第14回リニアコライダー計画推進委員会議事要録(案、8/19作成

日時:平成23年7月12日(火曜日) 10:00 〜12:00
場所:3号館1階会議室
出席者:生出、山口、山内、春山、岡田、藤井(恵)、田内、横谷、赤井、浦川、早野、駒宮、相原、川越、栗木、岩下、山下、高崎、神谷、山本(明)、平山、榎本、山本(均)各委員、鈴木機構長、照沼准教授
欠席者:西川、小林(幸)、下村、吉尾 各委員
オブザーバー : 14 名
事務局 : 竹島国際企画課長、河西国際企画第一係長、横山国際協力室室員、海老澤

議題

  1. 機構長挨拶:鈴木機構長
  2. ATF将来計画:加速器研究施設・照沼准教授
  3. STF将来計画:早野委員
  4. ERLとの協力 : 山口委員
  5. Pre-ILC, Sitingほか : 山下委員
  6. 意見交換

配付資料

  1. 第12回リニアコライダー計画推進委員会議事要録 : pdf
  2. リニアコライダー計画推進委員会委員名簿 : pdf
  3. ATF将来計画 照沼 : ppt
  4. STF将来計画 早野 : pptx
  5. ERLとの協力 山口:pptx
  6. Pre-ILC, Sitingほか 山下:pdf、岩手復興特区・TOHOKU国際科学技術研究特区 (pdf )

議事に先立って

山口委員長から、以下の報告があった。
川越委員の所属が神戸大学から九州大学となった。前回議事要録はすでに委員の方々により承認済で配布資料に収められている。

1. 機構長挨拶

鈴木機構長(ICFA議長)より、最近のILCSC・FALCでの議論の様子の紹介を交えてのあいさいつがあった。

7年前の超伝導加速器の選択によるILC計画が始まった。2007年にReference Design Report (RDR)の完成、それに続く技術的な進展が国際的に行われ、来年Technical Design Reportの完成が予定されている。また、ILCSCやFALCでは2012年以降どうするのかを議論している。ILCの将来がまだ不明確である中、世界からはイニシアチブの必要性が求められている。

ILCSCではサイト選択の方法を議論するワーキンググループができ、そのマニュアルとしてCPDG ( Comprehensive Project Design Guidance )案が作成された。世界の研究者からのコメントを受け、その更新が行われている。2010年8月にパリで開催されたILCSCではその内容の大筋を合意した。2011年2月、北京でのILCSCでは、サイト選択のための必要条件を検討するワーキンググループが提案され、Site Criteria ワーキンググループが結成された。CPDGで想定されているPre-ILC研究所の設置構想委員会の結成が提案されたが、FNAL所長がその多国籍研究所の枠組みに反対した。議論の末、それに加わる機関を研究所以外に国や地域単位などに広げることが合意された。2011年8月、ムンバイでのILCSCで、そのようなコンソーシアムとしてPre-ILC研究所の設置構想委員会を立ち上げたい。

本委員会では、ATF、STFの将来計画の議論とともに、2012年以降にILCをどうするかも議論してほしい。

2. ATF将来計画

照沼信浩さんから、以下の報告があった。
ATFでは、GDEよりの要請があり、ILCのためのR&Dでダンピングリング(DR)や最終収束システム(ATF2)などで国際的な役割を分担している。そのため、MOU(覚書)によるATF国際協力を推進している。GDEの機能は2012年末で終了するが、ATF2で行われるナノメータレベルの安定性実現のためのR&Dは2014年3月末まで必要とする。

2011年3月1日の東日本大震災後の復旧で、6月に電子ビームの運転を再開しビームダンプまでビームを到達させた。ATFの性能復帰のために、DRの精密アライメントを夏期に行う。これら復旧作業のため、R&Dが半年から1年ほど遅れる。したがって、ATF/ATF2のビーム運転を2013年度末まで延長しなければならない。

