2011, 7/14のLXeTPC (TXePET) 打ち合わせのメモ原稿

日時:7月14日、木曜日、午前10時30分より
場所:開発棟実験室
出席者:高木(横浜国大)、田中、笠見、田内(KEK)

以下、メモ(敬称略)です。ここで、Q(質問)、A(答え)、C(コメント)です。

TEG-Tr 低温試験状況、高木

素子温度を-110℃に冷却することができた。放射線を照射したもの(50KGr))としないものの二つのTEG-TrのFET特性等を測定した。よいデータが得られた。この結果を7/25-29に開催されるKEKのエレクトロニクスセミナーの7/29 14:00-14:30に発表する。

これと平行してFE-ASICチップ(TPCFE09)の回路等を理解し、そのシミュレーションを行う予定である。これは、8月初旬に実装状態で入荷するTPCFE09の試験の準備と次のバージョンへの改良点・設計を行うためのものである。

Q : Tr-TEGの冷却試験の時間がどれくらいかかったのか。
A : 1つのTr-TEGの測定で6時間(2時間 x 3回)程度かかった。 また、素子の冷却温度は外気温にも敏感であった。例えば、外気温の下がる夕方以降に試験を行った。
Q : Tr-TEG素子の消費電力はいくらか。
A : 50-60mWくらいである。
C : TPCFE09の消費電力(16ch/chip, 設計値で < 10mW/ch)はそれより多いので冷却能力としてどれくらい可能か評価しておいた方がよい。

実験進捗状況、田内

電子ログ・Runlog 235で示したように、αトリガー(PMT1とPM2の2 fold coincidence)の1,000イベントのPSD(Pulse Shape Discrimination)解析でα線とγ線の分離が明確に見えている。また、Runlog 234のように、PMT1(R5900)とPMT2(R7600)では波長175nmに対する量子効率が20%と30%と違ったものとなっている。この違いによるものと思われるが、波形(例えば、Runlog 232)やPSD分布に明らかな違いがある。PMT2のほうがPSDでのα線とγ線の分離の性能が高い。このようなPSDはダークマター探索(deposit energy = 5 ~ 20KeV)でのバックグランド除去に使用されている。
C : PSDはXeなどの希ガスのシンチレーション光にdecay timeの違う2成分があることを利用している。そのsingletとtriplet成分のdecay timeはそれぞれ4.3nsecと22nsecである。 これらのdecay timeはdE/dX, i.e. linear energy transfer (LET), に依存しないが、それぞれの光量はLETに依存する(実験事実)。一般に、LETが大きければ大きいほど、電離電子のrecombinationが速く起きる。したがって、LETの小さい電子(γ線)のほうがα線に比べてrecombinationが遅くなる。このような『slowな電離電子』がsinglet statesをtripletに変換する(quench)ものと考えるとPSDの粒子依存性を説明できる。また、TPCの場合のように電場を印加すると、recombinationが減少しquenchも減少する。PSDの粒子分離性能は電場の大きさとともに悪くなると期待される。(A.Hitachi, T.Takahashi et al., Phys Rev B.27.5279,1983, S.Kubota et al.,Phys Rev B.20.3486,1979, E.Aprile and T.Doke, Rev. Mod. Phys. 82,2053,2010 ) .
C : 液体キセノン中の不純物はrecombinationを少なくするものと予想されるので、Runlog 232に示したようなPSDの振る舞いが関係するのかもしれない。
Runlog 236のように、2249W, c1115(FADC 100MHz), c1117(FADC 500MHz)からのデータをイベントごとに解析するルーチン(/home/toyo/camac/root-analysis/xe_analysis.c)を用意した。ここで、2249Wのシンチレーション光の積分量とFADC500MHzによるものとの相関、PSDによるα線/γ線分離による電荷シグナルの解析等を行うことができる。電荷シグナルによる純化状況を調べる予定である。

静電シールドは7/15に入荷するので、テストベンチでその効果を確認後にchamberに入れたい。このときに、PMT1を性能のよいR7600に交換したい。

その他

8/19日(金)〜27日(土)に開催されるサマーチャレンジの準備状況を議論した。今年は6名程度の参加がある。この場合、2チームでの活動となる。必要なエレクトロニクスなどを事務局に送ること等が話された。

次回の定例会議は、7/28(木曜日)の午後5時30分からの予定です。

以上。