JLC-CALミーティングメモ

  11月21日(金) 13:30-1700 @ 筑波大 D411室


[I]活動報告及び今年度の予定

1)小サイズ角タイルEM(新潟大)
 a) まず宮田氏より全体の進捗状況について説明があり、若干の質疑応答をした。
 ・シンチレータ;応用光研から在庫のNE102Aを購入した。EMモジュール全部を賄うほどの在庫は無い。
         クラレは1mm厚は作らないと言っているが、交渉継続中。
         バイクロンは買収されてサンゴバンCDになったが、買収後価格が上がって1枚13万円、
         納期2ヶ月と言っている。(95年にZEUS型モジュールを作った時は1枚1.7万円だった。)
         買収のどさくさが落ち着いたのちには価格が下がる事を期待する。
 ・WLSファイバー;クラレからテスト用若干量を数種類譲り受けた。テストしたいが貰えなかったものもある
          が、購入単位がでかいので、計算等で有望と推定され最終候補に残らないと購入できない。
 ・シンチ加工;4cm x 4cm x 1mmt のタイルの加工を新発田市の加工業者にはっちゅうした。色々なデザイン
        取り混ぜて15枚発注した。(サンプル加工品が回覧された。)思ったより頑丈で、加工精度も
        良く、納品も早い。EMモジュール用も全数ここに発注する。価格は初期投資は志村と同程度と
        思う。1枚1枚の加工賃あってないようなものだが、志村と同程度(1枚1000円)では総額が
        高くなりすぎるか?
 ・ベンチテスト;タイルが出来てきたらまずβ線でテストする。ベンチは存在する。必要なホワイトペイント、
         PMT等も発注した。

 b)Allister氏よりEMモジュールのGeant4シミュレーションの状況とタイルデザイン等について報告があった。
 ・G4シミュレーション;5 x 5 x 30層のデザインで、鉛厚は4mm、タイルは4cm x 4cm x 1mm厚。
            シャワーの縦プロファイルをチェック中。プロットがエネルギーでなくシャワー粒子
            数だったので、細部を把握しにくかった。
            鈴木論文のVar値を用いてe/pi/mu識別を試みた。それなりのスコアが得られている。
 ・光量計算;シンチレータ、WLS色素、PMTの組み合わせについての光電子数計算をした。組み合わせは
       シンチ=SCSN61, SCSN81, BC400, BC404, BC408, BC412, BC416, NE102A
       WLS=Y-7, Y-8, Y-11, R-3
       PMT=H6568, H7422-40
       以上の組み合わせについて発光・吸収・感度スペクトルを波長積分して光電子数を求めた。
       その結果は、H7422-40に対してはBC412+Y8の組み合わせが、またH6568に対してはBC412+Y11の
       組み合わせが最大光電子数を与える。また後者は前者の27%しかない。
       これらの結果について、以前筑波大で測定した時にはBC408+Y11はSCSN81+Y11の2倍の光量が
       あったのに今回の計算では殆ど同じである、との指摘があった。プログラム・測定値とも再確認する。
 ・タイル加工;WLSファイバーは0.5mmφ、0.7mmφ、0.5mm角の3種をテストする。タイル溝はそれらに
        あわせてそれぞれ作る。角ファイバーは角溝に接着止めする。ファイバーの曲げ半径は15mm
        のみ試作する。回覧したサンプルのファイバー出口溝長は3mmだが、短すぎるので6mmで発注
        した。タイルをファイバー取り回し板の取り付けるピン穴は、タイル・板ともねじではなくバカ
        穴とし、きつめのピンを押し込んで止めることにした。
        12月からベンチテストを開始する。
        ファイバーの抜き差しによるダメージについて質問があったが、筑波大の経験では端面を鏡面
        加工した0.8mmφファイバーを20回抜き差しテストして影響はなかった。

