第3回ATF2ミーテイングのメモ

10月2日(月)午後2時ー3時30分、ATF第2コンテナ。

(1) New FF optics(黒田)

トラペン、1ページ、PDF,93kb。 前回とは違った2つのopticsのパラメータのβ*_x=1cm(2m)、L*=4m(1m)を設 定して、linear optics(energy spread δ=0)を作った。()内の値は前回の ものである。ここで、ビームラインの全長はアセンブリーホールに入る40m程度 とした。さらに、±0.5%の一様なenergy spreadを持つビームに対して4台(2 対)の6極マグネットの強さを調整したが、今までのところ、σ*_x/σ*_y=100 μm/1μm程度の収束しか得られていない。これら6極マグネットの高次の幾何収 差が残っているかもしれない。この高次補正についてはexplicitには行なってい ない。議論の中で、dispersion(η_x)の大きさ、したがって、その微分のη' も大きすぎるのではないかとの指摘があった。実際には、η'・σ_z ・δ~1・ 100μm・5/1000 ~ 0.5μmと十分に小さい。先ず、収束しない原因を明確にしな ければならない。生出によるconventional opticsでの長さは30m程度である。一 般にnew opticsはこれより短いためビームライン全長を長くしないでも最適化が できそうに見えるが、この制限をゆるめなければならないかもしれない。

(2) BC1 (奥木)

トラペン、6ページ、PDF, 354kb 先ず0.72x10^{10}/バンチのビーム強度の100バンチのビームトレインによって L-band空洞(Q=17000, R0=70MΩ/m)に誘起されるwake potentialを計算してみ た。その最大値は2.031MV/mであった。また、ビームトレインがL-band空洞の位 相に対して縦方向に5mm(1σ_z)ずれている場合の最大値は2.029MV/mで、上の ずれのない場合とほとんど変わらない。これらの大きさは十分クライストロンの バンド幅に入っている。また、この計算をした趣旨は、バンチ間隔が縦方向に 5mm(1σ_z)ずれたときに、トレインの先頭が作る wake field と後方の作る wake field の位相が違うので、トレインの後方のバンチが感じる wake field が減速位相からずれないかを確かめることであった。結果的には wake fieldの 位相も若干シフト した(wake field の周波数が 1428MHz から数十kHz 程度ず れた) が、wake filed compensation として加速周波数に変調をかける周波数の 変化量に影響を与える程の変化ではなかった。

次に、beam loadingによるL-band空洞での加速電圧(RF)の位相ズレの補正を検 討した。最も有効な補正はL-band周波数(1428.00Hz)を70kHzだけ下げてやれば よいことがわかった。このためには、(a)RFの入力周波数をずらすこと、そし て、(b)RFの入力をlow levelで位相変調(2π・70kHz・2.8nsec・100バンチ ~ 360 deg./10μsec)をかけることの2つの方法がある。(a)の方法にはDR入射 timingしたがって入射リニアックのすべてのクライストロンと同期させる必要が あり、また、その入射される電荷量の変動時の対応が難しいため、local に BC1 cavity のみで対応できるという(b)の方法がよいと思われる。これらの補正を実 現するためには詳細な制御のためのモニター系などが必須であるが、敢えて ATF-2としてR&Dする必要はないと考えられる。

次回までに、Coherent radiationの問題を検討する。一般に、Coherent radiationによるシンクロトロン光の波長はバンチ長(σ_z)よりかなり長い。 そのため、その影響はchicaneでのビームパイプ配置によるシンクロトロン光の 遮蔽やパイプ径からの波長cut-offなどの詳細なビームライン設計によってかな り違ったものとなる。どの程度の精度で見積もることができるかが問題となる。

(3) positron beam instability (久保)

前回での議論でもあったが、この問題はビームパイプ形状などが非常に強く関係 するため、これ以上のスケーリングによる評価は難しい。KEK-BやPEP-2での状況 などを注意深く見ていくことが必要で、国際的なワークショップなどで議論を深 めていった方がよい。ATFにmulti-bunchの陽電子ビームを入射することは現実問 題としてできないと思われる。

(4)次回の日時、場所

日時:10月12日(木曜日)、午後2時より午後5時頃まで。 場所:ATF 第2コ ンテナ