ATF長期計画についてこれまでの委員会やATF2プロジェクト会議等で議論してきた。先ず。それらを現状の紹介も含めて簡潔に報告する。

DRでの垂直エミッタンス、すなわち、ILCと同じ2pmの達成のために、DRのすべてのBPM(ビーム位置モニター)のエレクトロニクスの更新を行った。今後、ビーム調整を行い、1年くらいでの実現を目指す。多バンチビームをDRより取り出すためのファーストキッカーのR&Dはその実証を行い終了した。ATF2での第一目標の37nmのビームサイズ実現では、300nmまでのビーム調整を行った。第2目標のIP(ビーム焦点)でのビーム垂直位置の2nmでの安定化は、ビーム軌道のフィードバックシステムFONTの上流でのビーム試験、ナノメーター位置モニターIPBPM用のエレクトロニクスの開発が進行中である。FONTでは、3バンチビームの最初のバンチの位置情報を続くバンチにフィードバックしビーム軌道の補正を行っている。この結果をIPまで外挿すると、2.6nmの安定性となる。

最終収束用4極電磁石ダブレットの一台を超伝導電磁石(SC-Q)に置き換えるR&Dが提案され、これまで本委員会等でもそれに必要な予算とマンパワーとともにその意義が議論されてきた。最近のBNLでの検討で磁場中心の位置の直接測定の可能なことがわかったこと、同じような構造のものがSuperKEKBでも使用され、それとのシナジーが期待されることなど、ATF2ビームの使用が必ずしも必須でなくなるため、取り下げる方向で調整を行う。

KEK第2期ロードマップ(2014-2018年度)へ向けて、ATF将来計画を提案したい。 今後、外部資金の積極的な獲得を視野に入れ、ILCに特化したものから幅広い運営への移行を計る。海外の主要研究所・メンバーへの状況説明と意見交換を行い、ATF国際協力の会議、Technical Board (TB)やInternational Collaboration Board (ICB)会議などでも議論を行っている。

将来計画の基本方針は、ATF/ATF2の特徴である低エミッタンスビーム・極小ビームを利用する研究、多国間協力をさらに推進することである。運転時間等の目安は、ILC関連のR&Dに50%、それ以外のものに50%とする。

主な研究の柱は、

  1. ナノメートルレベルのビーム軌道制御 、- 2016年 : ILC
  2. 20nmの垂直ビームサイズの達成( 37nm in 2013年) : CLIC
  3. 光子光子コライダー(PLC)のためのレーザーシステムの R&D
    現在行われている偏極陽電子源のためのCompton cavity R&Dを発展させていく
  4. 新規の200TWレーザーと電子ビームとの衝突による高強度場の物理研究
  5. 一般 R&Ds : 特に、SuperKEKB, 高エネルギー実験用の測定器開発との連携
    Coherent Synchrotron Radiation (CSR)研究 , RF電子銃, ビーム診断用モニター, 測定器開発用のテストビームなど
主要な必要経費はビーム運転で総額2.1億円(=1.5億円:維持費 + 0.6億円:電気代)である。各R&Dは原則としてそれぞれのin-kind contributionで行う。また、3と4は競争的資金の獲得、それぞれ、1億円/5年、8億円/5年を前提とする。

組織モデルとして多国間の国際協力による技術開発のセンターを目指す。

まとめ: ILCに限定せず幅広い開発研究を進める。多国間の共同開発研究の場という特色を出す。外部資金の獲得による新規計画を推進する。今月中に提案文書を機構長に提出する。今後の検討課題は、幅広い開発研究を受け入れるための組織構成、運営上のリソースなどである。

