重点レビュー:液体TPCプロジェクト, 9/15, 13:30-

KEK測定器開発室、9月16日

資料は http://kds.kek.jp/conferenceDisplay.py?confId=3833 を参照のこと。

1)キセノングループ(田内)

ガスの純化が進むにつれ、電離信号の観測も可能となった。前置JFETを液中においた条件では良好なシグナルと観察(2パッド分)。電場を加えてシンチ光やチャージ信号の依存性なども確認が始まった。(TPC+光の研究が始められるところ まで到達した。)それにより純度の評価も進みつつある。純化の速度はきわめて 緩やか(週のオーダー)でそれが研究の律速となっている面もある。冷却前の真空試験によるビルドアップ評価では、放出ガス量が依然多い。PMTのために十分高い温度でのベーキングは不可能ではあるものの、改善の方法を考えたい。純化の速度はガス精製のための方法と循環速度にも依存する。液を強制気化しながら循環する方法がより効率が高いようであるが、循環速度は再液化のための冷凍機能力できまる。現在その能力をコンプレッサーグレードアップで2倍まで高める方策が進行中。

 昨年度のASIC実習プログラムによる試作は低ノイズという点では満足できたが、バイアス電流の安定化回路が入ってないため低温で使えなかった。今後0.25uプロセスでの試作プログラムの中で多チャンネル版に挑戦する。

=コメント=

 当面の課題として、16ch程度のパッドを有する5センチ ドリフトのチェンバーで様々な基礎データ・ノウハウの積み重ねを最優先とすべき。 その過程で、アウトガス・ベーキング・純化速度・純度測定の問題、フィードスルーとクロストークの問題、などにも取り組める。outgasのスタディは本物の容器でなくても可能なはずで,Qmassなども活用したシステマティックな評価作業を期待する。

2)アルゴングループ(丸山)

 新たに早稲田大のグループが実質的に加わった。10Lのセットはこちらでのテストへ。KEKは100Lの立ち上げに集中する。10Lでのテストでは、2相+TGEMの道具立てで信号を確認するところまで漕ぎ着けた。電場の与え方など最適化する余地は多い。エレクトロニクスとしてはまだ、オシロスコープが基本となっており将来へのステップとして残されている。純度モニターのための電子源(キセノンランプによる銅の光電子発生)が準備され、試験装置として活用され始めた。電子の絶対量の校正にはいくつかのモニターポイントが必要である。

 MEGから借り受けた250Lの大型クライオスタットの立ち上げが、現在の大きな課題である。ここで使われるチェンバー・読み出しシステムの方針は策定中(ETHZから借り受けるオプションがある)。東北大あるいは J-PARCでビームテスト(6-12ヶ月計画)

==コメント==

 10Lの研究はいいところまできており、きちんとした論文ネタとしてまとめて欲しい。そのためには、オシロスコープを卒業することも必要。GEMの周辺の電場のコンフィグレーションは重要であり、最適化しないと2相式の基本研究、ゲイン、気相への引き抜き効率などの定量評価ができない。MPGDグループでは、Maxwel3D/Magboltzのシミュレーション環境が共同利用として整備されつつある。これを活用して研究を深 めたい。KEKDTP全体としても研究効率があがることにつながる。 250Lの準備は平行して着実に進める。年内液だめを目標として、必要資材のリストアップ見直しを早急に。