200389

To:     LC推進委員会

From:   栄浩、峠 暢一(責任編集)、早野仁司、肥後寿泰

Subject:  LC(リニアコライダー)加速器関係報告、H158月分

 

1.会議など

 

とくになし。

 

2. NLC / NLCTA / SLED-II 試験(旧称8-pack試験)状況

 

加速管高電界試験関係:79日未明、SLAC NLCTAで加速管高電界試験のために運転中の2台のRF station #1, #2 のうちの #1 側の変調器PFN (pulse forming network) 回路筺体で火災が発生、PFN #1 を全焼し、station #1 が運転不能となった。Station #1, #2 は、それぞれ60cm級加速管を2本ずつ並行してドライブする能力を持っている。調査の結果、PFN回路中のキャパシタからオイルが漏れ、これがなんらかの理由で発火したものと推察される。なお、隣接する station #2 は問題なく運転可能、また、station #1 に接続された導波管系にも損害はないことがわかった。Station #1PFN は、同様タイプのものを再建設して復帰することとし、それまでの間、 NLCTA でもう一台存在するstation #0を使ってしのぐこととして、加速管高電界試験は再開済み。加速管試験能力としては一時的に 3/4 程度の規模縮小となるが、加速管のR1実証試験は2003 – 2004年はじめにかけて十分遂行可能の見込み。

 

SLED-II試験用RF源関係状況:SLED-IIを当面する4本のXL-4クライストロン(ソレノイド収束タイプ)のうち一台にリーク不具合が見つかったが7月はじめに交換され、RF源としては復帰済み。IGBT-ベースの変調器は現在一応30Hz運転が可能のところ、60Hz運転にも対応できるよう各種改良の努力中。

 

SLED-II試験用パルス圧縮関係状況:SLED-IIヘッド(大電力仕様の3dB結合器)の最終組み立て試験を行なっている。SLED-II delaylines は、すでに組み上げ済みで、低電力条件で2-mode SLEDの動作試験を行なっている。パルス増幅比として、約3を得ている(理論値は3.2)。増幅比が低めである原因としては現在、delayline 両端の「テーパ」でなく、delaylines自身の寸法、形状エラーによる伝送モード損失を疑っている(下記5.2を参照)。SLED-II系の大電力試験は当初は出力電力はダミーロードに落とす形で行なうが(「straight-up configuration」と呼んでいる)、8-9月に全体組み上げを終え、ベーキングののち、10月大電力運転試験開始を予定。

 

SLAC XP3-3 PPM クライストロン:NLCTAとは別に、クライストロン テスト施設で試験中であったSLACPPM クライストロン XP3-3 において、7月下旬、75MW1.6 ms120Hzの出力取り出しに成功した。効率率55%。出力空洞付近の溶接ジョイントで疑われる放電現象が1分に1回程度起こるため、長期の安定運転はできていないが、PPMクライストロンにおけるR-2ゴール達成に関して大きな目処をつけた。現在、XP3-3は改修中で、9月初旬に試験再開予定。また、XP3-4の試験は10月開始を予定。

 

3. GLCTA

 

現状:シールドルーム設置およびAR南実験室から移動した主な機器の設置は終了。電気と冷却水のシステムを構築中。導波管システムの組み立ておよび加速管への接続を開始した。

 

今後の予定:

829日まで RFパワー合成系導波管の設置、真空排気、AC電力配線と冷却水配管の敷設、各種インターロック配線、計算機制御配線。

9112   RFロードを負荷として、各機器の試運転。

915      一般公開。

91626 -低電力での試験運転開始と各機器の調整、および基本的運転ソフトウェア構築。

928日〜1010日- SLACから戻った加速管(T53VG3F)を負荷として運転。各種ブレークダウンモニターの設置および高電界試験用データ取得ソフトウェアの構築。

1014日以降 - 新規KEK加速管(H60VG3K1) を負荷として高電界試験を開始。

 

4. ATF (2003年8月8日現在の状況)

 

運転:623日から1017日までの約4か月の長期保守期間中。

 

長期保守期間中の主な作業:

-       各種機器の清掃、点検、DRマグネット電源の発熱問題の改造修理などの機器保守。

-       各種ビームモニターの改造(レーザーワイヤー、SRモニター、ODRモニター、マルチバンチBPM、空胴BPM、リニアックワイヤースキャナーなど)。

-       秋からのウィグラー磁石励磁運転に備え、残留キック補正コイルの取付けのための改造方針をメーカと検討中。

-       リニアック、リングおよび取り出しラインの再アライメント。

-       Xバンド高電界試験設備(GLCTA)の建設。

5. X-バンド

 

5.1 クライストロン

改造PPM2号機:負荷を含めた導波管システムを取り替えての再試験のための打ち合わせをSLACで行った。その結果、825日から再試験を開始できる見通しとなった。懸念のあるウェット負荷はドライ負荷に換えられ、また真空システムも増強される。SLAC側のリソースの問題等から、当面はSLACでのKEK製クライストロン試験はPPM2号機に専念し、PPM4号機の試験はとりあえず、期限を決めず延期した。

 

PPM4号機:コンディショニングを継続して行っている。いくつかの問題を徐々に解決しつつあるが終了までコンディショニングを継続していく。

 

PPM5号機:冷却構造を大幅に改良したPPM5号機を現在製作している。200312月には完成の予定。

 

5.2 パルス圧縮

SLED-II delaylineテーパー:KEKの製作したSLED-II delaylineテーパーはSLACで低電力試験が行なわれた結果、KEKで得られた優秀な性能が確認された。しかし、観測されている圧縮率低下の原因はdelaylineの導波管側にある可能性が浮上してきた。この結果、今後、時間が許せばSLAC及びKEK製テーパーと導波管との組み合わせで圧縮率を最適化したいと担当者は希望。

 

SLED-II電力結合部及びSLED-II headSLACが製作しているマルチモードSLED-II電力結合部及びSLED-II headbackupとして、シングルモードのSLED-II電力結合部及びSLED-II headを現在KEKで製作している。10月下旬には加工が完了する予定。その後SLACにおいて表面処理を行ったのち、他のSLAC製の部品と一緒にロウ付けされる。

 

5.3 モジュレータ

線形インダクション変調器:開発を引き続き行っている。電気的及び構造的設計は完了し、現在実機の製作中。2003 年秋ごろまでの完成を目指す。

 

5.4 加速管

NLCTAの#1ステーション事故後、#0パワーで復活した #1ステーションにはCERNグループによる試作加速管を据付けた。また、#2ステーションでは並行して試験していて放電頻度が大きかったフェルミ加速管FXB3を切り離し、HDDS加速管H60VG3S18のみとした。これらの試験を8月7日より開始予定。

 

次期試験加速管(R1 デモ用H60VG4S17)セル製作:周波数確認試験を経て、製作工程の最終化がほぼ終了、外部ベンダーによる実機用セル製作(中仕上げまで)を開始した。お盆休み明けからKEKでの最終仕上げ工程に入り、2台を10月初旬までに完成の予定。

 

 

以上、