Q 山本明: R&Dの比率が50% (ILC) + 50% (non-ILC)と提案されている。年次計画にもよるが、その比率は最終目標か。
A : 将来計画としてnon-ILC R&Dをencourageするもので、2013年度以降のものである。
Q : 山本明:SC-Q R&D の取り下げについて;ILC-TDRのためILC QD0のR&Dを優先させること、 磁場中心の直接測定の可能なことなどからその事情は理解できるが、Super KEKBでのシナジーのことをTBで議論してまとめてほしい。
A : 次のTB(7/15開催)で議論する。
C 山本明 : そのことは、低温センターでの説明に必要である。(低温センターではこれまでSC-Qの冷凍システムについて検討してきた。)
C 機構長:STF ATFの共同でセンター化するのはよく、そのgovernance(組織形態)は pre-ILC labに準拠するのがよいが、それを pre-ILC labと言わないでほしい。日本人がKEKをPre-ILC labをホストすることを言うのではなく、外国からの提案が必要である。
Q 駒宮: non-ILC R&Dのマンパワーはどうするのか。
A : ビーム運転は現状のstaff, non-ILC R&Dは実験者による in kindで運営する。
Q 山内:高強度場物理研究を提案しているが、これは新たな共同利用実験なのか。
A :(共同利用ではなく)科研費研究でその提案者中心で行う。200TWレーザーシステムを前期の3年で準備し後半の2年で実験を行う。
Q : 新規プロジェクトは公募するのか?
A : 公募ではない。MOUによるATF国際協力の拡大によりR&Dと物理研究を進める。
Q 駒宮: ILCでのconventionalな陽電子源 のR&Dはどうするのか。
A : ATFと直接関係ない。
C 山本 均:LHCでのHiggs発見があるなどいろいろの状況に対応できるflexibilityが必要である。
C 横谷:高強度場物理研究を決めた訳ではない。TB又は新しい委員会を作って議論する。
C 山本明:これまで、STFと ATFは ILCのためのR&Dとしてやってきた。 ATF予算ではビーム運転がかなり大きい。もしILCが50%なら、運転経費の多くを別に確保する必要ある。
C 横谷:そのことはKEK執行部が認識する必要ある。
C 高崎:GDEからの要請とあるが、どこかでreviewされているのか。
A 横谷:ILC-PACが2回/年開催され、そこでreviewされている。
C 高崎:R&D状況はconsistentか?
A 横谷:そうだ。

3. STF将来計画

早野委員から、以下の報告があった。
今後STFがなすべきこととして、コストオーバーランのない信頼できるコストで建設提言できる事、SCRF建設を指揮分担できるハブ研究所としての要件を満たすことが重要である。主リニアックの予算(RDR)はILC総額の41%で、その内の54%が超伝導加速空洞で13%がクライオモジュールである。したがって、空洞が重要である。

SCRFのハブ研究所としての要件は、担当メーカーを指導でき、性能保証、人材育成ができることである。そのためには、空洞製造設備を持ちコスト削減・工業化の実践、そして、表面処理、縦測定、クライオモジュール組立、運転の継続実践による空洞性能保証能力の開発に重点を置く。

ILC全体で、約18,000台の空洞の生産が必要となる。そのために、部品製造、表面処理、試験などのコスト評価を行う。機械からプレス加工、電子ビーム溶接(EBW)の多重化,自動化を行い、検査などの並列、自動化を行う。例えば、"Multi-action Press for cell forming"のようなアイデアとその実践を行う。EBWの多重化では、自動化により一回の真空引き作業で6台の空洞を製作する。ここで、空洞、エンドグループの部品製造で、HOMカップ等各種パイプはプレスで作成、アンテナなどはwater jetで切り出しを行う。このように、行程の簡略化でコストダウンを計る。

開発共用棟エリアを想定した空洞製造プラントの必要規模の検討を三菱重工(MHI)と共同で行っている。床面積は 53mx 30mで、 EBW 2台、press 1台、trimming, CP, 研磨、bulk EPの設備を備え、加工済のパーツ入荷を前提に、30人 x 2シフトで、530台/年の製造が可能である。したがって、2650台/5年(全数の1/7)の製造能力がある。