 c) 小野氏よりベンチテストの準備状況について説明があった。
 ・暗箱を作り、β線源を用いて1個のタイルからの信号を読み出すセットアップを製作中。X-Yステージを
  用い、1mmステップで測定する。90Srのコリメータ径は1mm。PMTはH6568(16ch-MAPMT)で、シングル
  フォトンは見えない。まずNE-102AとY-7, Y-8, Y-11をテストする。ファイバーは全てシングルクラッド。
  12月には始める。
 ・1mmステップでは特にファイバー近傍で粗すぎるとの意見があった。
 ・コリメータ径が1mmではβ線が広がりすぎるのではないかとの意見があったが、コリメータとシンチを
  極力密着させることで回避したいという事であった。 
 ・カウンティングレートについては、90microCiという強力なソースなので問題ない。      


2)シンチストリップ型EM
 a)関口氏(筑波)よりシンチの応答シミュレーションについて報告があった。(配布TPコピー参照)
 ・シミュレーションの結果とβ線を用いたベンチテストの結果の比較が示された。また白PETや端面に塗る
  ホワイトペイントの反射率の影響についての結果が示された。
 ・シンチ面での全反射の扱いについて、正しく全反射角を取り込むべき事が指摘された。

 b)近藤氏(筑波)よりシンチの応答一様性の宇宙線測定について報告があった。(配布TPコピー参照)
 ・ストリップと単一光電子測定シンチをH1161GSで読み出す。9本のストリップを同時に測定できる。
 ・4セットのドリフトチェンバーで宇宙線のトラッキングを行なう。
 ・チェンバーTDCの読み出しには成功したが、ADCはまだである。

 c)斉藤氏(信州)よりストリップEMのGeant3シミュレーションの結果について報告があった。
 ・10mmw x 5mmt x 20cmL のアレイを構築して、pi0/γのレスポンスの違いを調べている。
 ・γについてはリーズナブルな結果が得られているが、pi0のエネルギースペクトルがピークにならず
  変である。 
  ==> pi0が正しく崩壊しておらず、ハドロニックに相互作用している可能性は無いか?GEANTのフラグを
    チェックする。


3)Si-直付けシンチストリップ型SHmax 
 竹下氏より今後の計画について報告があった。
 ・Advanced Photonix製のAPDについて、これから測定を行なう。ゲインは約200。
 ・浜松の高ゲイン型APDについては、連絡をくれると言ったまま音沙汰がない。
 ・数年前に梶野氏が浜松から高ゲイン型APD(ゲイン>100)を買ってテストした事があるが、
  詳細は今憶えていない。 

4)光検出器
  特に無し。

5)鉛構造体
 SUSサンドイッチ鉛を今年度試作するかも。鉛合金自体は今年度は新規製作しない。製作して未測定の
 合金があと2種類あるので、早急に測定したい。

6)シミュレーション/GEANT4
 a) 斉藤氏(信州大)から、GEANT3と4の比較について報告があった。
 ・モジュールの構成は 1m x 1m x (8mm-Pb+2mm-Sci)x100層
 ・1GeV - 100GeVのeとpiを打ち込んで、レスポンスを調べた。G3のcutは10keV、G4はデフォルト値。
 ・G3, G4ともeに対するエネルギー分解能は21%/rootEであった。
 ・G3において、電子に対しても測定エネルギーは入射エネルギーより小さい。要チェック。

 b) 山田氏(筑波大)より、EMシャワーの発生点分布についてのG3シミュレーションの結果が報告された。
     (配布TPコピー参照)
 ・シャワープロファイルのGenericなスタディとして、シャワー開始点の分布を調べた。
 ・モジュール構成は(4mmPb+2mmSci)x210層(T411)
 ・奥行き方向のシャワープロファイルの立ち上がりを直線フィットして開始点を求めると、マイナスになる
  事がある。(測定器以前にシャワーが始まるという不合理な結果)==>直線フィットが悪い。
 ・各層のパルスハイトを追いかけて、1MIP相当から3MIP相当になる点を求め、これを開始点としてみた。
  ==>分布の幅が広すぎる。
 ・さらに調べていく。

 c)神谷氏(新潟大)より、T411のGeant4シミュレーション結果について報告があった。
 ・構成は(8mmPb+2mmSci)x210層
 ・4GeV e, piを5000イベント入射させて、シャワープロファイルをG4とデータで比較したところ、シャワー
  マックスの位置に明らかな違いが出た。


