高エネルギー物理学将来計画検討小委員会最終答申(序文、答申、要約)
(1997年5月)
KEKB計画の発足、米国のSSC計画の中止などの大きな情勢の変化に伴い、高 エネルギー委員会は最近の世界の学界の情勢を分析し、今後10年間を俯瞰して 日本の高エネルギー物理学(素粒子実験物理学)の進むべき方向を検討するた めに、1994年に第二次将来計画検討小委員会の発足を決定した。検討小委員会は 1994年8月に活動を始め、将来計画、特にe+e-リニアコライダーの物理と技 術を検討した。この間、LEP/SLCでの超精密測定により標準理論を越える物理 の示唆が与えられ、TEVATRONではトップクォークが発見されるなどの学問上 の新しい展開があり、e+e-リニアコライダーに対する期待が更に強まった。 この様な状況の下、検討小委員会は約1年の活動の後、1995年7月に特に緊急性の 高いe+e-リニアコライダー の早期建設に関する中間答申を高エネルギー委 員会に対して提出した。その後もリニアコライダー及びそれ以外の高エネルギー 物理学将来計画の検討を行い、議論を重ね、最終答申を提出するに至った。
電子陽電子リニアコライダー実験における測定器の開発研究
文部省平成8年度科学研究費補助金(基盤研究)研究成果報告書(1997年2月)
現在、TeV領域の素粒子物理研究が行える現在進行中の計画は、ヨー
ロッパのLHC(2005年完成予定)が唯一のものである。しかし、LHCはハドロン
コライダーであるため、エネルギーは十分高くできるが、バックグラウンドが多
く、LHC実験のみでTeV領域の研究をすべて尽くすことは到底不可能である。
従って、LHCと相補的な研究が行えるリニアコライダーは、将来の素粒子物理の
発展に必要不可欠のものである。
わが国はこれまで、近隣のアジア諸国および米国やヨーロッパ、ロシアと国際協力
しながらリニアコライダーの開発研究を進めてきた。
わが国が主導力を発揮し、リニアコライダーの早期
実現ができるよう待ち望まれる。
リニアコライダーの物理
文部省平成5年度科学研究費補助金(総合研究A)研究成果報告書(1994年3月)
この研究は、これまでの物理と加速器の研究結果を統合し、JLC計画の 概要を策定するために組織されたものである。 英文報告書「JLC−I:KEK Report 92−16」 の後1年が経過した今、3年間にわたる科研費総合A班の研究活動をまとめて、 現時点で最も新しい成果を盛り込んだ和文の報告書を作成した。 このなかには、わが国の研究者による多面的な新しい検討結果が 要約されている。
高エネルギー物理に於ける
リニアコライダー開発研究計画について
高エネルギー委員会提言(1993年4月)
過去5年間のTRISTAN(日)、LEP(欧)、TEVATRON(米) 等での研究成果により 「TeV領域の物理」の内容が具体化されたことを受け、 リニアコライダーが果たすべき役割はますます重要となっていると判断し、 計画の早期実現に向けて目標を一層明確にした。 この冊子は、リニアコライダーの目指す物理と第1次開発の成果の総括報告に、 第2次開発計画の提言を付加したものであり、今後の高エネルギーコミュニティ の将来計画検討の基礎資料となるべきものである。
JLC−I
JLCグループ
KEK Report 92−16(1992年12月)
1986年に高エネルギー委員会が我が国の将来計画についてのコンセンサスとし て、TeV領域の物理に挑む電子・陽電子リニアコライダー (通称 JLC)の建設を勧告した。 これを受けて、1987年より高エネルギー物理学研究所 (KEK)を中心に加速器の開発研究が本格化した。 一方、JLCでねらう物理についても、加速器の開発と平行に進める必要があり、 標準理論と他のいくつかの新しい理論を作業仮説として、 具体的な実験のデザインが進んだ。 このレポートは、これまでの物理と加速器の研究結果を統合し、 JLC計画の概要を英文報告としてまとめたものである。
第一期JLC計画(Ecm=300〜500GeV)
JLCグループ
High Energy Quarterly 9−1(1992年6月)
主に、LEPでの精密実験から得られた情報にもとずき 、重心系エネルギー300〜500GeVでの電子・陽電子衝突実験が いかに重要で緊急な課題であるかに論点を絞り、 このエネルギー領域での物理をあらためて整理し、 第一期JLC計画が高エネルギー物理学における戦略課題であるとの 位置付けを行ったものである。。