また、先端加速器棟エリア(120m x 50m)を想定したクライオモジュール組立プラントの検討を日立と共同で行っている。37人 x 2シフトで、最大〜96台/年の組立能力があり、5年で〜480台(ILC全数の1/4)の組み立てを行うことができる。

今後の空洞・クライオモジュール計画:空洞性能を維持するため製作(表面処理、縦測定など)を続ける必要があり、また、クライオモジュール性能の開発、向上、維持のためには実際のILCサイズのクライオモジュールを組立、運転をし続ける必要がある。そのため、2012年以降、8台/年( 空洞製造設備とメーカー調達でそれぞれ 4台/年)で空洞を製作し、少なくとも、年1回程度のCM-1の分解・組立・運転のサイクルを続ける。

STFの最新の実績として、MHI製空洞6台の内、3台がILC以上の性能を示した。S1-globalでは、平均26MV/m(27 to 30MV/m)の加速勾配で7台の空洞を運転した。 2011年夏〜2012年12月末の空洞の1 -3号機テスト中に工業化の準備を行う。 2013年度から工業化設備が稼働する。

現在、STF phase 2の入射部建設(量子ビーム)中で、2012年からビーム運転(40MeV, 62pC x 162500bunch(6.15ns間隔) x 5Hz)を開始する。STF phase 2の加速器計画では、2013年にcapture moduleの下流でILCクライオモジュール(CM1, CM2)のビーム運転を行う。

Q 神谷:4 + 4(メーカー調達)台/年で空洞を製作して行くというが、それらをどうするのか。
A 山本明:それは違う。元々、3CMでbeam testの予定であった。しかしながら、予算がないから、クライオモジュール1台を使用して空洞を入れ替えて試験、実証することとなった。
Q 神谷 : 入れ替えた後の空洞はどうするのか? 捨てる? 棚に入れておくことか?
A 山口 : 将来、加速器として使用することを考えている。
C 山口:CM2の製造は未定である。
Q 栗木:2013年度には空洞の90% yieldと工業化がGDE目標である。そのことで、criticalなものは明確か?
A : 性能は分かってきた。工業化の設備の完成が2013年度になる。
Q : 工業化の設備とは、日立、MHIの検討のものか。
A : それは検討しているもの。
C 山本明:これまで、MHI一社で製造してきた。最近、数社で競争で行う体制を立ち上げた。8台/年 x 3年の製造による工業化を行うことで、空洞を捨てたことになるのか。 工業化での価格の目標は(MHIの)1/10である。これは節約(cost reduction)するもの。
C 山下:工業化、大量生産のR&Dはこれまでとは違う、工学的なものである。産総研、東大・生産研とかの知恵を借りて、reviewすべきである。効率良くどうやっていくかが重要である。
C 駒宮:初めてまとまなことをやっている。神谷理事のおっしゃっていることはけしからん。
C 神谷:pilot plantと企業(メーカー調達)で製作するものとの違いは何か?
A 山本:これ(pilot plant)は、cost reductionのためにやっているものである。
A : メーカー調達は継続して行う。 
C 高崎:外国は進んでいるか。どういう状況か?
A : 米国は工業化に力をいれている。 EUは、RI, Zanonの2社が600台/2年でXEFL用に製造している。
Q : (この工業化計画は)見劣りしない提案か?
A : 2年後に追いつき、追い越せるものである。

4. ERLとの協力

山口委員長から、以下の報告があった。
半年くらいの検討結果を述べる。LC+ERL合同加速器として、ILC R&D用の10GeV LINAC、5GeVと2x5GeVのERLの3モデルを検討した。ここで、使用する超伝導加速空洞の勾配は、ILC用が30MV/m、ERL用が15MV/mとし、ILC用はパルス運転、ERL用は連続運転(CW)を仮定した。3つのモデルとも、空洞はTESLA like のものでその総数はそれぞれ333台である。

