロール室が実験シフトをしている時にTPCの 異常に気付いたとする。実験シフト内で解決しなければ、 アーヘン大学のTPCエキスパートに連絡し、寝ていたTPCエキスパートは まず自宅のウェブで診断/解決しようとするがそれが出来なければ、大学に行き アーヘン大学のコントロール/モニターステーションを使って修理しようとする。 結局、moduleをひとつ交換するとなると、まずSLACのコントロール室に アクセスを要請する。アクセスが許可されると。日本のサイトには常に現地班が 待機していて、小型ビデオカメラ、ヘッドフォン/マイクをつけて エレキハットに入り、ビデオで連絡しているアーヘンのエキスパート の指示に従ってmoduleを交換する。 明らかにアクセス権/コントロール権 のシステムを注意深く設計することが大切である。

上のようなシステムを成功させるためには、これまでエレキハット内の LEDで表現していた情報がネットがらアクセスできるように最初から 設計される必要がある。また、重要なネットにはバックアップが必要。 遠隔シフトが責任感と緊張感を持つ事が肝要であるので、自宅や ビーチからシフトをすることはしない。実験シフトのできるコントロール室 をいくつ作るかは将来の議論の対象となるところ。 現在すでに多くの情報は検出器の内部にあり、またエキスパートが サイトにいない事が多いため、このようなシステムは最終的にはデータの 損失を減らす事ができると考えられる。実際にどのくらいのband width が必要で、どんなhardwareが必要かは将来のGDN working group の仕事内容となる。今のところは、他の実験(宇宙を含めて)の経験 を集めている段階。

以上