第1回JLC構造体ミーティング(仮称)のメモ

日時:6月9日13時30分ー14時30分
参加者:山岡、松井、宮本、杉本、田内。

最初に山岡氏よりBELLE測定器のSVD(Silicon Vertex Detector)support system の紹介があった。SVDはbarrel構造体(endcapとの境界付近)に固定されてい る。筑波実験室の地盤変動の影響を調べたところ、広い周波数領域で1nm以下の 変動であった。鉄製の構造体の共振周波数は6.7Hz程度である。また、QC1(超伝 導最終収束電磁石)はTOPAZ測定器の場合と同様に構造体とは独立に支えられて いる。JLC測定器の場合、QC1が測定器内部深く設置されるなどBELLE測定器との 違いが指摘された。

QC1などの支持機構としてsupport tubeがJLC-1で提案されている。QC1の先端は 衝突点より2mでその長さは2.2mである。それに続いて長さ4mのQC2がある。この support tubeの第一の役割は、10Hz以上の地盤変動に対して衝突点の両側に設置 される2つのQC1の相対位置のズレ(垂直方向)が1nm以下に安定に保つことであ る。QC1,QC2はFe/Co/V製の電磁石で、2テスラの測定器ソレノイド磁場をシール ドする超伝導コイル(compensation magnet)の内部に置かれる。このシールド により内部磁場は100ガウス程度に押さえられなければならない。QC1,QC2の重量 はそれぞれ1.2t, 2.4t程度である。また、support tubeの中に、タングステン・ マスク(数トン)も置かれる。直径約80cmのsupport tubeの長さは約15mで、そ の両端がエンドキャップ構造体で支えられている。support tube内のQC1,QC2,タ ングステン・マスクの固定などは検討されていない。

松井氏より、測定器ソレノイドの説明があった。この超伝導コイルは直径が9mで 長さは10mである。運搬、搬入の方法を考慮して、3分割されている。また、ソレ ノイド内部に設置されるハドロンカロリメータの支持機構をこの分割のすき間に 置くことが出来る。中央飛跡検出器領域(直径4.6m x 長さ4.6m )でソレノイド 磁場の非一様度は1%以下としなければならない。リターンヨークなどの形状を最 適化しなければならない。この測定器ソレノイド磁場によるcompensation magnetへの電磁気力が数10トンにもなることが指摘された。

今後の検討課題として、

  • (1)support tubeの構造解析(地盤振動に対してどのように応答するのか、 support tubeの構造体への支持機構)
  • (2)測定器ソレノイド、リターンヨーク等構造体の解析(磁場計算、リターン ヨーク形状などの最適化、compensation magnet、 QC1の影響)
  • (3)support tube内でのタングステン・マスク、QC1、バーテックス測定器な どの支持方法。 などが挙げられた。

    構造体解析などに使用されるプログラム(ANSYS)は山岡氏のところにあり、2ユ ーザー分のライセンスがある。長時間ジョブはB計算機で行っている。これとは 別にセンターにもある。これは宮本氏が使用している。

    今後(約1年間)の大まかなスケジュールは、

  • (1)7月19日ー23日、ISG4ミーティング(KEKとSLACとのリニアコライダーR/D での国際協力)がKEKで行われる。これは加速器のR/Dであるが、衝突点近傍につ いてのワーキンググループ(WG6)もあり、QC1などの支持機構などについて議論 もある。
  • (2)11月4日ー5日、第2回ACFAーLCワークショップが韓国ソウルで行われ る。JLCでの物理と測定器全般に渡るワークショップ。ここでもぜひ検討結果を 発表したい。
  • (3)2000年3月。ACFAーJLCワーキンググループによるレポートの完成。 ここにそれまでの検討結果をまとめる。

    次回のミーティングは、6月23日(水)午後1時30分より3号館4階425号室でお こなう。

    以上。 文責、田内。