2010年12月24日から2011年6月2日の間に7回の検討会を開いた。この中で、空洞、高周波源、冷凍機システム、beam-breakup instability (BBU)などの検討を行った。また、TESAL-like空洞をcERLで使用する場合の考察も行った。

その結果、TESLA like ILC空洞のBBUの閾電流値が約60mAであることがわかり、少なくとも100mAのERLに使用することが難しいことがわかった。

cERLにTesla like空洞4台を入れて性能試験を行うこと、長時間運転の実績を得ることが提案された。

ERL計画として、「ILCのR&D」を目的の一つにしてはいけないこと、総額300億円以下での設計の必要性、CWとpulseとの兼用はコスト高になるとのコンセンサスが得られた。また、共通する技術のR&Dを進めることが合意された。

Q 横谷:共通の電源が難しい、大丈夫か?
A : 不可能ではないが、マンパワーがいる。
C 機構長:ERL 300億円の予算ということだが、このままではKEKがつぶれてしまう。午後からPF シンポジウムが開催されるので、以下のようなことを提案したい。大型研究所と国大協との確執があり、KEKのERL計画に対して大学側に大きな抵抗がある。KEKと大学は一体であることを主張して、KEK内に大学の施設を作る必要がある。そうしないと資金が得られない。そのように、KEKの運営を変える必要がある。
Q 栗木:空洞製造技術で、どれくらい違うのか。
A 早野 : centralは共通、end groupがちがう。
C 栗木:同じ製造施設を利用した方がよいのではないか。

5.Pre-ILC, Sitingほか

山下委員から、以下の報告があった。
2012年以降のILCプロジェクトの進め方について、ILCSC/ICFAの下に、A.Suzuki(KEK), P.Oddone(FNAL), J.Minch(DESY), A.Wagnerによる作業チームがComprehensive Project Design Guidance (CPGD)の文書をまとめている。このCPGDの原案は、大森(KEK)、高橋徹(広大)、佐貫(東北)、佐伯(KEK)、峠(KEK)、藤井(KEK)、藤本(KEK)、川越(九大)、山下(東大)らにより作成された。これは2010年末にILCSCにより公開され、現在、世界からの多くのコメントを反映させるべく第2版の公開を準備中である。国内では、2009年6月の学術会議シンポジウム、学術創成(ILC測定器R&D)会議等で、国内外のILC進捗状況を話してきた。LHCで、今夏、『Higgs発見』のニュースがあるかもしれなく、2012年末には(Light) Higgsの存否確認が行われるであろう。また、ILC測定器R&Dでは、学術創成終了後に、今年度から5年計画の特別推進研究として採択された。

CPGDでは、高エネルギー加速器研究に関して国際的な一極集中に対して、Multinational lab(多国籍研究機関)、つまり、世界の研究所が予算と人を出し合って組織されるPre-ILC labが提案されている。したがって、Pre-ILC labは、各国,各地域の高エネルギー研究所の活動と相補的な国際研究機関となる。Pre ILC labはTDR後(GDE以降)、ILCSC, GDE, RDを一本化した、建設運営主体の確立前の移行期間中の国際体制であり、サイト選択のphase-1の遂行と技術設計書(Engineering Design Report, EDR)の作成が主な役割となる。サイト選択phase-1とは、サイトとしての適合条件、世界の候補地の適合性の技術評価と足切り、各国政府の関与無く行われるものである。また、Pre-ILC labはILCプロジェクトを各国政府や地域が取り上げるように働きかけを行う。

多国籍研究機関の基本的な考え方は;

