日本物理学会 1998年秋の分科会
日本物理学会 1998年秋の分科会(秋田大)において発表したtwo-track separation
実験のトラぺ集です。
- JLC-CDCにおける近接粒子の飛跡分離
東京農工大 黒岩洋敏、山口晃久、仁藤修
高エ研 栗原良将、藤井恵介、Norik Khalatyan、奥野英城
工学院大 渡部隆史
近畿大 加藤幸弘
JLC-CDC group
- 目的
JLC-CDCにおけるtwo-track separationの目標値 <2mm
- 実機と同じセル構造をもつテストチェンバーを製作
- JLCgas(CO2:isoC4H10=90:10混合ガス)中での性能試験
- single track
- two-track
- 現在のセル構造でtwo-track separationが可能か
- 実験装置の概略図
実験はKEK田無分室のESγ2ビームラインで行われた。ESからのγ線を厚さ2mmの
Alのconverterにあて、電子陽電子対生成をおこさせる。それをmagnetの磁場によ
って2つにわけtwo-trackとした。
- テストチェンバーのセル構造
1つのセルは、5本のsense wireとその両側5cmずつのドリフト領域からなる。
電場は1kV/cm、sense H.V.は2.5kVである。
- 典型的なsignal(single track)
横軸はドリフト時間(nsec)、縦軸はpulse height(FADC値)。図の左側にsense
wireがあり、beamは上から下へchamber内を通過する。pulseとして判断している
条件は、thresholdを越えた時間が40nsec以上のものである。wire2のsignalに
おいて1つめのpulseのあとに2つめのpulseが現れている。
- 2つめのpulseについて(1)
左上の図は、イベント毎のpulseの数をプロットしたもの。右上の図は、横軸
ドリフト時間(nsec)、縦軸charge sum(FADC値)。左下の図は、横軸ドリフト時間
(nsec)、縦軸peak pulse height(FADC値)。右下の図は、横軸pulse width
(nsec)、縦軸charge sum(FADC値)。1つめのpulseのあとに2つめのpulseが
現れているのがわかる。
- 2つめのpulseについて(2)
先ほどの図を1つめのpulseに限ってプロットしたもの。大きなpulseのあとに
現れていた2つめの小さいpulseがなくなっている。
- 2つめのpulseの原因(回路)
左の図は、1つめと2つめのpulseの時間差をプロットしたもの(nsec)。これより
時間差は一定ではない。右の図は1つめのpulseのpeak pulse heightと時間差の
相関をプロットしたもの(横軸はpulse height(FADC値)、縦軸は時間差(nsec))。
これよりpulse heightと時間差の間に相関はない。したがって、回路系の問題
ではないといえる。
- 2つめのpulseの原因(クロストーク)
左上の図は、イベント毎のpulseの数をプロットしたもの。右上の図は、1つめと
2つめのpulseの時間差をプロットしたもの(nsec)。左下の図は、横軸はドリフト
時間(nsec)、縦軸はpeak pulse height(FADC値)。いずれもファイ方向に角度を
つけたときのもの。ファイ方向に角度をつけても1つめのpulseのあとに2つめの
pulseが現れている。したがって、クロストークではない。
- two-track再構成1(pulseのcut)
横軸はドリフト時間(nsec)、縦軸はpulse height(FADC値)。single trackの時
と同様に2つめのpulseが現れている。これにpeak pulse heightが20以下、pulse
widthが80nsec以下のものは省く、というカットを加えると次のようになる
(two-track再構成2(line fit)参照)。
- two-track再構成2(line fit)
いくつかのsignalにおいて2つめのpulseがカットされている。ここでライン
フィットを行い、最適なラインを選択すると次のようになる(two-track再構成3
参照)。
- two-track再構成3
最適なラインを選択後、そのラインフィットに使用したパルスのみをプロット
したもの。ここでtwo-trackが再構成される。
- two-track再構成(efficiency)
hodoscopeとcell2よりtwo-trackであると判断された場合に、cell1において
two-trackが再構成された割合を示したもの。横軸はドリフト方向のtrack間の
距離(mm)、縦軸はefficiency。5mm以下でtwo-trackが再構成できていない場合
がある。
- まとめ
- single track
- two peak
クロストークではない
回路系の問題ではない
- space chargeによりdead timeが生じたことによるものと推定される
- two-track
- two-trackの再構成
現状
peak pulse height、pulse widthのカットによりpulseを選択
ラインフィットを行い、最適なラインを選択
- track間の距離5mm以下でtwo-trackが再構成できていない場合がある
- two-track再構成のためにはさらなるstudyが必要
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kuroiwah@jlcux1.kek.jp Oct 14, 1998