[II]ビームテスト
 時間が押してきたので、M論よりビームテスト関係を先に議論した。また測定項目やセットアップ等はメールで
 議論することとし、DAQ構築に絞って議論した。
 ・2003年秋の本テストと同じシステムを2002年秋(11月を想定)の先行テストで用いる。
 ・Linux-PC + VME + FastBus/CAMACで構築する。Linux-PCはVME-board PCとせずに、通常のPCとする。
 ・ADC(本実験では400ch位)は、FastBus ADCを用い、VME-FastBus Interfaceで読み出す。
 ・以下の項目について調査することとした。
  a) Linux-PC <-> VME Interface : KamLandで用いているSBS620(Bit3)とKiNOKOシステム。
  b) VME <-> FastBus Interface : pi0nunuで用いているSIS4100
  c) μ->eγで使用しているシステム
  d) チベット実験で使用しているシステム
  特にμ->eγはOPALで用いていたFastBus資産を引き継いでおり、我々もそのADCを入手出来る可能性が
  あることから極めて有望である。
 ・DAQ担当学生を至急割り当てる。2002/2003年とも同一人物が責任者を務められることが望ましい。
  従って大学院に進む現4年生がベストである。各大学でマンパワーを検討の上、次回のミーティング
  までに決定する。

*)その後c、dについては以下の様な連絡がjlccal宛にあった。
c)川越氏より;
東大ICEPP三原氏(MEG実験)から得た情報です。MEGのテスト実験で今使っているのは
FASTBUS interface : SIS4100(http://www.struck.de/sis4100.htm)これは昨日のmeetingにでてきたやつです。
VME-PC interface : Bit3 617(http://www.sbs.com/computer/products/cp_adapters.shtml)
彼らはPSIで購入したものを輸入して使っていて、そういう買い方をすると前者が70万円、後者が39万円です。
彼らはWindowsNTでDAQをしていが、LINUXでも問題ない。Linuxで動く「FASTBUSマスター用」のプログラムも
彼らは持っている。DAQのフレームワークにMidasというのがあって、なかなか良いらしい。(http://midas.psi.ch)
d)梶野氏より;
チベットグループで使用しているデータ収集システムですが、
FASTBUS-VME 変換には、BASTIAN STR340 を用い
SBS Model617 -> PCI bus
となっています。680Hzで日夜データを取り続けています。詳細は、
http://www.copernicus.org/icrc/papers/ici7268_p.pdfをご覧下さい。


[III]M論者特別報告

1)石澤氏(配布TPコピー参照)
 ・Wの質量再構成の精度を向上させるため、中性粒子クラスター識別のアルゴリズムをスタディしている。
 ・Wの質量は、カロリメータのみで再構成するとmass=80.26GeV,sigma=8.11GeVとなり、本スタディの
  アルゴリズムを用いるとmass=83.67GeV, sigma=7.75GeVとなる。幅は未だ広く、また質量がシフトするのが
  問題である。
 ・クラスタサイズを3x3より大きくすると取りこぼしは減らないか?=>依然やったが減らなかった。
 ・pi0(K0でなく)がCAL後方でシャワーを発生させることがある。=>JIM入力GeneratorListでチェックをする。

2)中田氏(配布TPコピー参照)
 ・リアリスティックな揺らぎを発生させるハドロンシャワージェネレータを構築する。
 ・ハドロンシャワーをEM成分と純ハドロン成分に分離し、別々に作って合成する。
 ・分離されたEM成分の振る舞いは大筋妥当だが、シャワー発生位置についてはもう少し検討する。
  立ち上がり・立ち下がりパラメータ間の相関はとりきれなかったが、独立乱数で生成させた。
 ・純ハドロン成分の層間相関はかなり再現できた。
 ・各層のパルスハイト分布、縦シャワープロファイルともリーズナブルに再現している。エネルギー分解能は
  幅はあっているが高エネルギー側に余分なテールを作ってしまう。
 ・GEANTに組み込んでパフォーマンスを見てみるべき段階に来たのではないか?