サイト選定までのプロセスとして、上記のphase 1と政府代表者レベルの折衝を経た最終決定の二段階方式が提案されている。

ILCSCでは、Pre-ILC Lab. の中身の議論を始める前に、まず各地域でどのような制約/希望があるのかを調査する委員会を作ることが決まった。

国際的には、LHCの初期結果が近づく中、国内(将来計画小委員会)・欧州(CERN等)・米国(HEPAP等)で検討進んでいる。国内では、2008年から先端加速器科学技術推進協議会(AAA)で検討、学振、異分野との協力、2つの候補地検討が進んでいる。

2007〜 2009年に、二つの地域で自治体・大学を主体とした研究会が結成され、先端加速器協議会(技術部会(山本部会長), 施設WG(吉岡主宰))での企業の協力により産学での日本産学トンネル版の概念設計の提示が行われた(2009年秋〜2010年5月)。その後、地元大学・自治体等による新しい調査体制が開始され、2010年後半から土木学会でも新しく検討が開始された。また、宮原・榎本・民間専門家により、トンネル工法の比較、日本版施設低コスト化が行われている。

背振山地の候補地の検討は、九州大、佐賀大、福岡県、佐賀県により行われており、北上山地のものは、東北大、岩手県で行われている。後者では、復興構想会議にTOHOKU国際科学技術特区の中核としてILCが提案(2011年5月~)されている。

ILCプロジェクトを推進する上で、最先端加速器が広範な社会インフラなどのドライビング・フォースとなってきたことを示す『加速器ピラミッド』を説明することが重要である。

Q 生出:ILCが大震災後の復興構想の1つとして強調されたが、核廃棄物処理、未臨界炉などもその中にある。
A : 復興構想は東北全体の計画で、岩手県が素粒子物理拠点としてILCを提案している。  
C 生出:福島県にILCを作ったらどうか?
A : 地元の意向で決めて頂きたい。 
Q 横谷:site criteria WG後、候補地の公募があるが、日本のサイトを一本化をするのか。
A : 政府なら一本化、研究者なら複数挙げるであろう。第一段階で、技術評価に複数の候補地をだす。例えば、ITERでは、EUではフランスとスペインが候補地となっていた、政府の関与とともに、一本化が行われた。
C 機構長:一番よい(候補地選択)方法を提案すれば良い。日本の状況に従って提案すればよい。

5. 意見交換

C山本:サイトの足切りは政府決定の前に行うのか。
A : 足切りは、技術設計もないところか、未検討のものを切るものである。
山本均:2012年後の計画として、CLICとの関係(再度の技術選択)も入れたほうがよい。
機構長:ILCSCでTRCを立ち上げることなどILCSC議長のJ. Baggerと議論中。 LHCの結果によるところが大きいのでその時期が問題となっている。私はできるだけ早く、J. BaggerはCLIC CDR後などを提案している。
駒宮:政治的に進んでいるのはわかるが、ILC建設の総額が約8000億円で、1/2を外国から持ってくることが言われている。それは違う。そのような額は非現実的である。 例えば、LHCでは、 わずか600Million dollarが in kind contributionであった。 したがって、どこまで安くするのかが重要である。これは、物理の検討とともにしなければならない。
山本明:総額はinflationで8000億円程度になる。 これまで日本での空洞製造は大企業で行われいる。そのコストは世界のものの10倍以上である。 これから、KEK主導で安くすることを行う。中小企業とも(これまでやってきたこと)協力していく。 KEKの真剣な取り組みを示すことにより、企業が安くするようになる。
藤井:コスト削減の議論の中に、物理のスコープも対象としなければならない。どのようにしていくのか。 そのprocessに関して案を持つ必要がある。
駒宮:現状のものは低いエネルギーでも高い。例えば、XFELのコストでscaleすると数倍高い。また、ITERでは、コスト削減の結果、compact ITERで合意された。
次回は半年後に、 2011年11月ころに開催したい。 本日はATF, STFの将来計画が提案された。 LHC結果後に再度、提案を議論したい。
山本明:サイト検討の報告もしてほしい。
川越:(サイト検討について)もっと時間をかけて議論した方がよい。