[IV]その他
ベンチテストの進行状況を見て今年度予算の執行を行なうためと、至急DAQ学生を決定するため、
次回のミーティングは12月中に行なうこととした。

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ミーティングの時間切れで以下の項目については議論しなかったが、参考までに藤井が事前に準備したメモを
添付する。メールで議論していく。

1)ビームテストについての藤井私案

  a) 2002年秋の先行部分テスト
   測定器構成案
    神戸PreSH + 神戸SHmax + 信州SHmax 
       + (新潟EM+筑波EM)+95年式EM+93年式PreSH + Trig+Cham+Cere
    EMは前後を入れ替えても密着して設置できるデザインにする。

    神戸PreSH改;SHmax測定用(4ch)
    神戸SHmax改;位置分解能測定・信州SHmaxの比較標準(40ch)
    信州SHmax試作版;シグナル確認(20ch?)
    筑波EM;動作確認のため1スーパーレイヤー(1読み出しユニット=40ch)
    新潟EM;動作確認のため1スーパーレイヤー(1読み出しユニット=
                            25ch or  10ch ...下注)
    95年式EM;厚さ補充(2ch)
    93年式PreSH;ベトー(2ch)

   測定項目
    ・信州直付けAPD(?)のシャワーに対する光量・S/N
    ・新潟EM/筑波EMの光量、ユニフォーミティ、クロストーク
    ・神戸SHmax改の位置分解能測定

  b) 2003年秋の全体テスト
   測定器構成案
    (新潟EM'02 or 筑波EM'02)+ 信州SHmax  +神戸SHmax
     +(新潟EM+筑波EM+(新潟EM'02/筑波EM'02))+95年式EM+ Trig+Cham+Cere

    新潟EM'02 or 筑波EM'02;先行ビームテスト用の1ユニットをPreSHとして使う。
    信州SHmax;性能測定(40ch?)
    神戸SHmax;信州SHmaxの比較標準(40ch)
    新潟EM;10-15Xo位(100ch? ;予算による。読み出しを    )
    筑波EM;10-15Xo位(200ch? :まとめる層数も光量と予算次第。)
 
  測定項目
    ・信州SHmax特性・性能測定
    ・新潟EM/筑波EMの分解能・リニアリティ・ユニフォーミティ・クロストーク

注)基本デザインでは4cmx4cmの角タイルが5x5のマトリックスの並ぶ。これを全て独立に読み出すとチャンネル
数が多くなりすぎるので、中心の 3x3は独立に読み出し周りはまとめて読み出す、という方式を提案したい。

2)予算執行の現状及び今後の計画案

  配分金額 通常予算700万円 + 共同開発150万円

現時点での執行済み金額  270万円 新潟タイルテスト用品
                   筑波宇宙線テストスタンド
                   鉛合金 その他
   支出予定確定金額  100万円 新潟タイルテスト用品
   今後の発注可能性   50万円 鉛複合材


ビームテストへ向けて先行支出の可能性があるもの。この中から400万円位執行可能。
  ・神戸PreSH/SHmax改造  100万円位(MA-PMT、新構造体等)
  ・信州SHmax APD/PreAmp 200万円位(動作は現時点では不明。来年度が無難か?)
  ・新潟EM 1ユニット分  100万円位??(1ユニットの層数にもよるが)
  ・筑波EM 1ユニット分  100万円位??(1ユニットの層数にもよるが)
  ・LinuxPC-VME Interface   40万円位 
  ・VME-FastBus  Interface  110万円位(採用可能性は現時点では不明。来年度が無難か?)
  ・ADC またはその輸送費 ‥‥ 今年度中に具体案が決まれば。
予算については残高の執行予定の問い合わせがきています。上記リストについて、及びリストに載っていない
が購入したいものについて、大至急ご意見をお寄せ下さい。